水稲冷害研究チーム
98年福島県稲作指導情報<中通り版>
なお,詳しい内容に関する問い合わせは福島県農業試験場にお願いいたします.
稲作情報第1号
平成10年4月15日
福島の米稲作情報編集会議
1. 移植栽培の技術ポイント
1) 基肥は、気象変動に対応できるように、品種に合わせた量を施用し、極端な多肥は行わない。(表1参照)
表1 地域別品種別の基肥窒素施用量と栽植密度
| 地 域 | 品 種 | 基肥量(kg/10a) | 栽植密度 (平方メートル当たり株数) |
| 中通り北部平坦 | ひとめぼれ | 5 | 23〜24 |
| 中通り北部平坦 | コシヒカリ | 3 | 23〜24 |
| 中通り南部平坦 | 初 星 | 6 | 20〜22 |
| 中通り南部平坦 | ひとめぼれ | 5 | 22 |
| 中通り南部平坦 | まなむすめ | 6 | 22 |
| 中通り南部平坦 | コシヒカリ | 3〜4 | 21〜22 |
| 阿武隈山間山沿い | まいひめ | 8 | 24〜27 |
| 阿武隈山間山沿い | たかねみのり | 8 | 24〜27 |
| 阿武隈山間山沿い | じょうでき | 6 | 22〜25 |
| 阿武隈山間山沿い | 初 星 | 6 | 22〜25
|
2) 育苗管理は温度と潅水管理に注意を払い、徒長を防止して健苗を育成する。
3) 適期移植と水管理で初期茎数の早期確保に努める。
(1) 低温、強風条件下での移植は、活着不良や初期生育障害を引き起こすので避ける。
(2) 分げつの発生を促すため、活着後は2〜3cmの浅水管理とするが、低温や強風の日は深水にして稲体を保護する。
4) 葉いもちの伝染源となる取り置き苗は、活着後直ちに処分する。
5) 本田初期害虫等を箱施薬で防除する場合は、規定の施用薬量を守る。
6) 雑草防除は、発生する雑草の種類に合った除草剤を選択して行う。また、使用量、使用時期を厳守する。
(1) 1キロ製剤は、事前に散粒機の調整を入念に行って規定量を均一に散布する。
(2) 除草剤散布後4〜5日間は湛水状態を維持し、散布直後の落水や掛け流しは絶対に行わない。
(3) 前年アゼナ類が多発した圃場では、プレチラクロール、ビフェノックス、ナプロアニリド、カフェンストロールを含む剤の施用が有効である。(防除基準参照)
2. 直播栽培の技術ポイント
直播栽培実施圃場は、鳥害を回避するためにできるだけ団地化を図る。均一な出芽・苗立ちを確保するため、圃場の均平化に努める。
1) 湛水直播
(1) 代かきは、練りすぎないようにする。このため、圃場を耕起前に均平化する。播種時の表土の硬さは、播種方法によって異なるので、代かきから播種までの日数や落水の時期によって調節する。
(2) 圃場内の土壌硬度を均一にするために、排水路を形成して滞水部分ができないようにする。
2) 播種
出芽、生育促進のためにカルパー粉衣後播種前に加温処理を実施する。加温方法は、25度2昼夜または32度1昼夜であるが、この間粉衣種子を乾燥させないように注意する。
3) 播種後の水管理
(1) 覆土をしない播種機を用いた場合は、播種後浅水管理を継続する。
(2) 散播や土壌中条播方式のように覆土をした場合は、土壌の還元を防止するために出芽始めから落水状態を保つが、強い雨が予想されるときは種子が洗われて露出しないように一時的に湛水する。
(3) 播種前に排水路などを設置しなかった場合は、潅水・排水管理を容易にするために、圃場内に10m間隔程度に作溝を実施する。
4) 除草剤散布
落水や浅水期間の後、湛水して除草剤を散布する。散布時期が遅れるとノビエに対する効果が劣るので、ノビエの生育を観察して遅れないように注意する。表層剥離が発生した場合は、イネ3葉期以降にモゲトン粒剤を散布する。
3. 乾田直播
1) 圃場の準備
(1) 事前に圃場の均平化を図るとともに、湛水時の漏水を防止するために畦畔を整備しておく。
(2) 耕起・整地・播種作業は、圃場が十分乾燥したときに行う。また、耕起から播種・土壌処理剤散布までが1日で完結できるように作業体系を組む。
(3) 播種後の湿害を防止すると同時に、乾燥時の潅水を容易にするため、圃場内に10m間隔で深さ10〜15cm程度の明きょを掘る。
2) 播種
事前に播種量を合わせて機械の繰り出し量を確認するとともに、播種深さを2〜3cmに調節する。
3) 除草剤散布
茎葉処理剤は、ノビエの葉齢が大きくなると効果が劣るので、遅れないように散布する。
4. 麦・大豆栽培の技術ポイント
1) 麦類の出穂期追肥
大麦では品質の低下を招くため、生育が極端に劣る場合のみとする。小麦ではタンパク質含量を高める効果がある。しかし、トヨホコムギでは外観品質を低下させるため生育不良の時のみとする。アブクマワセでは出穂期の10a当たり2kg追肥が効果的で、アオバコムギでは倒伏防止と品質向上のため10a当たり2〜3kgの出穂期追肥を行う。
2) 大豆の作付け準備
大豆は種子の良否が収量・品質を大きく左右するため、必ず種子の更新を行う。
播種適期は5月下旬から6月下旬となるが、栽植本数が少ないと収量が上がらないので、十分な播種量を確保する。また適正な基肥窒素を施用する。
大豆では生育初期から中期の湿害が減収の大きな要因となるため、特に転換畑では明きょ等による十分な排水対策が必要である。
次号の発行は5月28日の予定
torigoe@tnaes.affrc.go.jp