2009年仙台管区気象台発表予報

9月24日発表暖候期予報


 本情報は仙台管区気象台発表の暖候期予報内容をお知らせします.


○9月24日発表 東北地方暖候期予報(10月から2月までの天候見通し)
<予想される冬(12月から2月)の天候>
 冬(12月から2月)の出現の可能性が最も大きい天候と特徴のある気温、降水量等の確率は以下のとおりです。
 東北日本海側では平年と同様に曇りや雪または雨の日が多く、東北太平洋側では平年と同様に晴れの日が多いでしょう。
 なお、12月までの予報については最新の3か月予報等をご覧ください。

<冬(12月から2月)の気温、降水量、降雪量の各階級の確率(%)>
【気  温】東北地方
【降 水 量】東北地方
【降 雪 量】東北地方
凡例:低い(少ない)平年並高い(多い)


1.今冬(12 月〜2 月)の予報
(1)確率予報の特徴
 12 月〜2 月
気温各階級の確率の偏りは小さい (低い 30% 平年並30% 高い40%)
降水量各階級の確率の偏りは小さい (少ない30% 平年並40% 多い30%)
東北日本海側
の降雪量
平年並または少ない確率がともに40%

(2)出現の可能性が最も大きい天候
 東北日本海側では平年と同様に曇りや雪または雨の日が多く、東北太平洋側では平年と同様に晴れの日が多いでしょう。

東北地方の平年のおおよその天気出現日数
 10 月11 月12 月1 月2 月
晴れの日
日照率40%以上
東北日本海側159557
東北太平洋側1818192018
雨(雪)の日
日降水量1mm 以上
東北日本海側1316192017
東北太平洋側98777
注:季節予報では、「日照率40%以上の日数」、「日降水量1mm 以上の日数」をそれぞれ晴れの日、雨の日の目安と
して用いている。この2 つの事象は同じ日に起こりうるため、両方に数えられる日もある。なお、日照率は1 日
の日照時間を可照時間(太陽の中心が東の地平線に現れてから西の地平線に没するまでの時間)で割った値である。

2.予報の根拠
(1)長期的な傾向
@ 気温
 東北地方の冬(12〜2 月)平均気温は、1980 年代中頃までは平年を下回ることが多かった。1980年代終わりから90 年代前半にかけては平年を大きく上回ったが、その後は次第に下がり、2000/01年以降は、年々の変動が大きくなっている。
東北地方の冬(12〜2 月)平均気温平年差の推移

A 降水量
 東北地方の冬(12〜2 月)の降水量は、東北日本海側、東北太平洋側ともに1970 年代前半までは多雨傾向だった。70 年代後半からは平年並から少雨傾向となったが、近年は平年並から多雨傾向になってきている。また、東北日本海側は年々の変動が小さいが、東北太平洋側は変動が大きい。

東北地方の冬(12〜2 月)の降水量平年比の推移(上:東北日本海側 下:東北太平洋側)

B 日本海側の降雪量
 東北日本海側の冬(12〜2 月)の降雪量は、1970 年代から80 年代は5 年移動平均でみると平年並から多い傾向だが年々の変動が大きかった。90 年代以降は平年に近い値で推移していたが、2006/07 は記録的な少雪となり、昨年と一昨年も少雪となった。
東北日本海側の冬(12〜2 月)の降雪量平年比の推移


最近5 年間の東北地方の冬(12〜2 月)の天候
東北地方
冬平均気温
平年差(℃)
東北日本海側
冬降雪量
平年比(%)
東北地方の冬(12〜2 月)の天候の特徴
04/050.3( 0)99( 0)12 月高温、2 月低温 東北太平洋側多雪
05/06-0.9( -)100( 0)寒冬(前半低温・後半気温変動大) 平成18 年豪雪
06/071.7(++)30(--)記録的な暖冬・少雪
07/080.0( 0)70(--)並冬、少雪、寡照
08/091.3(++)59(--)暖冬、少雪(但し、降水量は多い)
・ 冬平均気温平年差及び冬降雪量平年比の()内は階級で、かなり高い・かなり多い(++)、高い・多い( +)、
平年並( 0)、低い・少ない( -)、かなり低い・かなり少ない(--)で表す。

C 中緯度大気の平均気温
 北半球の中緯度帯(50°N〜30°N)で平均した大気の温度1)と日本の気温には正の相関関係がある。近年は、2000/01 年冬や2002/03 年冬に比較的強い低極となった他は、おおむね正偏差が持続してきた。最近も正偏差側に偏る傾向がある。
1)850hPa と300hPa の高度差(層厚)から換算した温度平年差で、対流圏の平均温度にほぼ相当する。

