水稲冷害研究チーム
98年福島県稲作指導情報<中通り版>
なお,詳しい内容に関する問い合わせは福島県農業試験場にお願いいたします.
稲作情報 第3号
平成10年6月27日
福島の米稲作情報編集会議
1. 生育状況
1) 作況試験:草丈はやや短い。茎数は平年並からやや多い。主稈葉数からみた生育の進度は平年並である。
2) 現 地:草丈がやや短いものの、茎数はほぼ平年並に確保されている。圃場や移植時期による生育差がみられるが、生育の進度もほぼ平年並である。
2. 移植栽培のポイント
1) 有効茎が確保された圃場では、直ちに中干しを開始して無効茎の抑制と根の健全化、地耐力の向上を図る。降水のために圃場の固化が不十分な場合は、作溝を実施する。中干しは幼穂形成期前までに終了し、その後の水管理は間断灌漑に移行する。
2) 本田での葉いもち初発時期が平年より早かったのに加え、6月中旬以降葉いもちの感染に適した気象条件が出現している。
・ 本田に放置している補植用苗は、早急に土中に埋めるか焼却処分する。
・ 散布剤による体系防除を計画している圃場では、7月上旬が防除適期と予想されていることから、圃場をよく見回り、病斑が認められたら直ちに防除を実施する。
・ 粒剤による葉いもち防除を実施した圃場でも、病斑が認められた場合は散布剤による防除を追加する。
3) イネアオムシの発生が多かった圃場では、今後次世代による加害が懸念されるので注意する。
4) 幼穂形成期は、平坦部で平年並、高冷地で平年並から2日程度の遅れと予想される。この時期に、平均気温が20度を下回ることが予想される場合には、前歴深水管理により障害不稔の発生を防止する。
5) 土壌中のアンモニア態窒素の残存量は平年並からやや少なめであるが、葉色の退色が緩慢である。穂肥は生育診断に基づいて施用する。
***追肥施用の基準(平坦部)***
○ 初星 幼穂形成期葉色(カラースケール4.0以下) 施用時期:出穂前25日、窒素施用量2.0kg/10a。
○ ひとめぼれ 幼穂形成期葉色(カラースケール3.5-4.0、SPAD 35-38) 施用時期:出穂前25日、窒素施用量2.0kg/10a。
6) 出穂前35〜40日を目安に10a当たり4kgのカリ成分を追肥し、稈質の改善、登熟の向上を図る。
3. 直播栽培のポイント
必要な茎数は概ね確保された。茎数制御・倒伏防止のための中干しと葉いもちの防除に努める。
1) 湛水直播
(1) 生育の状況
・ 場内:茎数発生はやや緩慢であるが、有効茎は確保できる見込みである。
・ 現地:出芽が良好であったため、有効茎数は概ね確保された。一部に残草や倒伏の発生が懸念される圃場がみられる。
(2) 当面の技術対策
・ 目標生育量が確保されたら強めの中干しを実施し、無効茎の抑制と土壌の固化によって倒伏の防止を図る。特に、播種深度が浅い場合や苗立ち数が多い場合には、幼穂形成期直前まで圃場全面に亀裂が入る程度の強い中干しを行うとともに、その後も圃場の固化を進める水管理を継続する。
・ 直播の生育量は、今後出穂期にかけて著しく増大する。このため、窒素追肥は幼穂形成期頃まで行わない。
・ 幼穂形成期前後の水管理やカリの追肥は移植栽培に準じて実施する。
・ 移植稲に比べて葉齢の小さい直播稲は葉いもちに対する感受性が高いので、粒剤の予防散布を実施するとともに、圃場を見回り病斑の早期発見に努める。
2) 乾田直播
(1)生育の状況
・場内:茎数の確保はやや緩慢であるが、まもなく有効茎の確保が可能と思われる。
・ 現地:一部に残草の多い圃場がみられるが、出芽が良好であったため、有効茎数は概ね確保された。
(2) 当面の技術対策
・ 間断灌漑を継続し、中干しは実施しない。
・ 雑草の後発生が認められる圃場は、中、後期剤で対応する。
・ 幼穂形成期前後の水管理や葉いもち防除、カリの追肥については、湛水直播栽培に準じて行う。
4. 麦・大豆栽培の技術ポイント
1) 麦留野調整:高品質麦を確保するため、調製は2.4mm以上の網目を使用する。
2) 大豆の管理
・ 生育初期・中期の湿害はその後の生育に大きく影響するため、明渠等の排水対策を実施する。
・ 除草・倒伏防止・生育促進のため、3〜4葉期に初生葉の高さくらいまでの中耕培土を行う。
・ イネ科雑草が多い場合には、茎葉処理除草剤を施用する。
次号は7月17日の予定。
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