水稲冷害研究チーム
福島県稲作指導情報
詳細に関する問い合わせは福島県農業試験場にお願いいたします.
<浜通り版>
健苗の育成、初期生育確保がポイント!
<当面する技術ポイント>
- 育苗管理の徹底
- 温度管理・潅水に十分注意し、健苗育成に努める。
- もみ枯細菌病や苗立枯細菌病の発生した苗は早急に処分する。
- 移植時の基本順守
- 適正な施肥:基肥窒素は基準量を守り、燐酸は基肥に10アール当たり10〜12kg施用する。
- 適期移植:相双は5月10日頃(コシヒカリは早め、連休頃)、いわきは5月15日頃、山間部は5月20日頃。
- 適正な栽植密度:1株4〜5本の浅植え、平坦部平方メートル当たり22株前後、山間部25株前後。
- 本田初期管理の徹底
- 適正な水管理:活着まで4〜5cmの深水とし、その後は2〜3cmの浅水、なお強風低温時には深水とする。
- 補植は移植後直ちに実施し、葉いもちの発生源となる補植用苗を水田に残さない。
- イネミズゾウムシ、イネドロオイムシ、イネヒメハモグリバエの防除は箱施薬が効果的であるが、苗質が劣る場合には本田での防除に切り替える。
- 除草剤は雑草の発生状態に合わせて使用する。特に、代掻きから田植えまでの期間が長い場合は、ノビエの葉齢に注意する。表土剥離にはACN、ジメタメトリンを含む除草剤が有効である。
- 初期生育が不良な水田では更に表土施肥、補い肥、昼間止水夜間灌漑などを組み合わせる。
<直播栽培のポイント>
- 湛水直播
- 圃場は耕起前にできるだけ均平化しておき、代掻きは練りすぎないようにする。播種時の好適な土壌の硬さは、播種法で異なるので注意する。
- 覆土を実施しない播種機を用いた場合や強い雨が予想される場合を除き、播種後土壌の還元を防ぐため出芽始めまで落水状態を保つ。
- 乾田直播
- 事前に圃場の均平化を図るとともに、湛水時の漏水を防止するため畦畔を整備しておく。
- 耕うんから播種、除草剤散布まで1日で完結できるような作業体系を組み、耕うんは砕土率80%以上を得るために圃場が十分乾いたとき行う。
- 直播共通
- 播種機は事前に吐出量、繰り出し量を調整し、播種深度を確認する。
- 播種時以降の水管理を容易にするため、トラクターの車輪跡(湛水直播)、溝掘り機(乾田直播)などを利用して明渠(排水路)を作る。
- 除草剤はノビエの葉齢に注意し、遅れないように散布する。
次号発行は6月4日予定。
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<中通り版>
−健苗の適期移植と適切な水管理で安定した初期生育を確保しよう−
<移植栽培の技術ポイント>
- 基肥は、気象変動に対応できるように基準量を守って施用し、極端な多肥栽培は行わない。
- 育苗管理は温度と潅水管理に注意を払い、徒長を防止して健苗を育成する。
- 適期移植と水管理で初期茎数の早期確保に努める。
- 低温、強風条件下での移植は、活着不良や初期生育障害を引き起こすので避ける。
- 分げつの発生を促すために、活着後は2〜3cmの浅水管理とするが、低温や強風の日は深水にして稲体を保護する。
- 葉いもちの伝染源となる取り置き苗は、直ちに処分する。
- イネミズゾウムシの常発地では、箱施薬を行い防除を徹底する。散布剤で対応する場合は、侵入盛期の予測に合わせて施用する。侵入盛期の推定は、「ファピイ」(病害虫防除情報ファックスサービス)を活用する。
- 雑草防除は、発生する雑草の種類にあった除草剤を選択する。また、使用量と使用時期を厳守する。
- 1キロ剤は事前に散布機の調整を入念に行って規定量を均一に散布する。
- 除草剤散布後4〜5日間は湛水状態を維持し、散布直後の落水やかけ流しは絶対に行わない。
- 前年アゼナ類が多発した圃場では、プレチラクロール、ビフェノックス、ナブロアニリドを含む剤の効果が高いので、これら成分を含む除草剤の施用が有効である。
<直播栽培の技術ポイント>
直播栽培実施圃場は、鳥害を回避するためにできるだけ団地化を図る。また、安定した出芽・苗立ちを確保するために、それぞれの播種法に最適な圃場条件の実現に全力を尽くす。
- 湛水直播
- 圃場の準備
- 代掻きは練りすぎないようにする。このため、圃場は耕起前に均平化する。播種時の表土の硬さは播種法によって異なるので、代掻きから播種までの日数や落水の時期によって調節する。
- 圃場内の土壌硬度を均一にするために、排水路を形成して滞水部分ができないようにする。
- 播種
事前に必ず機械の吐出量、繰り出し量を確認するとともに、播種深度が深くなりすぎないように注意する。
- 播種後の水管理
- 覆土をしない播種機を用いた場合は、播種後浅水管理を継続する。
