水稲冷害研究チーム

98年岩手県「発生予察情報」


 なお,詳しい内容に関する問い合わせは岩手県病害虫防除所(TEL.0196-88-4477)にお願いいたします.

発生予報 第2号

平成10年4月27日

岩手県病害虫防除所

1. 水稲病害
1) 苗立枯病:やや少ない
<予報の根拠>
・ 4月第5半旬現在、発生はほとんど確認されていない。
・ 苗立ち枯れの防除が徹底されている。
・ 5月前半の平均気温は平年並の予報。天気は周期的に変わり、寒気の入る時期がある見込み。

2) ばか苗病:やや少ない
<予報の根拠>
・ 種子更新率の向上およびEBI剤の普及などにより、近年は少発生である。
・ 前年の本田の発生は少なかった。
・ 4月中旬以降の平均気温は、平年より高く、ハウス内が高温になった。

3) 細菌病類(もみ枯細菌病・苗立枯細菌病):並
<予報の根拠>
・ 4月第5半旬現在、発生はほとんど確認されていない。
・ 細菌病対策の防除が広く行われた。
・ 4月中旬以降の平均気温は、平年より高く、ハウス内が高温になった。

4) いもち病:並
<予報の根拠>
・ 前年の穂いもちの発生が少なかったことから、種子の保菌率は低く、罹病わら・籾殻等の伝染源も少ないと考えられる。
・ 近年、育苗期間中に感染した苗の本田持ち込みが原因と考えられる早期発生がみられる。
・ 5月前半の平均気温は平年並の予報。

○ 防除対策
(1) 防除のポイント
・ ハウス内温度は、日中は25度以上、夜間は5度以下にならないように管理すると共に、過剰な灌水を避ける。また、一時的に寒気が流れ込み、遅霜の恐れがある予報のため、温度管理には十分注意する。
・ 育苗期のいもち病感染を予防し、本田への持ち込みを防ぐため、育苗期防除を必ず実施する。
・ 移植適期葉齢に達した苗は早めに移植し、育苗日数を長引かせない。

【苗立枯病】
ハウス内温度を日中は25度以上、夜間は5度以下にならないように管理すると共に、過剰な灌水にならないよう、気象に応じたこまめな温度・灌水管理を行う。

【ばか苗病】
育苗後期から発生が目立つので、早めに抜き取り土中に埋める等して処分し、発病苗を本田に持ち込まない。

【細菌病類】
・ きめ細かな温度管理を行い、ハウス内の温度を25度以上にしない。特に、寒気の恐れがある予報であるため、ハウスを閉め切ることで高温にならないよう注意する。また、過剰な灌水を避ける。
・ 発病苗はすぐに処分し、本田に移植しない。

【いもち病】
・ 2葉目が出た頃から7〜10日おきに、茎葉散布剤を散布する。(粒剤の箱施用の場合でも必ず行う)
防除方法:ラブサイド(ゾル、フロアブル、水和剤)、カスラブサイド(ゾル、水和剤)、ビームゾルのいずれか1000倍液(展着剤加用)を箱当たり20ml散布する。
・ 粒剤の育苗箱施用は、例年早期多発する地域に限り使用する。(7月下旬以降の防除対策を準備しておく)
移植3日前から当日、ウイン箱粒剤、Dr.オリゼ箱粒剤のいずれか。箱当たり50g。

2. 水稲害虫
1) イネミズゾウムシ:発生時期はやや早く、発生量はやや少ない
<予報の根拠>
・ 4月第5半旬現在、気温は平年より高く経過している。また5月の気温は平年並の予報。
・ 前年の発生量はやや少なかった。

2) イネクビボソハムシ(イネドロオイムシ):発生時期はやや早く、発生量はやや多い
<予報の根拠>
・ 4月第5半旬現在、気温は平年より高く経過している。また5月の気温は平年並の予報。
・ 近年少しずつ増加傾向にあり、前年は県南部、沿岸部で発生程度の高い圃場がみられた。
・ カーバメート系殺虫剤の抵抗性発現地域が拡大傾向にある。

(1) 防除のポイント
・ 両害虫共に箱施用剤による予防的防除が多いので、発生状況を調査して防除要否を判定し、より効率的な防除を行う。

(2) 防除要否判定方法
【イネミズゾウムシ】
成虫侵入盛期は県南部5月下旬、県央部6月上旬、県北・山間部6月中旬であり、この時期に畦畔から2m程入った場所で連続25株を調査する。
もし、25株の内食害株数が20株以上みられたら、粒剤水面または投げ込み施用する。

