図説:東北の稲作と冷害

品種解説:「ひとめぼれ」


本品種の障害型耐冷性は「ササニシキ」より明らかに強く、「トドロキワセ」よりやや強い“極強”である。名前の意味は、“光沢、色沢が美しく極良食味であることから、出会った途端に一目惚れするような品種であること”を表現する。

品種解説:「ひとめぼれ」

1.来歴の概要
 晩生で耐冷性が強く、良食味の「コシヒカリ」を母とし、中生で草姿の優れた「初星」を父として、1982年に宮城県古川農業試験場で交配された。1988年に「東北143号」の系統名が付けられ、1991年に水稲農林313号として登録された。

2.形態的特性
・ 稈 長:「ササニシキ」よりやや短い。
・ 穂 長:「ササニシキ」よりやや長い。
・ 穂 数:「ササニシキ」より少ない、偏穂数型のうるち種である(下図参照)。
・ 粒 大:「ササニシキ」より大きい。
・ 千粒重:「ササニシキ」よりやや大きい(下図参照)。

「ひとめぼれ」の特徴

3.生態的特性
・ 出穂期:「ササニシキ」並みである。
・ 成熟期:「ササニシキ」よりやや早く、育成地では“中生の晩”である。
・ 収量性:「ササニシキ」並みかやや優る。
・ 耐倒伏性:「ササニシキ」よりやや強い。
・ 葉いもち抵抗性:“やや弱”
・ 穂いもち抵抗性:“中”
・ 耐冷性:「ササニシキ」より明らかに強く、「トドロキワセ」よりやや強い“極強”である。
・ 穂発芽性:「ササニシキ」より明らかに難で、「トドロキワセ」並みの“難”である。

特 性ひとめぼれササニシキ
耐冷性極強やや弱
耐倒伏性やや弱
葉いもち抵抗性やや弱
穂いもち抵抗性
穂発芽性やや易

4.品質・食味特性
・粒張り、光沢が良く、腹白、心白は「ササニシキ」より少ない。
・ 玄米の外観品質は「ササニシキ」より良好で、“上の中”である。
・ 食味は「ササニシキ」に優り極めて良好で“上の上”である。

5.適地等
・ 東北中南部の平坦地、関東以南の早期栽培、および温暖地、暖地の高冷地帯に適する。

6.栽培上の注意
・ 「ササニシキ」より穂数、1穂籾数が少ないので、健苗を育成するとともに、栽植密度を確保し、早期に有効茎数を確保する。
・ 葉いもち抵抗性が「ササニシキ」並みの“やや弱”、穂いもち抵抗性が「ササニシキ」よりやや強いので適期防除に留意する。
・ 種子の休眠性が強いので、催芽前の浸漬は十分に行う。
・ 耐倒伏性は「ササニシキ」より強いが、“やや弱”なので多追肥は避ける。


<参考資料>
 農林水産省農林水産技術会議事務局(平成3年6月):平成3年農林水産省育成農作物新品種(夏作物・園芸作物)。
 
 
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