水稲冷害研究チーム
1997年青森県「発生予察情報」
なお、詳しい内容に関する問い合わせは、津軽地域病害虫防除所(電話 0172−52−6500)または南部地域病害虫防除所(電話 0176−23−4290)にお願いいたします。
病害虫予察情報第1号(3月26日)
津軽地域病害虫防除所
南部地域病害虫防除所
<概要>
水稲では発生が平年より多めと予想される病害虫はない。なお、今後の気象の推移には十分注意し、薬剤の選定に当たっては農作物病害虫防除基準を参照すること。
<防除のポイント>
1. 種籾の準備
- 自家産の籾を種籾として使用する場合は、いもち病、ばか苗病やごま葉枯病等が発生しなかった圃場産の籾を使用する。特に、前年はいもち病の発生が多かったことから注意する。
2.塩水選
- 塩水選は充実した籾を選別するばかりではなく、いもち病やごま葉枯病等に感染した籾を除去するためにも重要な作業であることから、必ず実施する。
- 塩水選の濃度は基準を守り、丁寧に実施するとともに、塩水選後は十分水洗いする。
3.種子消毒
- 塩水選後浸前に、次の表のいずれかで種子消毒を行う。特に前年はいもち病の発生が多かったことから種子消毒の徹底が肝要である。
- 薬液の量は、種籾と同じかそれ以上の容量とし、種籾が薬液からでないようにする。
- 薬液に浸績して消毒する場合は、薬液の温度が10度以下のような低温になると防除効果が低下する傾向があるので、液温があまり低くならないように、屋内で消毒を行う。
- 低濃度長時間浸漬で消毒する場合は、浸漬中に2〜3回薬液をよく攪拌する。
- 高濃度短時間浸漬で消毒する場合は、網袋に入れた籾に薬液がよく付着するように網袋をよくゆする。
- 生割れ以上の種籾を消毒すると、生育遅延等の薬害を生ずるので、種籾は浸漬前に消毒する。
種子消毒剤の防除対象病害一覧表
| 農薬名 | 処理法 | 風乾の有無 | ばか苗病 | いもち病 | ごま葉枯病 | もみ枯細菌病 | 苗立枯細菌病 |
| ヘルシード水和剤 | 20倍:10分間 0.5%:粉衣 200倍:24時間 | | ○ ○ ○ | ○ ○ ○ | ○ ○ ○ | | |
| ヘルシード乳剤 | 20倍:10分間 200倍:24時間 | | ○ ○ | ○ ○ | ○ ○ | | |
| ヘルシードT水和剤 | 20倍:10分間 0.5%:粉衣 200倍:24時間 | | ○ ○ ○ | ○ ○ ○ | ○ ○ ○ | | |
| ヘルシードTフロアブル | 20倍:10分間 200倍:24時間 | | ○ ○ | ○ ○ | ○ ○ | | |
| ケス水和剤 | 20倍:10分間 0.5%:粉衣 | ○ ○ | ○ ○ | ○ ○ | ○ ○ | | |
| テクリード水和剤 | 20倍:10分間 0.5%:粉衣 200倍:24時間 | | ○ ○ ○ | ○ ○ ○ | ○ ○ ○ | | |
| テクリードCフロアブル | 20倍:10分間 200倍:24時間 | ○ ○ | ○ ○ | ○ ○ | ○ ○ | ○ ○ | ○ ○ |
| トリフミン水和剤 | 30倍:10分間 0.5%:粉衣 | ○ ○ | ○ ○ | ○ ○ | ○ ○ | | |
| トリフミン乳剤 | 30倍:10分間 300倍:24時間 5〜10倍:塗沫 | | ○ ○ ○ | ○ ○ ○ | ○ ○ ○ | | |
| スポルタック乳剤 | 100倍:10分間 1000倍:24時間 | | ○ ○ | ○ ○ | ○ ○ | | |
| スターナ水和剤 | 20倍:10分間 0.5%:粉衣 200倍:24時間 | ○ ○ ○ | | | | ○ ○ ○ | ○ ○ ○ |
