2006年仙台管区気象台発表予報
9月25日発表寒候期予報
本情報は仙台管区気象台発表の寒候期予報内容をお知らせします.
○9月25日発表 東北地方寒候期予報
(10月から2月までの天候見通し)
<予想される冬(12月から2月)の天候>
冬(12月から2月)の出現の可能性が最も大きい天候と特徴のある気温、降水量等の確率は以下のとおりです。
東北日本海側では平年に比べて曇りや雪または雨の日が少なく、東北太平洋側では平年に比べて曇りや雪または雨の日が多いでしょう。
この期間の平均気温は東北地方で平年並または高い確率ともに40%、降水量は東北太平洋側で平年並または多い確率ともに40%、東北日本海側の降雪量は平年並または少ない確率ともに40%です。
なお、11月までの予報については最新の3か月予報等をご覧ください。
<冬(12月から2月)の気温、降水量、降雪量の各階級の確率(%)>
【気 温】
東北地方
【降 水 量】
東北日本海側
【降 水 量】
東北太平洋側
【日照時間】
東北地方
凡例:
低い(少ない)
平年並
高い(多い)
1.今冬(12 月〜2 月)の予報
(1)確率予報の特徴
12 月〜2 月
気温
平年並または高い確率がともに40%
(寒冬確率20%、並冬確率40%、暖冬の確率40%)
降水量
東北日本海側では、各階級の確率の偏りは小さい
(少ない確率が40%、平年並と多い確率がともに30%)
東北太平洋側では、平年並または多い確率がともに40%
東北日本海側の降雪量
平年並または少ない確率がともに40%
(2)出現の可能性が最も大きい天候
東北日本海側では平年に比べて曇りや雪または雨の日が少なく、東北太平洋側では平年に比べて曇りや雪または雨の日が多いでしょう
2.予報の根拠
(1)長期的な傾向
@.気温
東北地方の冬(12〜2 月)平均気温は、1980 年代半ばまでは低温が現われやすかったが、1980年代終わりから90 年代前半にかけては顕著な高温が続いた。最近は、2001/02 年は高温、2002/03年は平年並、2003/04 は高温、一昨年は平年並、昨年は低温と年々の変動が大きく、低温、高温どちらかに偏よる傾向はない。
A.降水量
東北地方の冬(12〜2 月)の降水量は、東北日本海側、東北太平洋側ともに1970 年代前半までは多雨傾向だった。70 年代後半からは平年並から少雨傾向となったが、最近は平年並から多雨傾向になってきている。
B.降雪量
東北日本海側の冬(12〜2 月)の降雪量は、1970 年代から80 年代は5 年移動平均でみると平年並から多い傾向だが年々の変動が大きかった。90 年代以降は平年に近い値で推移している。
C.対流圏の平均気温(層厚換算温度)
熱帯域の海面水温の変動は、地球全体の対流圏の平均気温に影響を与えている。この対流圏の平均気温を北半球の中緯度度帯(50°N〜30°N)で平均した気温と日本の気温には正の相関関係があり、近年は2000/01 年冬や2002/03 年冬に負偏差となった他は、ほぼ正偏差が持続している。月別でも昨年の11〜12 月は一時負偏差となったが、今年に入っては正偏差が続いている。
※500hPa と300hPa の高度差(層厚)を温度に換算した量が、対流圏の平均温度にほぼ相当し、それを層厚換算温度という。
D.極の寒気の動向(北極振動)
冬の北半球の大気の流れの卓越パターン(冬の北半球500hPa 高度場の年々変動を主成分分析した結果の第1 主成分の変動パターン)は、極地方に大きな振幅と、中緯度のヨーロッパ、北米東部、極東域〜太平洋北部に反対符号の大きな振幅を持っており、「北極振動」(北極圏とそれを取り巻く中緯度帯の間の気圧場の南北振動のことで、北極の寒気が蓄積と放出を交互に繰り返す変動を示す)のパターンと類似している。
この卓越パターンの強さを示す指数が正の場合、北極付近など高緯度側で高度が負偏差、日本付近など中緯度の高度は正偏差となる傾向があり、日本に寒気が入りにくい。指数が負の場合は、この逆で日本に寒気が入りやすい。この様に、卓越パターンの変動と日本の冬平均気温には正の相関関係があり、この傾向は特に東北地方を含む北日本ほど明瞭である。
1990 年前後の極端な暖冬が続いた時期は指数が大きな正の値だったが、その後は低指数傾向がとなっており、現在は低極付近にあると考えられる。
(2)太平洋赤道域の海洋の状況
2006年8月の太平洋赤道域の海面水温は、西部で平年より低く、中部から東部にかけて平年より高かった。エルニーニョ監視海域(北緯5度〜南緯5度、西経150度〜西経90度)の海面水温は、概ね基準値に近い値で推移し、予報期間中にエルニーニョ現象が発生する可能性は低い。また、秋から冬にかけて一時的に基準値よりやや高い値となる可能性があり、昨冬のようにラニーニャ現象が一因となって寒気の南下を助長するような状況は考えにくい。
(3)数値予報(アンサンブル予報)による大気の流れの予想
冬(12〜2 月)平均の500hPa 高度の予想図は、日本付近は東西に広く正偏差(暖気に対応)に覆われるが、ベーリング海は負偏差(寒気に対応)となる。日本付近は高温が予想される。
冬(12〜2 月)平均の地上気圧の予想図は、アリューシャン列島付近は負偏差だが、日本の東海上は正偏差。日本付近は等圧線の間隔が平年に比べて広く、冬型の気圧配置は平年に比べて弱い。
3.まとめ
最近の東北地方の冬の気温は、低温傾向や高温傾向といったどちらかに偏よる傾向はない。
日本の気温と正の相関が高い中緯度層厚換算温度は、近年高い傾向がある。
冬の北半球循環場の卓越パターンは、近年寒気が日本付近に南下しやすい傾向がある。
今冬のエルニーニョ監視海域の海面水温は基準値に近い値で推移すると見られ、エルニーニョ現象やラニーニャ現象が発生する可能性は低い。ただし、秋から冬にかけて一時的に基準値よりやや高い値となる可能性があり、昨冬のようにラニーニャ現象が一因となって寒気の南下を助長するような状況は考えにくい。
数値予報による大気の流れの予想からは、冬型の気圧配置は長続きしない。
その他各種資料を総合的に判断すると、東北地方へは時々寒気が南下するが、持続的に強い寒気が南下する可能性は小さい。このため冬平均気温が低温になる可能性は、平年並や高温になる可能性に比べて小さく、日本海側の降雪量は、多雪になる可能性は小さいと考えられる。また、冬型の気圧配置が長続きせず、時々低気圧の影響を受けることが予想され、冬の降水量は、東北太平洋側では少雨になる可能性は小さい。一方日本海側では寒気による雪としての降水量が少なく、少雨になる可能性が若干大きいものの、低気圧による雨としての降水量があることから、平年並や多雨になる可能性との差は小さいと考える。
なお、今後も太平洋赤道域の大気・海洋や北半球循環場の推移等を注意深く監視し、10 月の3か月予報(25 日発表)に合わせて寒候期予報の内容を再検討し、変更がある場合には修正して発表することにしています。
reigai@ml.affrc.go.jp