【イネクビボソハムシ】
産卵盛期は県南部5月下旬、県央部6月上旬、県北・山間部6月中旬であり、この時期に畦畔から2m程入った場所で連続25株を調査する。
もし、25株で13卵塊以上みられたら、粒剤水面または投げ込み施用、茎葉散布を行う。

(3) 薬剤処理方法
○ イネミズゾウムシのみ防除が必要な場合は、表1の防除方法から1つ選択して防除する。








表1 イネミズゾウムシの薬剤処理方法
防除方法 処理内容 使用薬剤と使用量
箱施用 畦畔から4〜5m幅に移植する箱に限って処理する オンコル粒剤5 箱当たり30〜50g
ガゼット粒剤 箱当たり40〜50g
デルタネット粒剤 箱当たり40〜50g
水面施用 畦畔から4〜5m幅に限って散布する トレボン粒剤 畦畔100m当たり1kg
MR.ジョーカー粒剤 畦畔100m当たり1kg
シンクロサールU粒剤2 畦畔100m当たり0.75kg
投げ込み施用 湛水状態で、畦畔際1〜2mの畦間に突き刺さらないように静かに投げ込む シンクロパック粒剤 10a当たり60g 5個








・ 箱施用または水面施用をする場合は、畦畔際だけに薬剤を処理する方法(あぜぎわ処理)で十分な防除効果が得られる。また、投げ込み剤も畦畔から処理できる。
・ 水面施用および投げ込み施用は成虫侵入盛期に行う。地域ごとの侵入盛期は以下の通りである。
県南部5月下旬、県央部6月上旬、県北・山間部6月中旬
・ シンクロパック粒剤は、表土剥離や藻類が多発していると薬剤成分の拡散が妨げるので、このような圃場での使用は避ける。

○ イネクビボソハムシのみ防除が必要な場合は、表2の防除方法から1つ選択して防除する。










表2 イネクビボソハムシの薬剤処理方法
防除方法 使用薬剤・使用量 使用薬剤・使用量
カーバメート系殺虫剤 カーバメート系以外の殺虫剤
箱施用 オンコル粒剤5 箱当たり30〜40g
がゼット粒剤 箱当たり40g
デルタネット粒剤 箱当たり40〜50g
サンサイド粒剤3 箱当たり50g
パダン粒剤4 箱当たり50g
カヤフォス粒剤 箱当たり50g
エカマート粒剤 箱当たり50g
ルーバン粒剤 箱当たり60〜80g
水面施用 レルダンサンサイド粒剤 10a当たり3〜4kg
サンサイド粒剤 10a当たり3〜4kg
パダンバッサ粒剤 10a当たり3〜4kg
バイジットサンサイド粒剤 10a当たり3〜4kg
トレボン粒剤 10a当たり2kg
MR.ジョーカー粒剤 10a当たり2〜3kg
シンクロサールU粒剤2 10a当たり1.5kg
投げ込み施用 シクロパック粒剤 10a当たり60g 5〜10個
茎葉散布 バッサ粉剤
デナポン粉剤2・水和剤
サンサイド粉剤DL
   粒剤 10a当たり3〜4kg
   水和剤 1000倍
PMP粉剤3DL
トレボン粉剤DL・乳剤
ルーバン粉剤DL・水和剤
   粉剤 10a当たり3〜4kg
   乳剤 2000倍
   水和剤 1000倍








・ 箱施用または水面施用をする場合は、あぜぎわ処理は行わず全面に処理する。投げ込み剤は畦畔からの処理で良いが、イネミズゾウムシ対象の防除よりも使用量を増やす。
・ 水面施用及び投げ込み施用は産卵盛期〜ふ化盛期に行う。地域ごとの産卵盛期は以下の通り。
県南部5月下旬、県央部6月上旬、県北・山間部6月中旬
また、茎葉散布をする場合の防除適期は、ふ化盛期〜加害初期である。
・ カーバメート系殺虫剤抵抗性のイネクビボソハムシが確認された地域では、他の系統の薬剤を選択して防除する。

○ 両害虫の防除が必要な場合は、イネクビボソハムシの防除が必要な場合に準ずる。ただし、茎葉散布はイネミズゾウムシに対して効果が劣るので行わない。

○ 本田における防除時期は今後の気象条件により変動する場合があるので、今後のミニ情報を参考にする。



HomePage back next Return Iken
torigoe@tnaes.affrc.go.jp