水稲冷害研究チーム

秋田県技術情報

 詳しい問い合わせは秋田県農業試験場稲作部(電話 0188−39−2121)へお願いいたします。
この情報は美の国秋田ネットの農政部農産園芸課http://www.pref.akita.jp/daimei/nosaneng.htmにも掲載されています。

技術情報第2号(5月9日)

秋田県農政部
東北農政局秋田統計情報事務所

<当面の技術対策>
  1. 苗代後半の管理の徹底(苗の老化に注意)
    1. 育苗期後半の水管理は、床土の表面が白く乾いたり葉が巻き始めたら潅水することとし、夕方葉先に露を結ぶ程度であれば潅水の必要はない。
    2. 追肥は稚苗で1.5葉期、中苗では2葉期と3葉期に行う。なお、田植え前に葉色の低下が見られる場合は、苗の老化防止と活着の促進を図るため、箱当たり窒素成分で1g程度の追肥をしてから移植する。
    3. 田植近くになったら(稚苗で田植えの5〜7日前、中苗では10〜14日前)、降霜や極端な低温の心配がない限り、夜間も除覆し自然環境に慣らすようにする。
    4. 苗いもちの本田への持ち込みを防止するため、稚苗は2葉期、中苗では2葉期と3葉期頃に薬剤散布を実施する。
    5. 田植えが1週間以上遅れる場合は、灌水を控え目にしてなるべく涼しい所に置き、窒素成分で箱当たり1g程度の追肥を行い苗の老化防止に努める。

  2. 代かき時の練り過ぎに注意
    代かきは、田面の均一性に留意するとともに、適正な透水性(日減水深20〜30mmを確保するため、代かきローターで浅めに行い、必要最小限の回数で終わるようにする。 代かき回数が多く、田面を練り過ぎると鋤床層の透水を阻害するだけでなく、土壌構造を破壊し、活着の遅れや健全な生育の確保が困難となるので、代かきは土壌条件等によっても異なるが1〜2回程度に止める。なお、極端な排水不良田においては、不耕起や無代かき移植とする。

  3. 畦畔の補修・補強の徹底
     気象変動や栽培技術に対応した水管理の適正化を図るには、あぜ塗り機やあぜなみシート等による畦畔の補修や補強が必要である。特に不耕起移植や無代かき移植栽培及び深水管理等を実施する場合は、畦畔からの漏水対策には万全を期する。なお、大区画ほ場や無代かき移植で畦畔からの漏水が懸念される場合は、畦畔沿いだけの代かきでもかなりの効果が期待できる。

  4. 田植えは適期に温暖な日に(稲作指導指針の138P参照)
    1. 田植えの時期は、品種や育苗様式等によっても異なるが、それぞれの地域における出穂期を、安全作期内に終わるように設定する。
    2. 田植えは、日平均気温で乳苗・稚苗は13度、中苗・成苗では14度以上の日とし、日中の最高気温が15度以下と見込まれる場合は、田植えを見合せる。
    3. 田植えは、健苗、適期内早植えが基本であるが、低温・強風時の田植えは極力避け、温暖な日を選んで行う。特に、徒長軟弱苗の場合は田植えが多少遅れても好適条件下で行うことが大切である。
    4. 近年、沿岸部の早植え地帯の低地力田や肥培管理の不徹底なほ場では、生育、収量、品質の不安定化が顕在化しつつあるので、これらの地域では極端な早植えを避け、安全作期内における適期移植に努める。

  5. 側条施肥用肥料の選択に注意
     側条施肥を実施した圃場においても、肥効調節型肥料の不適切な使用により、初期の必要生育量が確保できなかったり、生育遅延や倒伏、また、いもち病の多発や登熟不良等で収量及び品質(食味含む)低下の大きかった地域も見られた。これらのことから、肥効調節型肥料の使用にあたっては、肥料の種類(緩効の程度等)や地域及び土壌条件等を見ながら適切に対応する。なお、肥効調節型肥料の使用にあたっての具体的留意点については、平成9年度の稲作指導指針(頁146)を参照のこと。

