水稲冷害研究チーム
1998年岩手県技術情報
なお,詳しい内容に関する問い合わせは岩手県にお願いいたします.
農作物技術情報(水稲)第9号
平成10年8月20日
岩手県、岩手県農作物気象災害防止対策本部
1. 水稲の出穂状況(8月15日現在)
1) 県全体の出穂盛期は、平年と同じ8月11日でした。低温と日照不足により、出穂始めから出穂盛期までの期間が、平年の2倍の6日かかっており、また、出穂終期も平年より遅れるものと見込まれます。
2) 地域別の出穂盛期をみると北上川上流および北部が平年より2〜3日早く、北上川下流は平年並、東南部と下閉伊は1〜2日遅い。
北上川上流で出穂盛期が早まったのは、中生品種のヒメノモチ(この地帯の作付け面積の17%を占める)の出穂が早かったこと、また北部では早生品種のかけはし(北部の同38%)の出穂が早まったことによる。
3) 7月下旬からの最低気温が久慈で17度を下回るなど、沿岸北部を中心に低温・日照不足が続いており、一部地域で障害不稔・褐変籾等の発生が懸念される。
2. いもち病の状況および今後の対策
1) 葉いもちは、発生量は少ないものの、県内全般に広く発生しています。一部圃場では上位葉および籾にいもち病が見られます。なお、穂いもちの発生状況については、病害虫防除所が8月20日付け「防除ミニ情報」を発行し、詳しくお知らせします。
2) 穂いもちの防除は、航空防除を中心にほぼ順調に実施されましたが、出穂が遅れたり、圃場内で出穂のバラツキが大きいところでは、追加防除が必要です。
3) 具体的には、出穂が遅れている圃場(県北部・沿岸部等のたかねみのり、あきたこまち等)では、穂揃い期に必ず防除を行ってください。また、上位葉に葉いもちが発生している圃場や、籾いもちが発生している圃場では、穂揃い1週間後に必ず追加防除を行ってください。
3. 登熟期の水管理
1) 9月前半までは間断灌漑により登熟の良化を図り、地域毎の的確な登熟診断を行って、適期刈り取り・早期出荷の推進、乾燥調整の適正化等、品質向上対策を徹底し、1等米出荷90%以上を目標に「売れる米」の生産に万全を期してください。
2) 早期落水の防止
・ 落水期が早すぎると、根の活力の低下、茎葉老化等により千粒重の低下、未熟粒の増加等、登熟不良の原因となり収量・品質が低下します。
・ 落水期は、湿田や排水不良田では出穂後30〜35日、排水の良い水田では35〜40日頃を目安にします。
4. 適期刈り取り(遅刈の防止)
1) 本年は、1枚の圃場内でも出穂期間が長く、出穂のバラツキが見られます。そのため、刈り取り適期の判定を正確に行うことが必要です。
2) 刈り取り適期の判定は、まず、登熟積算温度(出穂後の日平均気温の積算値)により、品種毎のおおよその適期を予測し、圃場では「刈り取り適期判定シート」(現在作成中)を用いて適期を正確に判定します。その際、不稔籾や極端に登熟が遅れている籾は除外して判定します。
<登熟積算気温による刈り取り適期の推定>
○ササニシキ:950−1150度・日
○ひとめぼれ:900−1050度・日
○ ゆめさんさ:900−1050度・日
○ あきたこまち:950−1100度・日
○ たかねみのり:950−1100度・日
○ かけはし:950−1100度・日
3) 不稔籾、褐変籾が発生した場合、早刈りが必要になります。このような圃場では、積算気温750度日頃より着色米が出始めるために、この頃より随時テスト籾摺をして刈り取り適期を判定します。
4) 遅刈は、立毛中の胴割れ粒、穂発芽、茶米などの着色粒の発生が多くなり、玄米の品質が低下し易くなります。
5) 各普及センターでは、「リアルタイムメッシュ気象情報システム」を利用して、各地点の出穂期別・品種別刈り取り適期を推定していますので、詳細は農業改良普及センターに問い合わせください。
torigoe@tnaes.affrc.go.jp