図説:東北の稲作と冷害
偏西風を監視する
偏西風(ジェット気流)の位置と蛇行の程度は、温帯地帯に位置する日本の天気に大きな影響を及ぼす。北半球の高層天気図(500 hPaの高度場)の6日先までの予測情報を公表しているホームページを紹介する。
図説『ブロッキング高気圧と異常天候』にあるように、偏西風の位置と蛇行の程度は先の天候を予測する上で重要なものである。そこで、北半球の高層天気図の6日先までの予測情報を提供する一つ"ヨーロッパ中期予報センターのホームページ(http://www.ecmwf.int/ 下図)"を紹介する。
温帯地域の上空では、西から東に向かう大気の流れが年間を通して卓越している。この流れが偏西風である。偏西風は高さとともに風速を増し、概ね1万メートルの高さで最強風域となる。この最強風域がジェット気流である。ジェット気流を含め、偏西風の最も大きな特徴は蛇行することである。偏西風は大きな山脈などの影響を受けるため、いろいろな波長の波からなる複雑な波形になっている。偏西風の長波は前線を伴う低気圧(温帯低気圧)と密接な関係があるので、予報官は長波の動向を高層天気図で絶えず監視している。また、偏西風の長波が地球の南北方向の熱交換に大きな役割をもつ。おおまかには、北半球では長波の谷が北の冷たい空気を南に運び、長波の峰が南の暖かい空気を北に運ぶことで、地球全体の熱収支がバランスする。
この偏西風の流れを表すものが、高層天気図である。高さが5,000メートル程度の北半球の高層天気図(500hPa天気図)で見られる大気の流れは明瞭な波形を示す。ここで500hPaは5,000mの高さ、等高線は等圧線と単純に読み替えることもできる。約1万メートルの高さにあるジェット気流に対応する等高線を高層天気図で特定する際に、注意する点がある。それは大別して北側の寒帯前線ジェット気流と南側に亜熱帯ジェット気流があることだ。両気流は高層天気図では概して次のように対応する。すなわち、寒帯前線ジェット気流は5400m(540hPa)の等高線、亜熱帯ジェット気流は5700m(570hPa)の等高線である。
さて、上のホームページでは、どのように先の予測をみるかを紹介する。
まず、表紙画面の「Forecast chart for:」で予測する先の日(3〜6日)を選択する。次に、その下のウインドウで「Northern Hemisphere- 500 hPa Geopotential」を選択した後に、「go」ボタンを押す。そうすると、選択された日の予測図が次のように表示される。
冷害気象を監視する上で、主要な気象現象は時間的・空間的な規模からみて低気圧とブロッキング高気圧の動きである。気象庁は毎週金曜日に1か月予報を発表する。その解説には、「予想される天候に関する循環場の特徴(アンサンブル平均天気図)」の項目があり、その最初に"500hPa高度・偏差"がある。これは東アジアを対象として月平均で示したものである。その解説の中に、"偏西風の流れは東西流"とか"偏西風の流れは南北流"が卓越するなどの表現がある。また、週別についても記述されているので、それらを参考にして、上の日々更新される北半球の偏西風の予測情報を参考に先の天候を予想することもできる。
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