水稲冷害研究チーム

98年岩手県「発生予察情報」


 なお,詳しい内容に関する問い合わせは岩手県病害虫防除所(TEL.0196-88-4477)にお願いいたします.

発生予報第1号

平成10年3月20日

岩手県病害虫防除所

1. 苗立ち枯れ(ムレ苗含む):発生量並
1) 予報の根拠
(1) 本年使用される種子の素質は良好である。
(2) 効果の高い薬剤が使用されている。
(3) 4月の気温は平年並の見込みであるが、気温の変動が大きい見込み。

2. ばか苗病:発生量少ない
1) 予報の根拠
(1) 種子更新率の向上およびEBI剤の普及などにより、近年、少発傾向にある。
(2) 前年の本田での発生は少なかった。

3. 細菌病類(もみ枯細菌病、苗立枯細菌病):発生量やや多い
1) 予報の根拠
(1) 近年細菌病の発生割合は高い。
(2) 4月の気温は平年並の見込みであるが、気温の変動が大きい見込み。

4. いもち病:発生量並
1) 予報の根拠
(1)前年の穂いもちの発生が少なかったことから、種子の保菌率は低く、罹病わら・籾殻等の伝染源も少ないと考えられる。
(3) 4月の気温は平年並の見込みであるが、気温の変動が大きい見込み。

<防除対策>
1. 防除のポイント
育苗期病害の共通対策として育苗基本技術に従う。特に、細菌病対策を重点に以下の耕種的防除に努める。
1) 塩水選は必ず行う。
2) 浸種、催芽、出芽は品種毎に行う。
3) 浸種は、一般に10〜15度、10〜7日とし、積算温度100〜120日度をめどに十分水漬けをする。ただし、必要以上の温度、時間をかけない。
4) シャワー循環式催芽器は、細菌の増殖、2時感染を助長するので催芽のみの使用とし、浸種は別の容器で行う。
5) 出芽温度は30度とする。
6) 緑化期以降、育苗ハウス等の開閉をこまめに行い、4度以下の低温、25度以上の高温にしない。
7) 過度の潅水にならないように注意する。

2. 苗立枯れ
・ 苗立枯れは、発生後の防除が困難なので、必ず予防対策をとる。
・ 緑化期以降、播種層等にカビがでやすいので発生に注意する。

3. ばか苗病
・ 種子消毒は、正しい処理法で必ず実施する。
・ ベルミル耐性ばか苗病菌が全県的に認められるので、種子消毒はEBI剤(ヘルシード水和剤、テクリード水和剤、スポルタック乳剤)を使用する。
・ EBI剤は、生育初期(播種10日頃まで)に草丈・根の伸長抑制がみられることがある。特に、低温に遭遇すると生育遅延が助長されるので、出芽後は適切な温度管理、潅水管理を行う。
・ 発病苗は見つけしだい抜き取り、土中に埋めるか焼却処分する

4. 細菌病類
・ 細菌病は適切な育苗管理が防除手段として最も重要なので、温度、水管理等、育苗基本技術を遵守する。
・ 薬剤防除は、前年の発生状況等を考慮して、適当な防除方法を選択して行う。薬剤防除だけでは十分な対策とならないので適切な育苗管理を併せて徹底する。
・ 前年発生、被害があったところ:播種後覆土前にカスミン液剤の4〜8倍液を箱当たり50mlを、種籾の上からキリナシノズルを用いて均一に散布するか、カスミン粒剤を覆土1リットル当たり15g均一に混和して覆土する。
・ 広く予防的に使用する場合:スターナ水和剤の種子粉衣または浸漬を行う。消毒後は、風乾作業を行う。
・ カスミン液剤の低濃度液(50〜200倍液など)の潅注は防除効果が期待できないので行わない。

5. いもち病
・ 例年、苗いもちや、育苗期に感染したと思われる苗が原因となって、早期から葉いもちが発生する圃場がみられるので、育苗期の感染防止対策として育苗期防除を実施する。
・ 苗いもち:塩水選後、種子消毒を行う。播種の際、籾が露出していると苗いもちの発生が助長されるので、覆土は適正に行う。
・ 育苗期の葉いもち:育苗施設内やその付近に、籾殻・稲わら等の伝染源となるようなものを放置しない。過度の被覆等で過湿に管理すると、発病を助長するので注意する。育苗期のいもち病感染を予防し、本田への持ち込みを防ぐため、育苗期防除を実施する。方法は、田植え予定の5〜7日前までに、予防効果の高い薬剤を本葉2葉期から7〜10日おきに、稚苗では1〜2回、中苗では2〜3回、茎葉散布する。なお、苗の葉は薬剤が付着しにくいので、展着剤を加えて丁寧に散布する。

6. 農薬の安全使用
・ 種子消毒後の薬液は、河川や地下水を汚染する心配がないところを選んで土壌表面に薄くまく等して処理する。



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