水稲冷害研究チーム

秋田県技術情報

 詳しい問い合わせは秋田県農業試験場稲作部(電話 0188−39−2121)へお願いいたします。

技術情報第1号(4月21日)

秋田県農政部
東北農政局秋田統計情報事務所

<当面の技術対策>
 秋田地方気象台が4月11日に発表した、向こう1か月の予報によると、平均気温は平年より低く、降水量は平年並みから多め、日照時間は平年並みから少なめ、となっている。
このことは、昨年の苗質と活着および初期生育の不良であった気象条件に類似していることから、今後の育苗および移植期における技術対策については、次の事柄を参考にし、万全の対策を講じること。
  1. 作期の計画的分散と安全作期の遵守
    平成8年度におけるあきたこまちの作付け比率は80.8%を占めており、これ以上の作付拡大が進むと、これまで維持してきた収量および品質(食味を含む)を確保することが難しくなる。
    このため、品種の作付計画については、第三期「地域別水稲作付品種ガイドライン」に沿った品種構成の適正化に努めるとともに、育苗様式(乳苗、稚苗、中苗、成苗)、播種期、移植時期および栽培法等の組み合わせにより、安全作期内における出穂期および成熟期の計画的分散を図る。

  2. 変動気象下における健苗の育成
    1. 出芽長は育苗様式により異なるが、乳苗は2cm、稚苗で1cm、中苗では0.5cmを目標とする。
    2. 出芽期に有孔ポリ等をベタ張りしている場合は、高温障害やカビ、苗立枯病等が発生しやすいので注意する。
    3. ハードニングのための通気管理は、1葉期頃から実施し、その後は最高気温25度以下、最低気温5度以上を保つようにする。また、田植え近くなったら(稚苗は5〜7日前、中苗では10〜14日前)、降霜や極端な低温の心配がない限り、夜間も育苗ハウスの側面を開放し自然環境にならす。
    4. 水管理は、床土の表面が白く乾いたり、葉が巻き始めたら潅水するようにし、過度の潅水は極力さける。特に寒い日や雨の日、および夕方の潅水は床内温度を下げたり、過湿を伴うので行わない。
    5. 苗いもち防除は、稚苗は2葉期1回、中苗では2葉期と3葉期の2回実施する。また、移植直前の散布は効果が劣るので避けると同時に、発病が認められた苗は移植しない。

  3. 消毒済み種子の適正な予措・管理の徹底について
    本年度は採種圃場産種子の種子消毒にテクリードCフロアブル(いもち病、ばか苗病と細菌病の同時防除剤)を新規に採用した。本剤による消毒種子は、種子予措が不適正な場合は催芽時間が半日から1日程度かかることから、種子予措および播種後の管理については、次の点に留意し、健苗の育成に努める。
    1. 浸種の際の水温は10度以上とする。
    2. 種籾を袋詰めする場合は、袋に余裕を持たせ、ときどき袋をゆすり十分に吸水させる。
    3. 催芽前に必ず湯通しする。
    4. 完全に芽がきれるまで催芽を継続する。

  4. 病害虫の発生予察
    当面の病害虫の発生.予報については、「発生予察情報」第1号を参照のこと。
    苗いもち:平年並み(前年よりやや多い)、苗立枯病:平年並み(前年よりやや少ない)

  5. 土づくりによる地力増強
    1. 土づくり肥料の増施
      県内における珪カル、熔りんなどの土づくり肥料の施肥量は、年々減少する傾向にある。水稲の生育にとって珪酸、りん酸、鉄、マンガンなどは、稲体の健全化や耐病性の付与、光合成能力や登熟の向上を図るために、欠かすことができない要素である。 土づくりのねらいは、土壌の理化学性を改良して潜在的地力を高め、安定的に土壌の養分を供給することにある。このことにより、低温年のみならず高温年においても、良質米の高位安定生産が図られるので、土づくりは集落や地域ぐるみで計画的に実施する。
    2. 適正耕深の確保
      耕深はすき床層に集積している酸化鉄やマンガンなどを作土層に戻すことによる土壌の再生と根圏の拡大により、生育中期以降の稲体の活力維持や登熟歩合の向上に結びつくことから、収量および品質向上を図るうえで、重要な技術対策のひとつである。
      適正耕深は、地力や土壌条件等によっても多少異なるが15cmを目標とする。
      なお、深耕を行う場合は、土づくり肥料の増施もあわせて行う。

  6. 品種別基肥の適正化
    寒冷地において、良質米の高位安定生産を図るには、健苗の育成や水管理の徹底および品種別基肥量の適正化等により、必要とする生育量を早期に確保することが重要である。
    品種別基肥量(窒素成分量)については、10アール当たりあきたこまち:6kg、ササニシキ:4kg、ひとめぼれ:5kg、あきた39:9kg、キヨニシキ:7kg、でわひかり:9kgを基準とする。
    しかし、施肥量は土壌条件によっても異なり、強グライ土、黒泥土、泥炭土では基準より1kg程度少なくし、逆に黒ボク土、褐色低地土、砂質土壌などの低地力田では1kg程度多くする。
    特に、平成8年度の場合は、前年度の倒伏との関連もあって、基肥量を10%程度減らした農家が多かったことと、春先の低温、多雨により、乾土効果が低かったため、必要生育量の確保できなかった事例が多くみられたことから、本年の基肥量の設定にあたっては、これらの点に十分に留意する。

  7. 肥効調節型肥料(緩効性肥料)の適正使用
    近年、肥効調節型肥料の急速な普及に伴って、その不適切な使用により、初期の必要生育量が確保できなかったり、生育遅延や徒長軟弱化による、倒伏やいもち病の発生増大、登熟不良等で、収量および品質(食味を含む)低下の大きい地域がみられる。
    肥効調節型肥料を使用するねらいは、低地力田における地力窒素の代替や基肥施肥で穂肥までつなぐ施肥労力の省力化にあるが、いずれの場合も初期生育の確保には十分に留意すると同時に、使用にあたっては、肥料の種類や、地域および土壌条件等を見ながら適切に対応することが必要である。
    なお、使用にあたっての具体的留意点については、平成9年度の稲作指導指針を参照のこと。

 
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