水稲冷害研究チーム

98年岩手県技術情報


 なお,詳しい内容に関する問い合わせは岩手県にお願いいたします.

農作物技術情報(水稲) 第7号

平成10年7月20日

岩手県、岩手県農作物気象災害防止対策本部

1. 生育状況
1) 6月25日(前回調査)以降、6月25日〜7月上旬の気温は平年より高く、日照時間は平年より少なく経過した。
2) 7月10日現在の水稲の生育は、平年に比べて1日早く、草丈は約10%長い、茎数がやや少なく、茎葉は軟弱な生育を示している。
3) 草丈は県全体では平年より長い(+5.0cm)。いずれの地域でも長く、特に下閉伊・北部では7cm程度長い。また、いずれの品種でも長くなっている。前回の調査では、草丈が平年に比べて短かったが、その後高温に経過したことにより、葉身が急激に伸長した。そのため、県下全般に茎葉が軟弱である。
4) 茎数は県全体で平年より3%少ない。北上川上流・下流では10%程度下回っており、逆にその他の地域では4%〜11%多い。また、かけはし、ゆめさんさの茎数は平年並であるが、その他の品種は平年よりやや少なく、特にたかめみのりでは1割以上下回っている。
5) 葉数は県全体で平年より0.1葉多く、1日程度早い生育である。下閉伊・北部では、3日程度早くなっている。逆に、北上川上流は約1日遅れ、北上川下流ではほぼ平年並である。品種別では、かけはしで平年より2日程度早く、ひとめぼれを含めたその他の品種ではほぼ平年並である。
6) リアルタイムメッシュ気象情報システムによる生育予測(7月13日現在)では、県全体の幼穂形成期は7月14日、減数分裂期は7月26日(出穂期の11日前で計算)、出穂期は8月6日と予測され、今後平年並の気象経過の場合、減数分裂期および出穂期は平年に比べて2〜3日早まるものと見込まれる。

2. 今後の対策
1) 障害不稔防止のための深水管理
 7月11日以降、県北部・沿岸等では最低気温が10度を下回るなど、県内全般に低温で経過している。週間天気予報では、7月21日頃まで低温傾向が続く予報です。
 今後の気象情報に十分注意しながら、低温から幼穂を保護し、障害不稔を防止する。
現在、水を落として、中干しを実施している水田では、中干しを止めて、至急水を入れて深水管理を始めてください。
特に、減数分裂期間に低温に関する予報(気温17度以下)がでた場合、常時湛水(水深10cm)で必要水量を確保しながら低温時に速やかに足し水により15cm以上の深水を確保するように努めてください。ただし、気温より水温が低い場合は逆の効果となりますので、実施しないでください。
2) いもち病発生状況
 7月13〜14日にかけての調査で県下全域で葉いもちの全般発生が確認されました。発生時期は平年並ですが、特に県南部では発病圃場率は例年より高く、一部には急増期を迎えている圃場やずり込み状態の圃場もみられています。7月12日にも感染好適条件が出ていることから、今後の蔓延が予想されます。
葉いもち防除をまだ行っていないところでは7月18日までに防除を実施してください。
また、予防粒剤を施用したところでも、発生している圃場が多くみられますので、圃場をよく観察して、発生を確認したら直ちに茎葉散布を実施してください。
3) 追肥の対応の基本方針
(1) 北上川下流地帯(西和賀地域を除く)
・ ひとめぼれ、あきたこまち、ゆめさんさでは幼穂形成期追肥を基本とし、施用量は慣行より減らし10アール当たり1.5kgを上限とする。
・ ササニシキでは減数分裂期に同2kgの追肥を基本とする。
・ いずれの品種でも幼穂形成期のステージ確認と栄養診断を徹底し、いもち病の発生状況や減数分裂期頃の気象情報に注意し、幼穂形成期追肥中止や減肥を検討。
(2) 北上川上流、東南部、西和賀地域
・ ひとめぼれ、あきたこまち、ゆめさんさでは幼穂形成期の追肥は中止し、葉色の低下を確認の上、減数分裂期に同2kgを上限とした追肥とする。
・ かけはしでは幼穂形成期の追肥は中止し、葉色の低下を確認の上、減数分裂期に同1.5kgを上限とした追肥とする。
・ いずれの品種でも幼穂形成期のステージ確認と栄養診断を徹底し、いもち病の発生状況や減数分裂期頃の気象情報に注意し、追肥中止や減肥を検討。高標高地では無追肥。
(3) 下閉伊、北部地帯
・ いずれの品種でも葉色の低下を確認の上、減数分裂期に同1.5kgを上限とした追肥とする。ただし、北部地帯の沿岸地域や高標高地では無追肥。
・ 追肥にあたってはステージ確認と栄養診断を徹底し、いもち病の発生状況や減数分裂期頃の気象情報に注意し、追肥中止や減肥を検討。


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