水稲冷害研究チーム
発育予測情報とは
1.葉齢に基づく発育予測情報
本情報は、最近開発した葉齢進度予測モデルを用いて発育を推定したものです。予測手法の広域適用性を多数の地点・品種で試験的に評価したく考えています。
手法の詳細は省きますが、アメダス監視地点の平均気温を用いて葉の分化と生長の規則性を考慮して葉齢を推定しようとしたものです。穂の発育ステージの予測は、松島らの葉齢指数と穂の発育過程の規則性(1970)を援用しています。
1)情報内容の説明
@ 図中の葉齢進度の平年値は、初期値(最初の実測値)以降の気温経過が平年並みに経過したと仮定したときの、対象とする品種・主稈葉数の葉齢の進み方を予測したものです。したがって、初期値以前の気温条件の効果は初期値に反映されていることになります。
A 同今年値は、初期値以降の日平均気温の変化に影響された葉齢の進度経過を示します。
B 同実測値は、モニターの方々、各県の早期警戒関係者や私たちが実際に調査した結果です。
C 同生育段階(図中:1〜5)は、主な生育段階を選び表にも明示しています。この情報では、生育診断の重要な時期である幼穂形成期と障害型冷害で重要な危険期の予測が重要と考えています。表では、@で予測された生育各期の暦日とAで推定された生育各期の暦日を、“平年”と“本年”でそれぞれ示しています。
D 基礎情報で重要なのは、主稈葉数です。この場合、モデル的に主稈葉数を14とか15で予測しています。実際の圃場では、たとえば葉数が14,15の株が混在しています。主稈葉数は環境条件で変化するため、1枚の違いが生じた場合には予測結果がかなり異なります。(この予測手法は最終葉数が分かった段階で、計算をやり直して生育・被害等の診断に利用する考えでいます。)
2)情報の利用上の注意事項
@ 葉齢進度予測モデルは、東北農業試験場厨川水田の生育・作柄診断試験区における過去2年間の多数品種の生育データとアメダス盛岡の気温を用いて監視用に作成したものです。したがって、他の地点に適用する場合、対象とする調査水田と最寄りのアメダスとの気温の違いが盛岡におけるものと異なる可能性があり、適用が困難な場合もあると考えています。(この点を明らかにするのも一つの目的です。)
A 他に、葉齢の進み方が一般の品種と異なるもの、栽培管理のやり方、異常な気温条件や水温条件など、予測を困難にする要因は多数考えられます。
B 本情報と別の手法で評価した「早期警戒地点の生育進度経過」、各県の独自予測情報、ならびに利用者の実際の稲草姿などを総合して、栽培管理等に利用していただければ幸いです。
2.有効積算気温法による穂の発育予測情報
本情報は、幼穂形成期を起点として有効積算気温法により穂の発育過程を細かく把握しようとするものです。障害型冷害の危険期間を大まかに予測するのが目的です。特に上の発育情報は最終葉数等の違いで予測精度が悪い場合もあり、また止葉完全展開時までしか予測できません。この欠点を補完する情報でもあります。試験的に運用して、今後改良したいと思います。
1) 情報の内容
・障害型冷害の危険期間は花粉母細胞分化期から花粉内容充実期までと設定しています。
・確認された幼穂形成期を起点として、その後平年並みの気温推移を仮定した場合を平年値で、実況値を1999年で示しています。
2) 注意事項
・ 穂の発育過程を示す基準温度は東北農試厨川圃場の生育作柄診断試験区のデータを用いて作成しています。
・ 基準温度は厨川圃場の「あきたこまち」に最も適合し、早生品種ではやや早く、晩生品種ではやや遅くなる傾向があります。
・ 本情報は監視用のものでありますので、実際の稲の形態(葉耳間長など)を観察しつつご利用下さい。
reigai@ml.affrc.go.jp