水稲冷害研究チーム

1996年秋田県技術情報

 詳しい問い合わせは秋田県農業試験場稲作部(電話 0188−39−2121)へお願いいたします。

 

作況ニュース(第1号,4月16日):

<当面の技術対策>

1.作期の計画的分散と安全作期の遵守
 平成7年度におけるあきたこまちの作付比率は77.5%を占めており,これ以上作付拡大が進むと,これまで維持してきた収量および品質(食味を含む)を確保することが難しくなる。
 これらのことから,品種の作付計画については,「新地域別水稲作付品種ガイドライン」に沿った品種構成の適正化に努めるとともに,育苗様式(乳苗,稚苗,中苗,成苗),播種期,移植時期および栽培法等の組み合わせにより,安全作期内における出穂期および成熟期の計画的分散を図ることが必要である。

2.変動気象下における健苗の育成
1)出芽期に友孔ポリ等をベタ張りする場合は,高温障害やカビ,苗立枯病等の発生に注意する。特に,被覆資材を再利用する場合は,これらの点に十分注意する。
2)目標とする出芽長は,育苗様式により異なるが,乳苗は2cm,稚苗は1cm,中苗では0.5cmである。
3)ハードニングのための通気管理は,1葉期頃から実施し,その後は最高気温25度以下,最低気温5度以上を保つようにする。また,田植え近くになったら(稚苗は5〜7日前,中苗では10〜14日前),降霜や極端な低温の心配がない限り,夜間も育苗ハウスの側面を開放し,自然環境に慣らす。
4)水管理は,床土の表面が白く乾いたり,葉が巻き始めたら灌水するようにし,過度の灌水は極力避ける。特に,雨の日や夕方の灌水は,床内温度を下げたり,過湿を伴うので行わない。
5)本年は種もみの保菌率が高いと予想されるので,苗いもち防除を徹底する。防除時期は,稚苗は2葉期1回,中苗では2葉期と3葉期の2回実施する。

3.病害虫の発生予察予察情報を参照のこと)

4.土作りによる地力増強
1)土作り肥料の増施
 県内における珪カル,熔りんなどの土作り肥料の施用量は,年々減少する傾向にある。水稲の生育にとって珪酸,リン酸,鉄,マンガンなどは,稲体の健全化や耐病性の付与,光合成能力や登熟の向上を図るために,欠かすことのできない要素です。
 土作りのねらいは,土壌の理化学性を改良し,潜在的地力を高め,安定的に土壌中の養分を供給することにある。このことにより,低温年のみならず高温年においても,良質米の高位安定生産が図られるので,土作りは集落や地域ぐるみで計画的に実施する。
2)適正耕深の確保
 深耕は根圏の拡大により生育中期以降の稲体の活力維持や登熟歩合の向上に結びつくことから,収量および品質向上を図る上で,重要な技術対策のひとつである。
 また,深耕は,作土からすき床層に集積している酸化鉄やマンガンなどを作土層に戻すことにより,土壌の再生にも役立つので,耕深は土壌条件によっても多少異なるが15〜18cmを目標に行う。

5.倒伏田における稲わら処理の適正化
 昨年の場合,記録的な日照不足と7月に入ってからの地力発現等により県全体で17%程度の倒伏をみた。これらの圃場は大部分が排水不良田で,稲わらのすき込み量も多くなると予想される。
 本年の場合,消雪時期がやや遅く,春先は曇雨天の日が多かったため圃場の乾きもよくないことから,稲わらのすき込みにあたっては,耕深や排水対策および施肥法等に十分留意し,稲わら処理の適正化に努める。

6.品種別基肥の適正化
 寒冷地において,良質米の高位安定生産を図るには,品種別基肥量の適正化等により,必要とする生育量を早期に確保することが基本である。
 品種別基肥量(窒素成分量)は反当たり 
    あきたこまち  6kg
    ササニシキ   4kg
    あきた39   9kg
    キヨニシキ   7kg
    でわひかり   9kg
 ひとめぼれについては,ササニシキより多く,あきたこまちよりやや少なめとする。
 しかし,施肥量は土壌条件によっても異なり,強グライ土,黒泥土,泥炭土では基準より1kg程度少なくし,逆に黒ボク土,褐色低地土,砂質土壌などの低地力田では1kg程度多くする。

7.肥効調節型肥料(緩効性肥料)の適正使用
 昨年の場合,肥効調節型肥料の不適切な使用により,初期の必要生育量が確保できなかったり,生育遅延や徒長軟弱化による倒伏やいもち病の発生増大,登熟不良等で,収量および品質(食味を含む)低下の大きかった地域もみられた。このため,使用に当たっては肥料の種類,地域や土壌条件等をみながら適切に対応する必要がある。
 肥効調節型肥料を使用する主なねらいは,低地力田における地力窒素の代替や基肥施肥で穂肥までつなぐことにあるが,いずれの場合も初期生育の確保には十分に留意する必要がある。
 秋田県において,肥効調節型肥料を使用する場合の基本的な考え方は,穂肥を施すことのできる施肥体系の実施である。
 なお,使用に当たっての具体的留意点については,平成8年度の稲作指導指針を参照のこと。

 
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