図説:東北の稲作と冷害
品種解説:「ミルキークイーン」
本品種の障害型耐冷性は「コシヒカリ」並みに、“極強”である。名前の意味は、“低アミロースで米粒がうっすらミルク状に白く不透明になること”を表現する。
品種解説:「ミルキークイーン」
1.来歴の概要
1985年に農業研究センターにおいて、「コシヒカリ」の5個体に受精卵にN-ニトロソ-N-メチルウレア処理を行い、650粒の種子を得た。その後の育成過程で、半糯突然変異個体2個体を得た。1992年に「関東168号」の系統名が付けられ、1995年に水稲農林332号として登録された。
2.形態的特性
・形態的特徴は「コシヒカリ」と同じである。
・ 稈 長:長稈
・ 穂 長:“中”程度
・ 穂 数:“中”程度で、草型は中間型。
・ 粒 大:「コシヒカリ」並みである(下図参照)。
3.生態的特性
・生態的特性は「コシヒカリ」と同じである。
・ 出穂期・成熟期:育成地では“早生の晩”である。
・ 収量性:「コシヒカリ」よりやや低いとみられる(上図参照)。
・ 耐倒伏性:“弱”
・ 葉いもち抵抗性:“弱”
・ 穂いもち抵抗性:“弱”
・ 耐冷性:「コシヒカリ」並み。
・ 穂発芽性:“難”
| 特 性 | ミルキークイーン | コシヒカリ |
| 耐冷性 | 極強 | 極強 |
| 耐倒伏性 | やや弱 | やや弱 |
| 葉いもち抵抗性 | 弱 | 弱 |
| 穂いもち抵抗性 | 弱 | 弱 |
| 穂発芽性 | 難 | 難 |
4.品質・食味特性
・ 外観品質は「コシヒカリ」並みであるが、玄米は通常不透明となる。
・ アミロース含量は「コシヒカリ」より45%程低く、登熟期の温度条件により変動し、9-12%程度である。
・ 加工米飯としては、冷えても硬くならない特性を持つため、冷蔵米飯や弁当、おにぎりなどの携帯食に向く。
・ 粘りが強いので、炊き込み飯等調理によって粘りが落ちやすい調理米、胚芽飯などに適する。
・ 米菓については、タンパク質含量、アミロース含量が低く澱粉の膨化性があり適性が高いとみられる。
・ 一般炊飯米の食味の総合評価値は、「日本晴」よりは明らかに優れており、適加水量は異なるが、「コシヒカリ」より軟らかく、粘りが強く、「コシヒカリ」に優る。
5.適地等
・ 南東北以南の「コシヒカリ」栽培地帯に適する。
6.栽培上の注意
・ 耐倒伏性が「コシヒカリ」並みに弱いため、施肥管理は「コシヒカリ」並みとし、多肥栽培は避ける。
・ 成熟後期の倒伏などにより、品質を悪化させないように適期刈りに努める。
<参考資料>
農林水産省農林水産技術会議事務局(平成7年9月):平成7年農林水産省育成農作物新品種(夏作物・園芸作物)。
reigai@ml.affrc.go.jp