- 散播や土壌中条播方式のように覆土をした場合は、土壌の還元を防止するために出芽始めまで落水状態を保つが、強い雨が予想されるときは種子が洗われて露出しないように一時的に湛水する。
- 播種前に排水路などを設置しなかった場合は、灌漑・排水管理を容易にするために、圃場内に10m間隔程度に作溝を実施する。
- 除草剤散布
落水や浅水期間の後、湛水して除草剤を散布する。散布時期が遅れるとノビエに対する効果が劣るので、ノビエの生育を観察して遅れないように注意する。表土剥離が発生した場合は、イネ3葉期以降にモゲトン粒剤を散布する。
- 乾田直播
- 圃場の準備
- 事前に圃場の均平化を図るとともに、湛水時の漏水を防止するために畦畔を整備しておく。
- 耕起・整地・播種作業は、砕土率を確保するため圃場が十分乾燥したときに行う。また、耕起から播種・土壌処理剤散布までが1日で完結できるように作業体系を組む。
- 播種後の湿害を防止すると同時に、乾燥時の潅水を容易にするため、圃場内に10m間隔で深さ10〜15cm程度の明渠を掘る。
- 播種
事前に播種量に合わせて機械の繰り出し量を確認するとともに、播種深さを2〜3cmに調節する。
- 除草剤散布
茎葉処理剤は、ノビエの葉齢が大きくなると効果が劣るので、葉齢を確認しながら遅れないように散布する。
次号の発行は5月29日の予定。
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<会津版>
−基本技術を励行し、安定多収・良質良食味の会津産米の更なる向上を図ろう−
<移植栽培の当面する技術対策のポイント>
- 健苗育成
- 育苗期間中は寒暖の差が大きいと予想される。きめこまかな温度管理(換気)と潅水により、充実度の高い健苗の育成と病害の発生防除に努める。
- もみ枯細菌病、苗立枯細菌病、ばか苗病に感染した苗は廃棄する。
- 代掻き、移植作業
- 代掻きは湛水で行い、濁水の河川への流出をできるだけ少なくする。
- 基肥は品種、土壌型、肥沃度を考慮した基準量を守り、極端な多肥栽培は行わない。
- 活着を促進するため、極端な早植えはしない。また、強風時、低温時は田植えをしない。
- 水管理は活着促進と分げつ確保のため、移植後深水(4〜5cm)、活着後浅水(2〜3cm)が原則。強風、低温時には深水で苗を保護する。特に、用水温度が低い山間地では温水田、温水チューブ利用等の対策を講じる。
- 本田病害虫防除、雑草防除
- イネミズゾウムシ、イネドロオイムシの防除は箱施薬が効果的であるが、軟弱徒長苗には使用せず、本田での防除で対応する。
- 除草剤は雑草の発生状況に応じて使用する。代掻きから田植えまでの期間が長い場合には、初期剤と一発処理剤(中期剤)の体系処理を行う。
- フロアブル剤を使用する場合は特に田面の露出がないようにする。1キロ剤を使用する場合は、専用アタッチメントを利用するなど、撒き込みすぎないようにする。
- 表土剥離にはACN、ジメタメトリンを含む除草剤が有効である。
- 補植用の挿し苗はいもち病の感染源となるので、使用後速やかに処分し本田に残さない。
<湛水直播栽培の当面する技術対策のポイント>
- 圃場の準備
- 圃場は耕起前の均平化を行い、田面の高低差をなくする。
- 代掻きは、条播が播種2〜3日前、散播が播種前日〜当日に行う。土壌硬度が均一になるよう丁寧に行うが、練りすぎないようにする。
- 播種前に排水溝を設置し、滞水部分ができないようにする。
- 施肥窒素量は、平坦部では移植栽培の80%程度に減肥する。
- カルパーコーティング
- 播種量は10アール当たり4〜5kgとする。
- 催芽は鳩胸状態(芽の長さ1mm以内)とする。芽を伸ばし過ぎるとカルパーコーティング時に芽が損傷し、出芽・苗立ちが低下する。
- カルパーコーティング後は表面が白く乾燥するまで陰干しを行う。コーティング種子の保存期間は3〜4日が限度である。
- 播種
- 播種時の水深は散播が完全落水、条播が走り水程度とする。条播で完全に落水すると播種機のフロートが滑らなくなったり、作溝装置に泥が付着することで播種精度が低下する。
- 播種深度は0.5〜1.0cmに保つ。
- 播種後は、散播や播種後に覆土する播種機を用いた場合には、土壌の還元を防止し出芽・苗立ち率を高めるため出芽始めまで落水状態を保つ。ただし、強い雨が予想される場合には湛水し、種子の露出を防止する。
- 播種後に覆土をしない播種機を用いた場合には、播種後は湛水状態とする。
- 雑草防除
- ノビエの葉齢を確認し、遅れないように除草剤を散布する。特に散播ではイネとノビエの見分けがつきにくいので注意する。
- 表土剥離が発生したらイネの葉齢が3葉期以降にACN剤で防除する。
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