水稲冷害研究チーム

1996年秋田県技術情報

 詳しい問い合わせは秋田県農業試験場稲作部(電話 0188−39−2121)へお願いいたします。

作況ニュース第9号(9月12日)

<<当面の技術対策>>
 本年は、出穂期以降は日照がやや多く適度の降雨もあり、気温の日較差が大きかったことや、病害虫の発生が少ないことと、稲体も健全で下葉の枯れ上がりも少ないことなどから登熟は順調に推移している。
 しかし、移植時の低温等で初期生育の不良な圃場や融雪の遅れで移植時期の遅れた山間高冷地等においては、穂揃いがやや悪く同時に、登熟もやや遅れている。

1)畦畔の草刈りの実施
 畦畔雑草は放置しておくと、次年度の病害虫の発生源になるだけでなく、収穫時においては作業能率や作業精度の低下にもつながるので、畦畔雑草が繁茂している場合は速やかに刈り払いを行い、衛生的にしておく。

2)収穫作業に備えた排水対策の実施
 本年度の場合、中干し期間の多雨と日照不足等により中干しが十分でなかった圃場では軟弱となっているので、これらの圃場では秋作業の効率化と倒伏による品質低下を防止するため、明渠の施行など万全の排水対策が必要である。

3)診断に基づく適期刈り取りの実施
 本年の場合は、8月下旬以降の気温はやや低めであるが、日照時間は平年並みに経過しており、気温の日較差も大きいことなどから、登熟は適度な速さで順調に推移しているので、刈り急ぐことなく、刈り取り適期を次の(1)〜(4)の基準により総合的に判定して作業に入ること。
 (1)出穂後日数による判定
  出穂後の日数による刈り取り適期の目安は、早稲種で45日前後、中晩生種では50日頃である。
 (2)出穂後の積算気温による判定
  出穂後の日平均気温の積算値から判定する場合は、早稲種で950〜1050度、中晩生種では1050〜1150度の頃が刈り取り適期の目安となる。
  特に収穫時期が遅くなると立毛で胴割れ粒、茶米が増加する傾向がみられ、積算気温が早生で1100度、中晩生では1200度を超えると胴割れ粒が急増するので注意する。
 (3)籾の熟色による判定
  葉や穂首が緑色であっても、籾の黄化程度が90%の頃を適期とする。
  籾の黄化程度90%は、黄色+黄白を示しており、黄色のものが20〜30%含んでいる場合は、活青米を含んだ玄米となり、品質、食味の良い米となる。
 (4)枝梗の黄化程度による判定
  通常年では主軸について上から5番目の枝梗までが黄化した頃とみられる。
  しかし、これらの判定も品種や栽培法、地力の程度おより籾数の多少などによって異なるので、上記の判定法を組み合わせ、総合的に刈り取り適期を判定すること。

4)コンバインや乾燥施設等の早期点検整備
 本年の場合、移植時期や圃場条件等によって、登熟に圃場間差が多少みられることから、収穫、乾燥、調製作業を適正から効率的に行うためにも、これらの農機具や施設等の点検整備を早急に実施し、秋作業には万全を期す。

5)コンバイン収穫での留意点
 あきたこまちに作付割合が偏っている場合は、刈り遅れとならないように乾燥・調製能力に合わせた作業実施計画をたてる。
 籾の水分の大きく異なる圃場の生籾を一緒に刈り取りすると、乾燥ムラの発生原因となるので、水分の類似している圃場単位に刈り取る。特に、本年の場合は水口青立ちが目立つので、刈り取りに注意する。
 また、収穫した籾を高温条件下で長時間(4時間以上)圃場に放置すると、ヤケ米が発生するので注意する。

6)倒伏稲に対する適切な対策
 (1)倒伏後も湛水および多湿条件にあると、あきたこまちでは15日前後、ササニシキでは10日前後で穂発芽するので、倒伏した場合は、稲株を引き起こし穂を地面から離すとともに、畦畔沿いの明渠により、圃場の乾燥に努める。
 (2)倒伏した稲のコンバイン収穫は、標準装備だけでは難しいので、これらの稲に対しては、引き起こし補助装置を取り付けるとともに、追い刈りや横刈り等により、刈り取り精度の向上に努める。
 (3)倒伏により、穂発芽や品質の低下が懸念される場合は、速やかに収穫作業にはいるとともに、これらの被害籾は仕分けして乾燥・調製を行い、品質の低下防止に努める。

7)市場評価を高めるための乾燥調製
 (1)高水分籾の刈り取り回避と夾雑物の混入防止
  高水分籾やわら屑などの夾雑物の多い籾を循環型乾燥機に張り込むと、流動性が悪く乾燥ムラの原因となるので、高水分籾の刈り取りは避けるとともに、刈り取り時の選別を適正にし、夾雑物の混入を避ける。
 (2)籾水分測定の適正化
  籾水分の測定は乾燥時間の決定や乾燥終了時の判定などに関わる重要な作業であり正確に行う。
  測定回数を多くするほど精度は高くなるので、できる限りサンプル数を多くとり、その平均値で判定する。
 (3)乾燥率と仕上げ水分
  生籾を循環型乾燥機を利用して乾燥するとき、毎時の乾燥率0.7〜1.0%を目安とする。仕上がり玄米水分は15.5%を目標とし、乾燥終了時の目安は玄米水分で16.0%以下とする。
  高水分籾の場合は、二段乾燥や水分18%程度で乾燥機を6時間以上停止させる一時休止乾燥法などを実施する。
 (4)過乾燥の防止
  過乾燥となる理由としては、水分測定や乾燥方法の不適正および乾燥終了後の水分の戻り等による基準値超過を恐れ、乾燥のやり直し等を心配するあまり過乾燥にしていることが多い。
  過乾燥は生産者からみると灯油や電気代・労力・重量の目減りによる損失が大きく、また需要者からは、胴割れ米の発生などによりとう精歩合の低下や砕粒の増加で嫌われ、さらには消費者からは、食味の低下や光沢の低下のために評価が下がることから、過乾燥の防止に努める。
 (5)籾摺り調製の適正化
  米作りで最終作業が籾摺り調製である。この作業の良し悪しが検査等級にも影響するもで、籾の粒厚に見合った適正なロール間隔(通常 0.8−1.2mm)に調整し、脱ぷ率80−85%を保つように選別部等を調整する。調整不良の場合は二度摺りなどによる玄米の肌ずれ、ロール間隔が狭い場合の砕米の発生、選別不良による仕上げ米の籾混入などにより品質低下を招く。
  玄米中の未熟粒や屑米等の混入は、検査等級や食味にも影響するので、回転式米選機等で規定範囲内の流量で選別し、品質の均一化を図る。
  ふるい目は品種の特性や年による粒厚の変動等もあるが、1.85mm使用を基本とし、整粒歩合80%以上を確保する。

 
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