水稲冷害研究チーム

1998年福島県稲作指導情報<中通り版>


 なお,詳しい内容に関する問い合わせは福島県農業試験場にお願いいたします.

稲作情報第6号

平成10年8月27日

福島の米稲作情報編集会議

1. 生育状況
1) 作況試験:出穂は、冷害試験地で平年並から3日程度の遅れ、本場では平年より2〜3日程度早まった。本場では、穂数が平年より少なく、籾数も並みからやや少ないと見込まれる。冷害試験地では、穂数、1穂籾数とも増加し、平方メートル当たり籾数が平年より多く確保されるものと思われる。登熟の進度は、8月上旬、中旬の低温で停滞気味である。
2) 現地:出穂期は、平坦部で1〜4日程度、高冷地では平年並から2日程度早まったが、移植時期による差が大きい。また、低温時に出穂した圃場では穂揃い、開花期間が長引いた。
3) 今後の生育予測:高冷地の成熟期は、平年より遅くなるものと思われる。また、平坦部の成熟期も出穂が早まったものの、低温の時期があったことから、ほぼ平年並からやや遅れるものと予想される。積算気温からみた成熟期は、平坦部の初星、ひとめぼれが9月14日〜17日頃、コシヒカリが10月7日頃、高冷地の初星が9月28日頃と予想される。

2. 移植栽培の当面する技術ポイント
1) 水管理
・ 間断灌漑を継続しながら、圃場を固化させる。落水の時期は、初星、ひとめぼれが出穂後30日、コシヒカリが出穂後35日を目安とする。
・ 中干しが不十分でその後も圃場が軟弱な場合は、排水のための溝等を設置する。
・ 品質低下を招く早期の落水は避ける。
2) 穂いもち防除
・ 穂揃い期が遅れた晩生品種で上位葉に葉いもち病斑が多く認められるにもかかわらず傾穂期の薬剤散布を実施していない場合は、早急に防除を実施し、今後の穂いもち発生を防止する。
3) 適期刈り取り
・ 各品種の刈り取り開始期は、初星、ひとめぼれでは積算気温900〜950度、コシヒカリでは1000〜1050度を参考にして決定する。
・ 穂の黄化状況からみた刈り取りの適期は、1穂の中で10〜20%程度黄緑籾が残っている時期である。
4) 収穫・乾燥
・ 部分的に倒伏が認められる場合は、刈分けを実施する。また、刈り取った生籾は早めに乾燥機に搬入する。
・ 低温のため出穂、開花の期間が長引いた圃場では、高水分の籾が含まれているため、圃場での堆積時間を極力短くするとともに、籾の乾燥ムラをなくすため二段乾燥を実施する。
5) 調製
・ 食味、整粒歩合の向上を図るために、選別機の能力にあわせた処理量を守る。
6) 次年度への対策
・ 土壌診断を活用しながら、圃場にあった地力増強対策を実施する。

3. 直播栽培の当面する技術ポイント
1) 湛水直播
(1) 生育の状況
・ 出穂期は、移植と比較して3〜10日程度の遅れとなった。一部にヒエの多い圃場や倒伏の懸念される圃場が認められる。
(2) 当面の技術対策
・ 間断灌漑を実施して、登熟を進めながら圃場の固化に努める。中干しが不十分でその後も圃場が軟弱な場合は、排水のための溝等を設置する。落水時期は移植栽培に準じる。
・ 穂揃いの遅れた圃場で、上位葉に葉いもち病斑が多く認められるにもかかわらず傾穂期の薬剤散布を実施していない場合は、早急に防除を実施し、今後の穂いもち発生を防止する。
・ 刈り取り開始期の目安とする積算気温は移植栽培より概ね100度前後多めとするが、刈り取り時期は圃場の平均的な成熟程度を示す籾の黄化状況をよく観察して判定する。圃場内の生育差が著しい場合や部分的に倒伏した圃場は、刈分けを実施する。
・ 籾水分のバラツキが移植栽培より大きいので、乾燥初期の送風温度を低めに設定するとともに、二段乾燥を実施して、乾燥ムラや胴割れ米の発生を防止する。
(3) 次年度への対策
・ 次年度直播栽培を予定している圃場は、できる限り均平化を図るとともに、播種時の障害を回避するために、圃場内の藁を石灰窒素とともに鋤込んで腐熟させるか、搬出して堆肥化する。
2) 乾田直播
(1) 生育の状況
・ 出穂期は移植に比較して1週間から10日程度遅れた。一部に残草の多い圃場が見られる。
(2) 当面の技術対策
・ 水管理は、間断灌漑を継続し、品質の低下につながる早期の落水は行わない。
・ 穂いもち防除や刈り取り時期の判定および乾燥法については、湛水直播栽培に準じる。
(3) 次年度への対策
・ 次年度乾田直播栽培を実施する圃場は、均平化作業を実施するとともに、播種時の砕土率を確保するために秋耕を実施する。


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