D 北極振動(寒気の動向)
 冬の北半球における大気の流れの卓越パターン2)は、極地方に大きな振幅と、中緯度のヨーロッパ、北米東部、極東域〜太平洋北部に反対符号の大きな振幅を持っており、「北極振動」3)と呼ばれるパターンに類似している。
 この卓越パターンの強さを示す指数が正の場合、北極付近など高緯度側で高度が負偏差、日本付近など中緯度の高度は正偏差となる傾向があり、日本に寒気が入りにくい。指数が負の場合は、この逆で日本付近に寒気が入りやすい。この様に、卓越パターンの変動と日本の冬平均気温には正の相関関係があり、この傾向は特に東北地方を含む北日本ほど明瞭である。
 指数の長期傾向には十数年程度の周期変動がみられ、1990 年前後の極端な暖冬が続いた時期は指数が正の大きな値だった。その後は平年付近を変動しているが、近年、北日本では寒冬がやや現れやすくなっており、2005/06 年は寒冬となった。なお、最近3 年間は指数が正となった。2000 年代前半の低極から高極に向かいつつある可能性があるが、今冬について高指数の根拠とするほど明瞭な変動とは言いがたい。
2)冬の北半球500hPa 高度場の年々変動を主成分分析した結果の第1主成分の変動パターン。
3)北極圏とそれを取り巻く中緯度帯の間の気圧場の南北振動のことで、北極の寒気が蓄積と放出を交互に繰り返す変動を示す。

(2)太平洋赤道域の海洋の状況
 2009年8月の太平洋赤道域の海面水温は全域で正偏差で、エルニーニョ監視海域(北緯5度〜南緯5度、西経150度〜西経90度)の海面水温の基準値との差は+0.8℃だった。太平洋赤道域における表層水温や大気の循環からは、今後、東部の海面水温の正偏差が強まることが考えられる。また、エルニーニョ予測モデルは、エルニーニョ監視海域の海面水温が、予測期間中、基準値より高い値で推移すると予測している。以上のことから、エルニーニョ現象が発生しており、冬までは持続する可能性が高いと考えられる。なお、西部太平洋赤道域の海面水温は、春以降、基準値に近い値で推移しているが、秋には次第に基準値より低くなると予測される。
 エルニーニョ現象時の冬には、過去の統計からは、東北地方では降水量が少ない傾向が見られる。
エルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差の先月までの推移と今後の予測

(3)数値予報(アンサンブル予報)による大気の流れの予想
 冬(12〜2 月)平均の500hPa 高度と偏差の予想図では、太平洋熱帯域や日本付近を含む中緯度帯は正偏差(一般に暖気に対応)におおわれる。一方、アリューシャンからアラスカの南にかけては負偏差(一般に寒気に対応)となる。
 冬(12〜2 月)平均の海面気圧と偏差の予想図では、アリューシャン低気圧が中心付近で平年よりやや強く、南で弱い。日本付近は、北日本中心の冬型の気圧配置。
 500hPa 高度の予想からは、日本付近は正偏差で高温傾向も考えられるが、日本の北からアリューシャン付近が負偏差となっている。日本付近への寒気の南下は弱いと予想されるものの、アンサンブルメンバー間のばらつきが大きく、また、もともと高緯度の大気循環の予測は難しいことから、東北地方では予想資料よりも寒気南下の可能性を考慮する。

3.まとめ
 最近の東北地方の冬の気温は、年々の変動が大きく、低温または高温のどちらかに偏る傾向はない。日本の気温と正の相関がある対流圏の平均気温(北半球中緯度層厚換算温度)は2003 年冬以降、一時的に負偏差になることはあっても、正偏差が持続している。全球海面水温の上昇傾向、エルニーニョ現象の持続や数値予報による予測も考慮すると、高温傾向が予想される。しかし、数値予報資料では、北極付近の寒気の南下について、アンサンブル平均では平年程度に予測されているものの、アンサンブルメンバー間のばらつきが大きく、不確定性が大きいことから、寒気南下の影響を考慮する。
 各種資料を総合的に判断すると、東北地方では冬平均でみて平年程度の冬型の気圧配置が見込まれ、冬平均気温は高い可能性を少し大きくみるものの、確率に大きな差はつけない。降水量は平年程度を見込むが、東北日本海側の降雪量については近年の少雪傾向や数値予報資料から平年並か少なめに考える。
 なお、現時点では、冬の天候にもっとも大きな影響を与える北極振動の動向については明瞭でない。北極振動の寒気放出期となった場合には、強い寒気の影響を受ける可能性もある。今後も北極振動については注意深く監視を続け、10 月22 日あるいは11 月25 日に発表する3か月予報に反映していく。
 
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