水稲冷害研究チーム

秋田県技術情報

 詳しい問い合わせは秋田県農業試験場稲作部(電話 0188−39−2121)へお願いいたします。
この情報は美の国秋田ネットの農政部農産園芸課http://www.pref.akita.jp/daimei/nosaneng.htmにも掲載されています。

秋田県作況ニュース第8号(8月25日)

秋田県農政部
東北農政局秋田統計情報事務所

出穂早く、一穂籾数多い <当面の技術対策(8月下旬〜10月中旬)>
これまでの生育は順調に経過しているが、今後の稲体管理と収穫・乾燥・調整作業においては、次の事項を参考にして、万全の対策を講ずる。
  1. 稲体の活力維持のための水管理(落水期含む)の徹底

     本年の場合、7月下旬の高温時に水を入れてなかったほ場では、根の伸長が不十分であると同時に、稲体の活力も低下してきている。
     根の活力が低下すると稲体が登熟後期に凋落し、登熟歩合の低下や千粒重の低下につながり、ひいては倒伏をも助長させることになる。
     このため、これらのほ場では落水期までは間断かん水の励行に努める。落水期は稲体の活力維持と登熟の向上を図るため、出穂後30日を目途とする。


  2.  収穫作業に備えた排水対策の実施を

     本年の場合、中干し期間の多雨と日照不足等により中干しが十分できなかったほ場では軟弱となっているので、これらの圃場では秋作業の効率化と倒伏による品質低下を防止するため、明渠の施行などの排水対策が必要である。特に草丈が長く、倒伏の危険性の高いほ場では万全の対策を講ずる。


  3. 診断に基づく適期刈り取りの実施

     本年の場合、1穂着粒数が多いことから刈り取り時期の診断を1)〜5)の基準により総合的に判定して収穫作業に入る。

      1)出穂後の日数による判定
       出穂後の日数による刈り取り適期の目安は、早生種で45日前後、中晩生品種では50日頃である。

      2)出穂後の積算気温による判定
       出穂後の日平均気温の積算値から判断する場合は、早生種で950〜1,050℃、中晩生種では1,050〜1,150℃の頃が刈り取り適期の目安となる。
       特に積算気温が早生で1,100℃、中晩生では1,200℃を超えると茶米や胴割れ粒が急増するので注意する。

      3)籾の熟色による判定
       葉や穂首が緑色であっても、籾の黄化程度が90%の頃を適期とする。
       籾の黄化程度90%は、黄色十黄白を指しており、黄色のものが20〜30%含んでいる場合は、活青米を含んだ玄米となり、品質、食味の良い米となる。

      4)枝梗の黄化程度による判定
       通常年では主軸について上から5番目の枝梗まで黄化した頃とみられる。
       しかし、これらの判定も品種や栽培法、出穂時期、地力の程度および籾数の多少などによって異なるので、上記の判定法を組み合わせ、総合的に刈取り適期を判定することが必要である。

      5)登熟期間の日照時間が少ない年の判定
       基本的には上記の4つの判定法を遵守する。しかし、平成5年のような低温年や平成7年のような日照不足の場合には、収量水準あるいは籾数の多少により刈取り時期を考慮する必要がある。具体的には単位面積当たり籾数と登熟期間の積算日照時間から刈取り適期を判定する方法である。


  4. コンバインや乾燥施設等の早期点検整備を

     収穫、乾燥、調製作業を適正かつ効率的に行うためにも、これらの農機具や施設等の点検整備を早急に実施し、秋作業には万全を期す。


  5. コンバイン収穫での留意点

     あきたこまちに作付割合が偏っている場合は、刈り遅れとならないように乾燥・調製能力に合わせた作業実施計画をたてる。
     籾水分の大きく異なる圃場の籾を一緒に乾燥機に張込むと、乾燥ムラの発生原因となるので、水分の類似している圃場単位に刈り取りすることが望ましい。
     また、収穫した籾を高温条件下で長時間(4時間以上)ほ場に放置すると、ヤケ米が発生するので注意が必要である。


