水稲冷害研究チーム
98年岩手県技術情報
なお,詳しい内容に関する問い合わせは岩手県にお願いいたします.
技術情報(水稲) 第4号
平成10年6月5日
岩手県、岩手県農作物気象災害防止対策本部
1. 葉いもちの防除
病害虫発生予察情報(平成10年5月29日発行)では、葉いもちの発生がやや早く、発生量はやや多いと予想されているので、今後の予察情報には十分注意する。
1) 病害虫防除所による圃場における取り置き苗の調査結果では、いもち病の感染は進んでおり、早期多発の重要な要因となる可能性がある。従って、現在圃場にある取り置き苗は、直ちに土に埋めるなど処分し、圃場から抜き取った後、畦畔や農道に置いたままにせず、圃場周辺から完全に除去する。
2) 毎年早期発生する地域では、予防粒剤を6月第3半旬(6月11日から15日)に施用する。その他の地域では、6月第4半旬(同16日から20日)に必ず施用する。
粒剤は、湛水状態で散布し、散布後5日程度は湛水状態(浅水)としておく。なお、漏水や掛け流し状態、中干し状態では効果が劣るので、水管理を徹底する。
3) 葉いもち予防の箱施用粒剤(ウイン、DR.オリゼ)を施用した圃場では葉いもち防除は不要であるが、圃場をよく観察し、葉いもちの発生がみられたらすぐにいもち防除剤の茎葉散布をする。
4) オリジナル品種「かけはし」「ゆめさんさ」を含めて、作付け品種のほとんどがいもち病抵抗性の弱い品種であることから、防除は必ず実施する。
2. 水稲害虫
1) イネクビボソハムシ(イネドロオイムシ)の発生(防除)対応は
(1) 産卵盛期は、早いと予想される(県中南部:6月第1半旬、県北・山間部が6月第2半旬)。この時期に、畦畔から2mほど入った場所から連続25株を調査し、13卵塊以上みられる場合は防除する。
(2) 粒剤箱施用した圃場では、防除は不要である。
2) イネミズゾウムシの防除について
「箱施用した圃場では、イネミズゾウムシが畦畔際の株に多数寄生している。追加防除した方が良いか」という問い合わせが寄せられている。
イネミズゾウムシは、畦畔や土手などから侵入してくるため、畦畔際の密度が高くなる。箱施用している場合、成虫は稲体を食害した後死亡するため、中央部まで進むことはない。従って追加防除は不要である。
3. 今後の水管理
1) 安定生産のためには、初期生育を促進し、下位分げつを早く出させて、充実した穂を十分確保することが大切。
2) 分げつの発生は、夜間の水温が15度程度、日中の水温が高いほど促進される。そこで、日中は浅水(2〜3cm)で水を動かさないようにして水温を上昇させ、圃場への潅水は夕方以降に行う。
3) 気温が15〜16度以下の場合は、深水(5〜6cm)として、稲体を保護する。
4) 気温の上昇に伴って、地温・水温も上がり、土壌の還元が進み、排水不良田、稲わら鋤込み田、牧草跡の還元田などでは硫化水素や有機酸が発生し、根腐れが起こりやすくなる。このような水田では、6月上旬から中旬の晴天の日に中耕によりガス抜きを行い、根腐れを防止する。
5) 中干しは有効分げつを確保したら早めに行い、排水を速やかにできるようにする。また、秋作業を計画的にできるように、溝切りを必ず行う。
次回の情報は6月20日に発行する予定です。
torigoe@tnaes.affrc.go.jp