閑話休題
日本農業新聞論説より2題
研究開発で競争原理を生かせ
農水省は、十月一日付で傘下試験研究機関の大がかりな組織再編(林業と水産除く)を断行した。農業分野の研究者約二千三百人のうち、二人に一人が新たな辞令を交付されたというから、異動人数からいえば戦後最大規模とみてよい。ウルグアイ・ラウンド農業合意後の今日、国際競争に打ち勝つ研究成果を農業者の経営革新につなげるためにも、技術開発分野の大きなジャンプが望まれている。 とくに、大学ではない産業官庁の研究者として、現場でどう生かされていくかを常に追求していかねばならない。研究者の一層の奮起を期待したい。
現場直結の技術をめざす
今回の組織再編の目玉は二つある。一つは、北海道から九州までの全地域農業試験場(六か所)に「総合研究部」を新設したこと。専門が異なる研究者が結集し、経営に役立つ機械化作業体系の確立など、生産現場に直結した技術開発を集中的に行う。
もう一つは、つくば農林研究団地はじめ専門の場所機関中心に、研究単位の大型化を図ったことだ。約七百ある研究室の約二割を廃止し、新たに「上席研究官」(約百人)を設けた。バイオテクノロジーはじめ先端技術部門中心に、効率的な研究を推進するのが目的だ。
ここで特に注目したいのは、今回の組織再編では、単に機構を改革し、必要な人員を異動させた、という表面的な事にとどまらず、研究現場にも“競争原理”が働くような、新たなシステムづくりを模索している点だ。
今年の科学技術白書は、競争的な研究環境を生み出すことの必要性を強調している。また、七月に閣議決定された「科学技術基本計画」でも、@公募型研究など多様な競争的資金を大幅に拡充、A研究課題、研究者の評価指針を策定する−−などをうたっている。
具体的には、研究を活性化させるため、今後は思い切った人材の登用を行う計画だ。国際研究交流を進めるため、特に外国人の研究公務員への任用や、博士課程を修了した若手研究者(ポストドクター)の積極的な活用などを重点に進めていく考えだ。さらに、新技術の知的所有権の保護を強化するため、特許の取得も推進する。
独創的な研究で活力を
既に、農林水産業版の公募型基礎研究推進事業が動き出している。生研機構が募集した研究課題には、産学官から採択予定数の二十倍もの応募があり、関心の高さを示した。これからの研究者には常に独創的な研究戦略が求められ、単に学会などへの論文発表にとどまらず農林水産業への貢献度が具体的に問われよう。
農水省技術行政のトップは「研究者、技術者は、農業者、人類から何を期待されているかをしっかり踏まえて、試験研究、技術開発に全力を傾注していかねばならない。今まさに、真価を発揮する大きな舞台が用意された、と認識すべきではないか」と説く。
もちろん、研究者だけに過剰なプレッシャーをかけるだけでは事は進まない。例えば、特許取得など研究成果の帰属では、研究者の苦労が報われる新たなシステムづくりが不可欠といえよう。
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