水稲冷害研究チーム
秋田県技術情報
詳しい問い合わせは秋田県農業試験場稲作部(電話 0188−39−2121)へお願いいたします。
この情報は美の国秋田ネットの農政部農産園芸課http://www.pref.akita.jp/daimei/nosaneng.htmにも掲載されています。
秋田県作況ニュース第4号(6月13日)
秋田県農政部
東北農政局秋田統計情報事務所
<当面の技術対策>
良質・良食味米の安定生産を図るには、気象、環境、土壌条件及び生育状況に合わせた適切な肥培管理を行い、目標とする生育量を早期に確保することが基本である。
6月10日の普及センターによる定点調査では、あきたこまちの茎数が平方メートル当たり116本で、目標生育量の範囲にあるが、3か月予報によれば、6月、7月には低温の時期があると予想されているので、今後の肥培管理にあたっては、次の事柄に留意する。
- 分げつを促進する水管理を
分げつを促進するための適温は、最高水温30度、最低水温15度、平均水温23〜25度のところにあり、この範囲内では日較差の大きい方が分げつ促進には有効である。
生育の促進を図るため水管理に留意し、水温・地温の上昇を図るるとともに、畦畔等からの漏水防止に努める。
冷水かん漑となるほ場では、ポリチュ−ブ等の使用により水温の上昇を図る。
かん水は水温のもっとも低い早朝に行ない、短時間で終えるようにする。
特に本年の場合は、日照不足で水温が低めに推移していることから、水管理には細心の注意が必要である。
- 余り苗の処分は早めに
本田における葉いもちは、全般発生開始期前でも育苗期に発生した苗いもちの持込みや、補植用余り苗での発病等によって、早期に多発生することがあるので注意する。
特に、補植用余り苗で発病したいもち病は強力な伝染源となるので、補植終了後速やかに処分する。
- 葉いもち検診の徹底を
葉いもちは直接収量に影響する穂いもちの伝染源となるので、葉いもちの検診と防除には万全を期する。
特に、本年は葉いもちの発生時期がやや早く、発生量もやや多いとの発生予想となっていることから、発生予察情報等を参考にしながら地域内の検診を強化し、早期発見、早期防除に努める。
なお、オリゼメート粒剤を使用する場合は6月20日〜25日頃までに10アール当たり2kgを散布し、発生を未然に防止する。
- アオミドロ類などの防除を
これまでは日照不足と低温により藻類の発生は比較的少なかったが、気温の上昇に伴いアオミドロ類や表土はく離の発生が増大するものと予想されます。これらが発生すると水温で1〜2度低下し生育を抑制するので、特に生育遅延の見られる圃場や遅植え地帯等では、適切な対応が必要である。
対策としては、中耕機によるかく拌やモゲトン粒剤等を散布し防除する。ただし、薬剤散布については、砂質土壌、漏水田での使用は避けるとともに、散布する場合は、用排水路、池等にかからないようにする。
- 還元田での水管理の徹底を
有機物が分解する過程で生成する有機酸や、土壌の還元化に伴って生成する硫化水素や二価鉄などが土壌中に集積すると、根の養分吸収を阻害するので注意する。
対策としては、温暖な日の一時落水による酸素補給や中耕による土壌のかく拌及び高温時の用水(20度程度)のかけ流し等により、根の健全化を図る。
また、本年の場合、これまで日照不足等で地・水温が上らず、強い還元は見られないが、気温の上昇に伴って、冷水かんがい田や排水不良田(基盤整備田含む)等においては、急速に還元の進むことも考えられるので十分に注意する。
- 中干しは早目に
中干しの実施は、生育診断等の結果を見ながら、適切に実施することが大切である。
- 中干しの開始時期は、目標穂数に相当する茎数を確保できた頃をめどとする。
- 中干しの期間は7〜10日位とし、圃場に亀裂が入り軽く足跡の付く程度とする。
- 中干しの程度は、排水不良田や有機物の多い水田や高地力田で施肥量の多い水田、および復元田で過繁茂の場合や葉色の濃い水田等では強めに行う。逆に漏水田や冷水がかり等で生育の遅れや生育量の小さい水田では行わないようにする。
- 溝掘りの計画的実施を
稲体の健全化を図るため、大規模圃場や田面の均平が悪く、灌・排水の難しい圃場や、排水不良田および稲わら多施用田等では、中干しに入ると同時に溝掘りを行う。
特に、昨年適切な中干しを実施できなかった圃場では、必ず行うようにする。
溝堀りは、2〜4m間隔に1本の割合で10アール当たり6〜8本掘り、それを枕地部分でつなぐようにする。
- 側条施肥の肥切れに注意
- 側条施肥に速効性肥料を用いた場合は、根ぎわの窒素濃度が極めて高いため、初期生育の確保は比較的容易であるが、気温の高い年や低地力田等では8葉期頃には肥効が消失する。肥効消失の目安は、10アール当たり窒素成分5kg施肥では、株当たり20本程度の茎数が確保された時である。この時期の肥切れは、大幅な生育の凋落を招き、期待したほど収量のあがらないことがあるので、肥切れが予想される場合は、つなぎ肥として窒素成分で1.0〜1.5kg程度の追肥を行う。
- 被覆尿素等の緩効性肥料(一発型肥料等)を施用している場合は、初期生育が多少劣る場合でも、肥料分は残存しているので追肥は極力控えるようにする。
- 肥効調節型肥料使用ほ場に対する指導の徹底を
県内では30%程度の肥効調節型肥料(緩効性肥料)が使用されている。
例年、不適切な使用により、倒伏の増大やいもち病の発生及び品質低下等がみられるので、今後、いもち病防除対策や追肥の適正化および倒伏対策等について、指導の徹底を図る必要がある。
- 生育ステージ別生育量の把握を
目標収量に対する品種別生育量を、生育ステージに沿って段階的に確保することが重要である。そのためには、生育ステ−ジ別に生育量や葉色等を調査し、それに沿った適切な技術対策を実施することが大切である。
- 畦畔の草刈りの実施を
畦畔雑草は、放置しておくと病害虫の発生源になるだけでなく、稲体の健全な生育をも阻害するので、随時刈払いを行い、採光、通風を図り衛生的にしておく。
- 調整水田の維持管理を適切に
新生産調整の一環として実施されている調整水田は、4000ヘクタール程度と推定されている。調整水田の適正な維持管理は、水田の潜在的生産力を維持するためにも非常に重要である。また、雑草の発生状況によっては、除草剤による対応が必要である。
特に、調整水田の維持管理にあたって配慮しなければならないことは、地力維持と除草剤の効果が持続する水位を確保することである。このほか、調整水田については、低温時における温水ため池としての効果も期待できるので、漏水対策を含む畦畔の維持管理を適切に実施する。
ホームへ
前へ
次へ
戻る
ご意見どうぞ
torigoe@tnaes.affrc.go.jp