水稲冷害研究チーム

98年青森県「発生予察情報」


 なお,詳しい内容に関する問い合わせは津軽地域病害虫防除所(TEL.0172-52-6500)、南部地域病害虫防除所(TEL.0176-23-4290)にお願いいたします.

発生予報第1号

平成10年3月30日

津軽地域・南部地域病害虫防除所

1. 苗立枯病(ピシウム・フザリウム):発生地域県内全域、発生量平年並
1) 予報の根拠
(1) 4月の気温は平年並の見込みである。
(2) フザリウム属菌やピシウム属菌に対する効果の高い剤による防除の徹底が見込まれる。

2. 苗立枯病(ごま葉枯病):発生地域県内全域、発生量平年並
1) 予報の根拠
(1) 前年の収穫期におけるごま葉枯病の発生面積が平年並であった。
(2) 4月の気温は平年並の見込みである。

3. ばか苗病:発生地域県内全域、発生量少ない
1) 予報の根拠
(1) 前年の本田における発生量が少なかった。
(2) 効果が高い剤による種子消毒の徹底が見込まれる。

<防除のポイント>
1. 種籾の準備
・ 自家産の籾を種籾として使用する場合は、いもち病、ばか苗病やごま葉枯病等が発生しなかった圃場産の籾を使用する。
2. 塩水選
・ 塩水選は充実した籾を選別するばかりではなく、いもち病、ばか苗病やごま葉枯病等に感染した籾を除去するためにも重要な作業であることから、必ず実施する。
・ 塩水の濃度は基準を守り、丁寧に実施するとともに、塩水選後は十分水洗いする。
3. 種子消毒
・ 塩水選後浸種前に、次の表のいずれかで種子消毒を行う。特に前年はいもち病の発生がやや多かったことから種子消毒の徹底が肝要である。
・ 薬液の量は、種籾と同じかそれ以上の容量とし、種籾が薬液からでないようにする。
・ 薬液に浸漬して消毒する場合は、薬液の温度が10度以下のような低温になると防除効果が低下する傾向があるので、液温があまり低くならないように、屋内で消毒する。
・ 低濃度長時間浸漬で消毒する場合は、浸漬中に2〜3回薬液をよく攪拌する。
・ 高濃度短時間浸漬で消毒する場合は、網袋に入れた籾に薬液がよく付着するように網袋をよくゆする。
・ 生割れ以上の種籾を消毒すると、生育遅延等の薬害を生ずるので、種籾は浸漬前に消毒する。
















種子消毒剤の防除対象病害一覧表
農薬名 処理方法 風乾 ばか苗病 いもち病 ごま葉枯病 もみ枯細菌病 苗立枯細菌病
ヘルシード水和剤 20倍、10分間、
0.5%、粉衣
200倍、24時間

ヘルシード乳剤 20倍、10分間、
200倍、24時間
ヘルシードT水和剤 20倍、10分間、
0.5%、粉衣
200倍、24時間
ヘルシードTフロアブル 20倍、10分間、
200倍、24時間
ケス水和剤 20倍、10分間、
0.5%、粉衣
テクリード水和剤 20倍、10分間、
0.5%、粉衣
200倍、24時間
テクリードCフロアブル 20倍、10分間、
200倍、24時間
トリフミン水和剤 30倍、10分間
0.5%、粉衣
トリフミン乳剤 30倍、10分間
300倍、24時間
5〜10倍、3%塗沫
スポルタック乳剤 100倍、10分間
1000倍、24時間
スターナ水和剤 20倍、10分間
0.5%、粉衣
200倍、24時間








注)スターナ水和剤は、ばか苗病、いもち病等の防除剤との混用で使用する。
 風乾欄に○印のある農薬を使用する場合は、必ず風乾する。

4. 浸種
・ 浸種時の水の量は、種籾の2倍かそれ以上の容量とする。
・ 浸種中の水温が低いと消毒の効果が低下する傾向があるので、水温は10度以下にならないようにする。
・ 消毒後の浸種は流水を避け、水の交換は初めの2日間は行わない。その後は3日程度に1回静かに換水する。