  6. 適正栽植密度の確保を
     栽植密度は地域や品種、土壌及び栽培方法等によって異なるが、適正な栽植密度で必要生育量の早期確保に努めることが大切である。特に、あきたこまちでは例年初期の茎数確保ができず減収している例が見られるので、株数は平方メートル当たり23〜25株、一株植付本数は稚苗で4〜5本、中苗では3〜4本を目標とし、1〜2本植えは全体の20%以下になるようにする。なお、苗質不良等で欠株の発生が懸念される場合は、田植機のかき取り面積を大きくする。

  7. 補植は早めに、余り苗は早期に処分を
     連続欠株でないかぎり減収はないので、単一欠株の場合は特に補植の必要はない。
     しかし、植付精度が悪くどうしても補植を必要とする場合は、生育の斉一化を図るためできるだけ早めに実施する。また、補植苗を圃場のすみに放置しておくと葉いもちの伝染原になりやすいので、余り苗は補植が終わったら、埋没等により速やかに処分する。

  8. 同一除草剤の連用に注意(稲作指導指針の158P参照)
     近年、全県的にスルホニルウレア系(SU剤)一発処理剤を連年使用したほ場で、抵抗性を持つ雑草(アメリカアゼナ、アゼナ、アゼトウガラシ、ミズアオイ等)の発生が増加する傾向がみられる。抵抗性雑草が発生した場合には、初期剤+中期剤の体系処理を行う。また、発生していない場合でもスルホニルウレア系除草剤を連用すると発生する可能性があるので、体系処理(初期剤+中期剤)と一発処理剤のロ−テ−ションで実施する。
     なお、除草剤によっては、散布時の気象条件(気温16度以下、および30度以上)等により薬害が発生することもあるので、除草剤の散布に当たっては、当日の気象条件等を見ながら適切に処理する。

  9. 活着及び初期生育の促進を図る水管理を
    1. 田植え直後はできるだけ水温を高めて、活着の促進に努める。この時期の水温は、気温に比べて日平均で3〜4度高いので、この特性を有効に利用することが大切である。
       水稲の活着は気温、水温ともに高いほど早いので4cm程度の深水とし、活着したら(通常 4〜5日で活着)温暖な日は浅水にして、水温、地温を高め、分げつの促進に努める。分げつ発生の適温は、平均水温23〜25度程度のところにあるとともに、日較差の大きいことが分げつ促進に有効である。
      これらのことからも水の入れ替えや日常のかん水は、水温の最も低い早朝に行うようにする。
    2. 稲わらの鋤込み量の多いほ場では、晴天時においては圃場の還元等も強くあらわれるので、間断かん水の励行など水管理の適正化に努める。
    3. 山間、高冷地等の冷水かんがい地帯では、温水田、迂回水路、ポリチューブなどを用いて、積極的に水温上昇に努めるとともに、短時間でかん水ができるよう水量の確保にも努める。

  10. 表土はく離や青カナ等の発生に注意
     5月の気温は高めになることが予想されており、排水不良田や稲わらの鋤込み量の多い圃場、全層施肥や表層施肥で窒素や燐酸の多い水田では、表土はく離や青カナなどの多発により地・水温が低下し、初期生育が大幅に抑制されることがあるので、水管理に十分に注意する。
     技術的対策としては、@雨の日や早朝の水の入れ替え、A中耕(除草)機による地表面の撹拌(一発型除草剤の使用圃場及び側条施肥圃場では避ける)、B除草剤の散布(平成9年度病害虫雑草防除基準参照)等により適切に対処する。

  11. 農作業安全の確保(春の農作業安全運動期間:5月1日〜31日)
     秋田県内では、毎年5〜6件の死亡事故が発生しており、そのほとんどは農業機械による作業中の事故であり、特に春先のトラクターによる事故が増加している。
     安全対策としては、農業機械の点検整備や過労の防止、計画的な作業実施と慎重な操作に努めることである。(稲作指導指針の188P参照)

 
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