水稲冷害研究チーム

1998年青森県稲作指導情報


 なお,詳しい内容に関する問い合わせは青森県にお願いいたします.

稲作指導情報第1号

平成10年3月5日

青森県農業生産対策推進本部

−作業のポイント−
○苗代予定地に残雪がある場合は、作業に支障をきたさないよう除雪、消雪に努める。
○床土や置床のpHが4.5〜5.5の適正範囲を超えると生育障害が発生しやすくなるため、事前に必ずpH測定を行う。
○種籾の塩水選・消毒・浸種・催芽は、基本通り行い健苗育成に努める。

1. 育苗計画
塩水選・種子消毒、浸種、催芽、播種等の育苗作業は、地帯別の田植え適期(5月10〜25日頃)から逆算して計画する。併せて、床土やハウス設置等の準備を行う。

2. 苗代地の準備
苗代予定地に残雪や停滞水がみられる場合は、早めに除排雪と排水作業(排水溝の設置)を行い、床土を乾燥させる。
また、ハウスは早めに設置して地温を上昇させるとともに、風の強い日にも十分換気できるよう暴風網を設置する。

3. 塩水選
・ 種子量は枝梗等を取り除いた精選した乾籾を10a当たり4kg程度準備する。
・ 塩水選の比重は次の通りとする。
・ ・うるち:比重1.13(水10リットルに食塩2.0−2.1kg)
・ ・もち :比重1.08(水10リットルに食塩1.2kg)
・ 塩水の比重はときどき比重計等で確認しながら行う。
・ 塩水選後は種籾を直ちに水洗する。

4. 種子消毒
1)消毒方法
・ 種子消毒剤とその対象病害は表1の通りである。
・ 種子消毒には、粉衣法、高濃度短時間浸漬法、低濃度長時間浸漬法等がある。消毒効果を高めるためには、粉衣法あるいは高濃度短時間浸漬法で行う。










表1 対象病害と種子消毒剤
薬剤名/対象病害ヘルシード水和剤・乳剤・T水和剤・Tフロアブルケス水和剤テクリード水和剤テクリードCフロアブルトリフミン水和剤・乳剤スポルタック乳剤スターな水和剤
ばか苗病
いもち病
ごま葉枯病
もみ枯細菌病
苗立枯細菌病



2)消毒の留意点
・ 高濃度短時間浸漬法・低濃度長時間浸漬法の場合は、種籾量と薬液量の容積比を1:1以上にして種籾が十分浸漬できる液量で実施する。
・ 高濃度短時間浸漬法の薬液使用回数は、5回程度とする。
・ ケス水和剤・トリフミン水和剤・テクリードCフロアブル・スターナ水和剤を使用する場合は、消毒後2日間風乾する。
・ 低濃度長時間浸漬法の場合、薬液を浸漬中に2〜3回攪拌し、消毒効果を高めるため、薬液温度が10度以下にならないように保温対策を行う。
・ もみ枯細菌病や苗立枯細菌病の発生がみられる場合は、テクリードCフロアブルを使用するかスターナ水和剤を他の種子消毒剤と混用して使用する。

5. 浸種
・ 浸種は催芽を均一にし、出芽ムラが発生しないようにするため、10〜14日間程度(積算水温で100度が目安)行う。
・ 浸種は、最初の2日間は水を取り換えず、その後は3日に1回程度の割合で水を取り換える。

6. 催芽
・ 種籾をハト胸程度に仕上げるためには、十分吸水したもみを30〜32度で16〜20時間加温する。
・ 催芽の温度が40度以上になると発芽能力が低下するので、風呂を利用する場合には温度を十分確認しながら行う。また、育苗器を利用する場合は、籾が乾燥しないように水分管理に十分注意する。
・ 「つがるロマン」は他品種より発芽が遅れる傾向があるので、十分確認しながらハト胸程度に仕上げる。

7. 床土等の準備
1)床土の準備
・ 床土量は1箱当たり稚苗・中苗散播で4.5リットル(うち覆土0.5リットル)準備する。
・ 床土はpH4.5〜5.5の土を使用する。
・ 床土の施肥は表2の通りとする。
・ 地帯別栽植株数を確保できる育苗箱数を準備する。特に「つがるロマン」は栽植株数が多いと、穂数が確保され、登熟歩合が高まるとともに、タンパク質含有率もやや低下するので、良食味・高品質米生産の面からも、栽植株数の確保に必要な苗量を準備する。









表2 育苗法の違いによる施肥量・播種量・使用箱数
育苗法育苗法育苗法1箱当たり施肥量(肥料成分)播種量(催芽籾)使用箱数(10a当たり)
稚苗散播基肥方式窒素、加里:2.5g、リン酸:1.0g(リン酸欠乏が予想される土壌は3要素共に2.5g)250g/箱約20箱
中苗散播基肥方式窒素、リン酸、加里各2.5g125g/箱約35箱
中苗散播追肥方式窒素:1.0g、リン酸と加里:2.5g。1.5葉期と3.0葉期に窒素1.0gを追肥125g/箱約35箱
成苗成型ポット(みのる)窒素、リン酸、加里各0.5g、葉色をみて窒素1.0gを追肥55g/箱約55箱



2)苗立枯病の予防
・ 粉剤を使用する場合:タチガレエース粉剤は1箱当たり8gを床土と均一に混和する。リゾープス属菌の発生が懸念される場合は、ダコニール粉剤を1箱当たり15〜20g添加する。
・ 液剤を使用する場合:潅水後、播種直前にタチガレエース液剤の500〜1000倍液を1箱当たり500cc潅注する。また、リゾープス属菌との同時防除を行う場合にはタチガレエース液剤とダコニール1000をそれぞれの所定の倍率で混合し、1箱当たり500ccを潅注する。

8. 置床
・ 置床への施肥は、平方メートル当たり成分で窒素、加里が15g、リン酸が23gとなるように施用する。
・ 置床は、育苗箱の底と密接するよう均平にし、砕土が不十分なところや足跡等のくぼみがあると生育ムラができるので十分注意する。
・ 置床のpHが6.1以上の場合は、ムレ苗や立枯病の発生原因となるので置床被覆方式に切り換える。

9. 畦畔のかさ上げと補強
・ 畦畔は、気象の急激な変化や除草剤等の使用効果を高めるための水管理ができるようかさ上げや補強を行う。

(次回の稲作指導情報の発行予定は4月3日です。)

HomePage back next Return Iken
torigoe@tnaes.affrc.go.jp