  6. 倒伏稲に対する適切な対策を

      1)倒伏後も湛水および多湿条件にあると、あきたこまちでは15日前後、ササニシキでは10日前後で穂発芽するので、倒伏した場合は稲株を引き起こし穂を地表面から離すとともに、畦畔沿いの明渠の掘削等により、ほ場の乾燥に努める。

      2)倒伏した稲のコンバイン収穫は、標準装備だけでは難しいので、これらの稲に対しては、引き起こし補助装置を取り付けるとともに、追い刈りや横刈り等により、刈り取り精度の向上に努める。

      3)倒伏により、穂発芽や品質低下が懸念される場合は、速やかに収穫作業に入るとともに、これらの被害籾は仕分けして乾燥・調製を行い、品質の低下防止に努める。


  7. 市場評価を高めるための乾燥・調製を

      1)高水分籾の刈り取り回避と夾雑物の混入防止
       高水分籾やワラ屑などの夾雑物の多い籾を循環型乾燥機に張り込むと、流動性が悪く乾燥ムラの原因となるので、高水分籾の刈り取りは避けるとともに刈り取り時の選別を適正にし、夾雑物の混入を避ける。

      2)籾水分測定の適正化
       乾燥機に張込む時点での籾水分測定は、乾燥時間の決定や乾燥終了時の判定などに関わる重要な作業であり正確に行う。
       測定回数を多くするほど精度は高くなるので、できる限りサンプル数を多くとり、その平均値で判定する。

      3)乾減率と仕上り水分
       生籾を循環型乾燥機を利用して乾燥するときは、毎時の乾減率 0.7〜1.0%を目安とする。
       仕上り玄米水分は15.5%を目標とし、乾燥終了時の目安は玄米水分で16.0%以下とする。
       高水分籾や籾水分の異なるものを一緒に乾燥する場合は、二段乾燥や水分18%程度で乾燥機を6時間以上停止させる一時休止乾燥法などを実施する。

      4)過乾燥の防止
       過乾燥となる理由としては、水分測定や乾燥方法の不適正および乾燥終了後の水分の戻り等による基準値超過を恐れ、乾燥のやり直し等を心配するあまり過乾燥にしていることが多い。
       過乾燥は生産者から見ると灯油や電気代・労力・重量の目減りによる損失が大きく、また需要者からは、胴割粒の発生などによる搗精歩合の低下や砕粒の増加で嫌われ、さらに、食味の低下や光沢の低下のために消費者の評価が下がることから、過乾燥の防止に努める。

      5)籾摺調製の適正化
       米作りでの最終作業が籾摺調製である。この作業の良し悪しが検査等級にも影響するので、籾の粒厚に見合った適正なロ−ル間隙(通常 0.8〜1.2o)とし、脱ぷ率80〜85%を保つよう選別部等を調製する。調製不良の場合は二度摺りなどによる玄米の肌ズレ、ロ−ル間隙が狭い場合の砕米の発生、選別不良による仕上げ米の籾混入などにより品質低下を招く。
       玄米中の未熟粒や屑米等の混入は、検査等級や食味にも影響するので、回転式米選機等で規定範囲内の流量で選別し、品質の均一化を図る。
       ふるい目は品種の特性や年による粒厚の変動等もあるが、1.85o使用を基本とし、整粒歩合80%以上を確保する。


  8. 農作業安全の徹底(秋の農作業安全期間:9月20日〜10月19日)

     大型高性能機械が普及する一方で、農業機械及び施設に関わる農作業事故が毎年発生している。特に、コンバインによる収穫作業時には、コンバインのカッタ−やベルト、チェ−ンなどの回転部に接触し、重度の障害を受ける例が多いので、機械の点検整備や安全運転に努めるとともに、ゆとりを持った作業計画の樹立等により、事故の未然防止と安全対策の徹底を図り農作業安全に万全を期す。

       
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