2000年仙台管区気象台発表予報

3月13日発表暖候期予報


 本情報は仙台管区気象台発表の暖候期予報内容をお知らせします.


○3月13日発表 東北地方暖候期予報(4〜9月)

1.予想される天候の特徴
夏(6〜8月)平均気温の各階級の確率
(1)夏(6〜8月):平均気温は、「平年並」の可能性が最も大きく、その確率は50%です。「高い」の可能性は次に大きく、その確率は30%です。「低い」の可能性は小さく、その確率は20%です。
(2) 天候の特徴
○4〜5月:天気は数日の周期で変わり、平年同様晴れの日が多いでしょう。
この期間の平均気温は平年並ですが、気温の変動が大きく、晩霜の恐れがあります。降水量は平年並の見込みです。
○6〜9月:6〜7月は梅雨前線や低気圧の影響で、平年同様曇りや雨の日が多いでしょう。オホーツク海高気圧の影響を受ける時期がある見込みです。その後は、太平洋高気圧に覆われ平年同様晴れの日が多いですが、寒気や前線の影響で曇りや雷雨の時期もあるでしょう。
6〜7月の降水量は平年並の見込みです。(6〜7月は東北地方の梅雨期間に相当)

2.近年の東北地方の夏(6〜8月)の天候
 東北地方の夏(6〜8月)の平均気温は、1950年代後半から70年代前半は年々の変動が小さかったが、70年代後半からは変動が大きくなっている。1990年代に入っても、93年の記録的な冷夏、94年の暑夏と極端な天候が現れており、昨夏も梅雨期にオホーツク海高気圧は現れても一時的で晴れる日が多く、梅雨明け後は太平洋高気圧が平年より北に偏って張り出したため、東北地方は記録的な暑夏となった。
東北地方の夏(6〜8月)の平均気温平年差の推移
東北地方の夏(6〜8月)の平均気温平年差の推移
(棒グラフ:平均気温平年差 太線:5年移動平均値 細線:-0.5℃≦平年並の範囲≦0.3℃)

 東北地方の夏(6〜8月)の降水量は、1970年代後半から年々の変動が大きくなっており、平年並の年は少なく、多雨や少雨の年が多くなっている。1990年代はさらに変動が大きく、91年の多雨、94年の猛暑干天・水不足、98年は梅雨明けが確定できず各地で記録的な多雨となった。昨夏も梅雨前線の活動の活発化や日本の南海上に発生した熱帯低気圧の影響で東北太平洋側を中心に局地的な大雨となった。
1980年以降の東北地方の夏(6〜8月)の天候の特徴
平均気温降水量日照時間特   徴
1980かなり低いかなり多いかなり少ない低温、前半梅雨不活発、後半活発
1981やや低いかなり多いやや少ない梅雨寒、短い夏、水害
1982やや低いやや少ない平年並梅雨明け遅い、短い夏、水害
1983かなり低いやや多いやや少ない低温寡照、梅雨明け遅い、8月は大雨
1984やや高いかなり少ないやや多い少雨、8月は猛暑
1985やや高いやや少ないかなり多い梅雨活発、猛暑少雨多照
1986やや低いやや多い平年並梅雨活発、短い夏、台風
1987平年並平年並平年並梅雨明け遅い、7月は一時高温、8月はオホーツク高、天気不安定
1988やや低いやや多いかなり少ない梅雨活発、8月は熱低多発、天気不安定
1989平年並やや少ない平年並梅雨活発、梅雨寒、雷雨多発、台風、天気不安定
1990かなり高い平年並平年並盛夏安定、台風
1991平年並かなり多いかなり少ない梅雨活発、梅雨明け遅い
1992平年並やや少ない平年並6月低温、梅雨の中休み顕著、8月は気温の変動大、少雨
1993かなり低いかなり多いかなり少ない大冷夏、大冷害、多雨寡照
1994かなり高いかなり少ないかなり多い空梅雨、7〜8月は記録的な高温、少雨多照
1995平年並やや多いかなり少ない前半梅雨不活発、後半活発
1996平年並やや少ないやや少ない気温の変動大、台風
1997やや高いやや少ない平年並6月に台風、8月後半はオホーツク高
1998平年並かなり多いかなり少ない梅雨明け確定できず、気温の変動大、8月は前線の活動が活発
1999かなり高いかなり多い平年並記録的な高温、東北太平洋側で多雨
東北地方の夏(6〜8月)の降水量平年比の推移
東北地方の夏(6〜8月)の降水量平年比の推移
(棒グラフ:降水量平年比 太線:5年移動平均値 細線:92%≦平年並の範囲≦112%)