注)スターナ水和剤は、ばか苗病、いもち病等の防除剤との混用で使用する。
風乾欄に○印のある農薬を使用する場合は、必ず風乾する。
4. 浸種
- 浸漬時の水の量は、種籾の2倍かそれ以上の容量とする。
- 浸漬中の水温が低いと消毒の効果が低下する傾向があるので、水温は10度以下にならないようにする。
- 消毒後の浸種は流水を避け、水の交換は初め2日間は行わない。その後は3日程度に1回静かに水を換える。
5. 催芽
- 催芽の際に使用するわら類は、70度以上の湯に20分間浸漬して消毒する。
- 循環式催芽機(ハト胸催芽機)は細菌の増殖を促進することがあるので消毒等には使用しない。
6. フザリウム・ピシウム属菌による苗立枯病の防除
- 土壌のpHを5.0前後に矯正する。
- 播種前に、タチガレエース粉剤を育苗箱1箱当たり8gの割合で床土に均一混和するか、タチガレエース液剤の500〜1000倍液を、育苗箱に床土を詰め灌水してから、箱当たり500mlの割合で灌注する。
- 育苗中の温度管理を徹底する。また、過湿にならないように注意し、健苗育苗に努める。
7. リゾープス属菌による苗立枯病の防除
- 育苗資材は十分水洗いしたものを使用する。
- 割れ籾の混入が多いと多発しやすいので、割れ籾の混入が多い籾は使用しない。やむを得ず使用するときは薬剤による防除を必ず実施する。また育苗管理にも注意する。
- 厚まきすると発生が多くなるので、基準播種量を守る。
- 播種5日前〜播種時に、ダコニール粉剤を箱当たり15〜20gの割合で床土に均一に混和するか、育苗箱に土を詰め、灌水してからダコニール1000の500倍液を箱当たり50ml灌注する。なお、いずれの場合もタチガレエース剤と併用または混用できるが、ダコニール粉剤とタチガレエース粉剤との併用では初期生育を抑制することがあるので、基準量を厳守する。
- 高温・過湿で多発するので注意する。特に、播種〜出芽期の温度は30〜32度、緑化〜1.5葉期の温度は30度以上にならないように注意する。
8. ごま葉枯病による苗立枯病の防除
- 種子消毒のほか、種籾が露出していると二次感染が多くなるので、覆土は十分に行う。
- 育苗時の高温・過湿は発病を助長するので、適正な育苗管理に努める。
9. もみ枯細菌病・苗立枯細菌病菌による苗立枯病の防除
- 前述の種子消毒あるいは次のいずれかで行う。
- 播種前に、カスミン粒剤を箱当たり30gの割合で床土に均一に混和するか、播種後覆土前にカスミン粒剤を箱当たり15〜20gを、播種した種籾の上から均一に散布するか、カスミン液剤の4〜8倍液を箱当たり50mlを播種した種籾の上から均一に散布する。
- 育苗中の温度管理を徹底する。特に高温・過湿にならないように注意し、健苗育成に努める。
- 発病苗は植えない。
10. 床土混和によるイネドロオイムシ、イネミズゾウムシの防除
- 発生が多い圃場や本田での防除が労力的に難しい場合には、パダン粒剤4を育苗箱当たり80gの割合で床土用の土に混和する。ただし、覆土用の土にパダン粒剤4を混和すると薬害を生ずるので、混和しない。
<防除上注意すべき事項>
- 残液や器具の洗浄液などは河川等に流さない。
- 薬剤処理は素手で行わない。
- ダコニール粉剤は、砂質土壌では初期生育の抑制等の薬害を生じることがあるので、使用しない。
- パダン粒剤による床土混和は、火山灰性の畑土・山土並びに砂土などでは薬害を生ずることがあるので実施しない。
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