5. 催芽
・ 催芽の際に使用するわら類は、70度以上の湯に20分間浸漬して消毒する。
・ 循環式催芽機(ハト胸催芽機)は細菌の増殖を促進することがあるので消毒等には使用しない。

6. フザリウム・ピシウム属菌による苗立枯病の防除
・ 土壌のpHを5.0前後に矯正する。
・ 播種前に、タチガレエース粉剤を育苗箱1箱当たり8gの割合で床土に均一に混和するか、タチガレエース液剤の500〜1000倍液を、育苗箱に床土を詰め灌水してから、箱当たり500mlの割合で潅注する。
・ 育苗中の温度管理を徹底する。また、過湿にならないように注意し、健苗育成に努める。

7. リゾープス属菌による苗立枯病の防除
・ 育苗箱等の育苗資材は、十分水洗いしたものを使用する。
・ 傷籾の混入が多いと多発しやすいので、傷籾の混入が多い籾は、種籾として使用しない。
・ 厚播きすると発生が多くなるので、基準播種量を守る。
・ 播種5日前〜播種時に、ダコニール粉剤を箱当たり15〜20gの割合で床土に均一に混和するか、育苗箱に土を詰め、潅水してからダコニール1000の500倍液を箱当たり500mlの割合で潅注する。なお、いずれの場合もタチガレエース剤と併用または混用ができるが、ダコニール粉剤とタチガレエース粉剤との併用では初期生育を抑制することがあるので、基準薬量を厳守する。
・ 高温、過湿で多発するので注意する。特に、播種〜出芽期の温度は30〜32度、緑化〜1.5葉期の温度は30度以上にならないように注意する。

8. ごま葉枯病菌による苗立枯病
・ 種子消毒のほか、次のことにも注意する。
・ 種籾が露出していると二次感染が多くなるので、覆土は十分に行う。
・ 育苗時の高温・過湿は発病を助長するので、適正な育苗管理に努める。

9. もがれ細菌病・苗立枯細菌病による苗立枯病の防除
・ 前述の「種子消毒」あるいは、次のいずれかで行う。
・ 播種前に、カスミン粒剤を育苗箱1箱当たり30gの割合で床土に均一に混和するか、播種後覆土前にカスミン粒剤を育苗箱当たり15〜20gを、播種した種籾の上から均一に散粒するか、カスミン液剤の4〜8倍液を育苗箱当たり50mlを播種した種籾の上から均一に散布する。
・ 育苗中の温度管理を徹底する。特に高温・過湿にならないように注意し、健苗育成に努める。
・ 発病苗は植えない。

10. 床土混和によるイネドロオイムシ、イネミズゾウムシの防除
・ 発生が多い圃場や本田での防除が労力的に難しい場合には、パダン粒剤4を育苗箱当たり80gの割合で床土用の土に混和する。ただし、覆土用の土にパダン粒剤4を混和すると薬害を生ずるので、覆土には混和しない。

11. 苗代におけるケラの防除
・ 播種前:耕起、整地して置床を作ってから、ダイアジノン粒剤5を10平方メートル当たり60gの割合で置床とその周辺に均一に散布する。

12. 苗代におけるキリウジガガンボの防除
・ 播種前:耕起、整地して置床を作ってから、バイジット乳剤1000倍液を、苗床1平方メートル当たり300〜500ml散布する。

<防除上注意すべき事項>
・ 消毒後の種籾は、魚介類に強い影響を及ぼす消毒剤もあるので河川、湖沼、ため池等で浸種しない。また、残液や器具の洗浄液がこれらの水系に流入しないようにする。
・ 消毒した種籾は、食用や家畜の飼料としない。
・ 薬剤処理は素手で行わない。
・ ダコニール粉剤は、砂質土壌では初期生育の抑制等の薬害を生じることもあるので、使用しない。
・ イネドロオイムシ、イネミズゾウムシ対象のパダン粒剤による床土混和は、床土の種類により薬害(葉先枯れ・巻葉)を生ずることがあるので、次の土壌には使用しない。
火山灰性の畑土・山土(リン酸吸収係数2,000以上の土壌)
砂土など有機物の含量の少ない土壌


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