水稲冷害研究チーム
1999年青森県「発生予察情報」
なお,詳しい内容に関する問い合わせは津軽地域病害虫防除所(TEL.0172-52-6500)、南部地域病害虫防除所(TEL.0176-23-4290)にお願いいたします.
青森県病害虫発生予報 第1号
平成11年3月25日
津軽・南部地域病害虫防除所
1. 防除のポイント
1) 種籾の準備
・ 自家産の籾を種籾として使用する場合は、いもち病、ばか苗病やごま葉枯病が発生しなかった圃場産の籾を使用する。
2) 塩水選
・ 塩水選は充実した籾を選別するばかりでなく、いもち病、ばか苗病やごま葉枯病等に感染した籾を除去するためにも重要な作業であることから、必ず実施する。
・ 塩水の濃度は基準を守り、丁寧に実施するとともに、塩水選後は十分水洗いをする。
3) 種子消毒
・ 塩水選後浸種前に種子消毒を行う。
・ 薬液の量は、種籾と同じかそれ以上の容量とし、種籾が薬液から出ないようにする。
・ 薬液に浸漬して消毒する場合は、薬液の温度が10度以下のような低温になると防除効果が低下する傾向があるので、液温があまり低くならないように、屋内で消毒する。
・ 低濃度長時間浸漬で消毒する場合は、浸漬中に2〜3回薬液をよく攪拌する。
・ 高濃度短時間浸漬で消毒する場合は、網袋に入れた籾に薬液がよく付着するように網袋をよくゆする。
・ 生割れしてしまった種籾を消毒すると、生育遅延等の薬害を生ずるので、種籾は浸漬前に消毒する。
4) 浸種
・ 浸種時の水の量は、種籾の2倍かそれ以上の容量とする。
・ 浸種中の水温が低いと消毒の効果が低下する傾向があるので、水温は10度以下にならないようにする。
・ 消毒後の浸種は流水を避け、水の交換は初めの2日間は行わない。その後は3日程度に1回静かに水を交換する。
5) 催芽
・ 催芽の際に使用するわら類は、70度以上の湯に20分間浸漬して消毒する。
・ 循環式催芽機(ハト胸催芽機)は細菌の増殖を促進することがあるので、消毒等には使用しない。
2. フザリウム・ピシウム属菌による苗立枯病:発生量は平年並み。
1) 予報の根拠
・ 4月の気温は平年並みの見込みである。
・ フザリウム・ピシウム属菌に対する効果の高い剤による防除の徹底が見込まれる。
2) 防除のポイント
・ 土壌pHを5.0前後に矯正する。
・ 播種前に、タチガレエース粉剤を育苗箱1箱当たり8gの割合で床土に均一に混和するか、タチガレエース液剤の500〜1000倍液を、育苗箱に床土を詰め灌水してから、箱当たり500mlの割合で潅注する。
・ 育苗中の温度管理を徹底する。また、過湿にならないように注意し、健苗育成に努める。
<リゾープス属菌による苗立枯病の防除のポイント>
・ 育苗箱等の育苗資材は、十分水洗いしたものを使用する。
・ 傷籾の混入が多いと多発しやすいので、傷籾の混入が多い籾は使用しない。
・ 厚播きすると発生が多くなるので、基準播種量を守る。
・ 播種後5日前〜播種時に、ダコニール粉剤を箱当たり15〜20gの割合で床土に均一に混和するか、育苗箱に土を詰め、灌水してからダコニール1000の500倍液を箱当たり500mlの割合で潅注する。なお、いずれの場合もタチガレエース剤と併用または混用ができるが、ダコニール粉剤とタチガレエース粉剤との併用では初期生育を抑制することがあるので、基準薬量を厳守する。
・ 高温、過湿で多発するので注意する。特に、播種〜出芽期の温度は30〜32度、緑化〜1.5葉期の温度は30度以上にならないように注意する。
3. ごま葉枯病菌による苗立枯病:発生量は平年並み。
1) 予報の根拠
・ 前年の収穫期におけるごま葉枯病の発生量は平年並みであった。
・ 4月の気温は平年並みの見込みである。
2) 防除のポイント
・ 種子消毒の他、次のことにも注意する。
・ 種籾等が露出していると二次感染が多くなるので、覆土は十分に行う。
・ 育苗時の高温・過湿は発病を助長するので、適正な育苗管理に努める。
<もみ枯細菌病・苗立枯細菌病による苗立枯病の防除>
・ 播種前に、カスミン粒剤を育苗箱当たり30gの割合で床土に均一に混和するか、播種後覆土前にカスミン粒剤を育苗箱当たり15〜20gを、播種した種籾の上から均一に散粒するか、カスミン液剤の4〜8倍液を育苗箱当たり50mlを播種した種籾の上から均一に散布する。
・ 育苗中の温度管理を徹底する。特に、高温・過湿にならないように注意し、健苗育成に努める。
・ 発病苗は植えない。
<床土混和によるイネドロオイムシ、イネミズゾウムシの防除>
・ 発生が多い圃場や本田での防除が労力的に難しい場合、パダン粒剤4を育苗箱当たり80gの割合で床土用の土に混和する。ただし、覆土用の土に混和すると薬害を生ずるので、覆土には混和しない。
<苗代におけるケラの防除>
・ 耕起、整地して置床を作ってから、ダイアジノン粒剤5を10平方メートル当たり60gの割合で置床とその周辺に均一に散布する。
<苗代におけるキリウジガガンボの防除>
・ 耕起、整地して置床を作ってから、バイジット乳剤1,000倍液を、平方メートル当たり300-500ml散布する。
<<防除上注意すべき事項>>
・ 消毒後の種籾は、魚介類に強い影響を及ぼす消毒剤もあるので河川、湖沼、ため池等で浸漬しない。また、残り液や器具の洗浄液がこれらの水系に流入しないようにする。
・ 消毒した種籾は食用や家畜の飼料としない。
・ 薬剤処理は素手で行わない。
・ ダコニール粉剤は、砂質土壌では初期生育の抑制等の薬害を生ずることがあるので、使用しない。
・ イネドロオイムシ、イネミズゾウムシ対象のパダン粒剤による床土混和は、床土の種類により薬害(葉先枯れや巻き葉)を生ずることがあるので、次の土壌には使用しない。
○ 火山灰性の畑土・山土(リン酸吸収係数2,000以上の土壌)
○ 砂土など有機物の含量の少ない土壌
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