3. 熱帯の海洋の状況
 エルニーニョ監視海域(北緯4度〜南緯4度、西経150度〜西経90度)の海面水温偏差は、1998年秋から99年春までのラニーニャ現象が終息した後も依然として負偏差が持続し、99年夏から再びラニーニャ現象となっている。
 エルニーニョ監視海域の海面水温は今後次第に平年値に近づき、夏以降は平年並で経過すると予測される。このため、現在発生しているラニーニャ現象は、夏までには終息するとみられる。また、エルニーニョ予測モデルはやや高めの海面水温を予測しているものの、過去の予測実験の結果などを考慮すると、予測期間内にエルニーニョ現象が発生する可能性は低いとみられる。

4.北半球中緯度層厚換算温度の傾向
 1997年から全球平均の層厚換算温度(対流圏の平均温度に相当)は高い状態が続いていた(図略)。全球平均の層厚換算温度はエルニーニョ現象の発生後やや遅れて(半年程度)上昇し、ラニーニャ現象の発生後やや遅れて下降する。現在はラニーニャの状態なので、対流圏の気温は下がってきている。
300〜850hPaの北半球中緯度層厚換算温度
300〜850hPaの北半球中緯度層厚換算温度平年差(50-30°N)と
東北地方気温平年差の時系列
(太線:北半球中緯度層厚換算温度平年差 細線:東北地方気温平年差
線は共に季節的な変動を消して長期的な傾向を見るために11か月移動平均で平滑化)

 北半球中緯度(50-30°N)の層厚換算温度も、ペースは鈍かったものの98年をピークに低下してきており、今後も熱帯太平洋の海面水温の状況を考えれば急激に上昇する可能性は小さい。
 また、最近約10年の北半球中緯度層厚換算温度平年差と東北地方の地上気温平年差の長期変動を見てみると、両者の傾向は概ね一致していることから、東北地方の気温の長期的な変化が北半球全体の変動の一環として起こっていることが分かる。

5.その他の統計資料
 重回帰法や類似法などによる統計資料では、全般に「平年並」を示唆する資料が多い。
 極東東西指数から梅雨期は南北流型の流れのパターン(寒気南下の可能性)、8月を中心に東西流型のパターン(寒気が南下しにくい)が予想される。また、オホーツク海高気圧指数は6月後半から7月前半強まる予想となっている。

6.まとめ
 東北地方では、1970年代後半から気温の変動が大きくなっており、90年代に入っても変動が大きく極端な天候が現れやすい。また、ラニーニャ現象は夏以降解消する見通しだが、今夏にエルニーニョ現象が発生する可能性は低い。このため、夏の西部赤道域の対流活動は少なくとも平年並程度には活発な見込みで、盛夏期における太平洋高気圧の日本への張り出しは平年並もしくは強めと考える。ただ、北半球中緯度の層厚換算温度の高い状態は次第に解消しつつあること、北から冷たい空気が流れ込んで低温やぐずついた天候をもたらすオホーツク海高気圧が現れやすい傾向も見られることを考慮して、東北地方の夏平均気温は変動が大きいが全体として平年並と考える。
 また、夏の降水量も傾向を見ると気温と同様に年々の変動が大きくなっており、近年は記録的な大雨となるなど極端な天候が現れやすくなっている。6〜7月の東北地方の降水量は、統計資料から平年並の可能性が大きい。しかし、昨夏のように熱帯低気圧や台風の影響を受ける可能性もあり、局地的な大雨等には十分注意が必要である。

7.参考資料
(1)平年の梅雨入りの時期
  東北南部:6月12日頃、東北北部:6月14日頃
(2)平年の梅雨明けの時期
  東北南部:7月23日頃、東北北部:7月26日頃
(3)台風の傾向
 台風の年間発生数と本土(北海道、本州、四国、九州)への接近数は、1970年代から80年代前半までは少ない傾向だったが、80年代末から90年代前半にかけて平年を上回る傾向があった。最近の発生数は減少傾向で、98年は台風第1号の発生が7月と遅く、発生数も16個と最も少なかった。しかし、上陸数や本土接近数は変動が大きく、97年、98年は平年を上回っているので、今夏も台風に対して十分注意が必要である。

 

 

reigai@tnaes.affrc.go.jp