図説:東北の稲作と冷害

葉いもち病斑の分類


葉いもちの病斑は品種や環境条件によって変化し、同一葉上でも褐点から大型の典型的病斑まで混ざっている。各病斑の特徴を概説する。

葉いもち病斑の分類

 本田の葉で発生するいもち病を『葉いもち』と呼んでいる。東北地域では、分げつ期から出穂期にかけて連続的に発生する。
 病斑は、はじめ円形か楕円形で灰緑色ないし暗緑色水浸状で、後に葉脈に沿って拡大し、紡錘形ないし長菱形の褐色病斑となる。典型的な病斑は中央に灰白色の崩壊部があり、その周りが褐色紡錘形の壊死部で囲まれ、その外周に黄色の中毒部をもつ。病斑を通る葉脈は長く褐変して、壊死線を形成する。
 病斑は大きさ、形、色、性質などから、次のように分類されている。

1. 褐点型
 病斑が小さな褐点で止まるものである。抵抗性品種や窒素肥料の少ない稲、あるいは下葉などに見られる。これは拡大したり、病斑上に分生子を形成しない。

2. 白斑型
 白い小さな円形病斑で、畑苗代で多窒素状態で育った苗や、温室で育苗した軟弱な苗にときどき見られる。本田では見られない。

いもち病斑(止まり型) 3. 止まり型(右写真参照)
 湿潤型病斑出現後にイネが防御反応をとり病斑の拡大が停止した段階のもので、最も一般的に見かける病斑型である。この病斑型の形状は右写真のように葉脈方向に沿って長い紡錘型をとり、中央部は灰白色の崩壊部、その周辺に濃い褐色の褐変部、さらにその外周には黄褐色をした中毒部がある。またこれらの部分からはみ出して褐変した葉脈が見られ(壊死線)、これは他の類似病害の病斑には見られないことから、葉いもちの診断の決め手となる。褐変部と中毒部はイネの防御反応が行わ
れた部分である。イネの体質が比較的罹病的な場合には葉脈方向に沿った病斑拡大がなかなか停止せず、細長い病斑となる。この病斑型では湿潤型ほどの胞子は形成されないが、それでも湿潤条件が続けば崩壊部でかなりの胞子が形成されるようになるため、「慢性型」あるいは「停滞型」とも呼ばれる。

いもち病斑(湿潤型) 4. 湿潤型(急性型、右写真参照)
 直径数ミリのほぼ円形で葉脈方向に沿った両端にやや尾を引いたような形状をし、色は淡く紫を帯びた灰白色をしている。この病斑は出現して数日以内に見られるが、多肥条件や天候不順等でイネが罹病的な場合には長期間この病斑型で拡大を続けることがある。また、この病斑上では大量の胞子が形成されるため、それを伝染源として二次伝染が起こりやすいため、本病斑型が確認された場合は特段の注意が必要である。これらのことから、本病斑型は「急性型」、「進展型」とも呼ばれる。写真は湿潤型の病斑であるが、病斑の一部では既に後述する「止まり型」病斑に変化しつつある。

 このように、病斑型は稲の抵抗力、病勢の進展力を端的に現しており、その後の病勢の進展を予測し、防除の要否を決める重要な指標となる。

<参考資料>
○大畑貫一(1989)。稲の病害−診断・生態・防除−。全国農村教育協会。
○山中 達・山口富夫(1987)。稲いもち病。養賢堂。
○鐙谷大節(1955)葉稲熱病の感染型について。栃内・福士両教授還暦記念論文集、197-201.
○小野小三郎(1952)イモチ病の防除と病斑の類型。農業技術7:24-26.

<写真提供:東北農試地域基盤研究部病害生態研究室>

 
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