水稲冷害研究チーム

98年福島県稲作指導情報<中通り版>


 なお,詳しい内容に関する問い合わせは福島県農業試験場にお願いいたします.

稲作情報 第2号

平成10年5月28日

福島の米稲作情報編集会議

1. 生育状況
1) 作況試験の苗は、草丈が並からやや長く、葉齢が平年並であった。地上部乾物重は平年より重かった。
2) 活着およびその後の生育は、5月1日、15日植えとも良好であった。
3) 主稈出葉からみた本田での生育は、5月1日、15日植えとも5〜6日早まっている。
4) 現地では、苗がやや長めとなった。このため、一部徒長の著しい圃場で植え傷みがみられたものの、活着は良好である。現在の生育は、平年並から4日程度進んでいる。

2. 移植栽培の当面する技術ポイント
1) 浅水管理により水温の日格差を大きくし、分げつの早期確保に努める。
2) 潅水は夕刻に行う。また、冷水地帯では、温水チューブ等を利用して水温上昇に努める。
3) 有効分げつが確保された圃場は、直ちに中干しを実施して無効茎の抑制と地耐力の向上を図る。
4) 土壌中の地力窒素の発現は平年並である。このため、無計画な分げつ期追肥は行わない。
5) 一発剤等の散布遅れによりノビエ等が残草した圃場では、シハロホップブチル剤または中期の散布によって防除する。また、アゼナの発生が目立つ圃場は、中期・後期剤を使用して防除する。
6) クログワイ、オモダカ等の難防除雑草が多発する圃場では、ベンタゾンを含む除草剤で防除する。また、表層剥離、藻類の発生が多い圃場では、ACNやトリアジン系成分を含む剤が有効である。
7) 本田で葉いもち初発はやや早まると予想されている。補植用取り置き苗を直ちに処分するとともに、粒剤等で予防防除を実施する場合は、6月中旬を目安に行う。

3. 湛水直播栽培
1) 生育の状況
場内作期試験の出芽は昨年より2日前後早まった。現在の葉齢は2〜3葉期である。
現地の出芽は一部に鳥害や還元による障害が認められたものの概ね良好であった。また、現在の葉齢は、平坦部で2〜4葉、山間部等播種期の遅い圃場で2葉前後となっている。
2) 当面の技術対策
・ 生育の促進を図るため、浅水管理を基本とするが、株もとが安定していない圃場では、2〜3日落水期間を設け、根張りを促進させる。
・ 中干し期の水管理を容易にするために、圃場内に作溝する。
・ ノビエの残草が認められる場合は、ノビエ3葉期までにシハロホップブチル粒剤を散布する。また、表土剥離や藻の発生が多い圃場ではACN剤を散布する。
・ イネミズゾウムシやイネドロオイムシの発生が認められる圃場では、早急に水面施用剤等で防除を実施する。

4. 乾田直播栽培
1) 生育の状況
場内の作期試験の出芽は昨年より7日程度早まった。出芽後の生育も良好で、すでに入水可能な葉齢に達している。現地では、出芽が良好ですでに入水可能となった圃場がみられる。
2) 当面の技術対策
・ ノビエの葉齢を観察して茎葉処理除草剤を散布する。広葉雑草が多い場合には、4葉期を目安にシハロホップブチル・ベンタゾン液剤を、広葉雑草が少ない場合には、4.5葉期を目安にシハロホップブチル液剤を散布する。
・ 入水はイネの葉齢で3葉期を目安に実施する。すでに入水した圃場では、畦畔、水尻を点検整備して漏水を防止するとともに、雑草の生育にあわせて既存の移植用除草剤を散布する。
・ 湛水後は、窒素追肥(10アール当たり4〜6kg)を行うとともに、発生に応じた初期害虫の防除を実施する。

5. 麦・大豆栽培の技術ポイント
1) 麦類の収穫乾燥調整
・ 麦類の成熟期は平年より1週間程度早まると予想されるため、刈り遅れずに適期刈り取りを励行する。
・ 循環型乾燥機を用いた乾燥の場合は、穀粒の初期水分・乾燥温度・乾燥速度に留意する。最終的な穀粒水分は大麦が13%、小麦が12.5%に仕上げる。
・ 調整はライスグレーダの網目が2.2mm以上を使用し、未熟粒の混入を防止する。
2) 大豆の作付け準備
・ 大豆は種子の良否が収量・品質を大きく左右するため、必ず種子の更新を行う。
・ 播種適期は5月下旬から6月下旬となるが、栽植本数が少ないと収量が上がらないので、十分な播種量を確保する。
・ また適正な基肥窒素量を施用する。
・ 大豆では生育初期から中期の湿害が減収の大きな要因となるため、特に転換畑では明渠等による十分な排水対策が必要である。

次号の発行は6月26日の予定。


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