水稲冷害研究チーム
平成9年度新稲作情報
詳細に関する問い合わせは福島県農業試験場にお願いいたします.
新稲作情報<浜通り版>(9月4日)
発行:福島県新稲作情報編集会議
編集:福島県農業試験場相馬支場
−適期収穫・適正な乾燥調整で高品質維持を−
<当面する技術ポイント>
- 今後の生育予想
- 各品種の成熟期は初星が9月13日頃、ひとめぼれが9月16日頃と平年よりやや早まると予想され、コシヒカリはほぼ平年並みの10月5日頃となる。
- 稈長は、場内では初星・ひとめぼれがやや長く、コシヒカリはやや短いが、管内全般では長い。
- 倒伏対策
- コシヒカリ等の倒伏が予想される水田では、通水程度の水管理とし、田面の固化に努める。
- 排水不良な水田で倒伏が予想される場合は、早急に排水対策をする。
- 倒伏したところは可能な限り刈り分けし、別調整とする。
- 早期落水の防止
- コシヒカリ・日本晴は収穫までまだ間があり、出穂後35日を目安に間断潅漑を継続し、品質の低下を防ぐ。
- 適期収穫
- 刈り取り適期は、初星・ひとめぼれが出穂後の積算気温900〜950℃、コシヒカリが1000〜1050℃を目安とし、籾の黄化状況を観察して黄化率80%の時期とする。
- 倒伏田(穂発芽粒)、カメムシ発生田(斑点粒)等で障害粒の発生が懸念されるが、これらの障害粒は米選機での除法が不可能なので、可能な限り刈り分けし、別調整とする。
- 適正な乾燥調製
- 収穫した生籾を放置すると着色粒が発生するので、短時間で乾燥機に搬入する。
- 収穫した籾は水分のばらつきが大きいので、夜間に乾燥機を停止し、籾水分の均一化を図ってから、翌朝乾燥を再開する2段乾燥(夜間休止乾燥)を行う。
乾燥は籾水分の毎時乾減率0.8%以下で行い、玄米水分は15.5%を目標とする。
- 自然乾燥でも収納が遅れると胴割粒・着色粒・穂発芽粒等が発生する。適性水分に達したら速やかに収納、脱穀を行う。
- 籾摺は肌ずれ防止のため、穀温を常温まで下げて行い、調製は網目が1.85mm以上の米選機を用いる。
- 直播栽培のポイント
直播共通
1.浜通りのひとめぼれの出穂は、8月3半旬に盛期となり、4半旬にほぼ完了した。
2.刈り取時期は出穂後の積算気温950〜1050℃を目安とし、8月15日出穂のひとめぼれで10月5日頃となる見込みである。
ただし、直播水稲は移植水稲に比べ出穂のばらつきが大きいため、圃場内の平均的な生育の部分で、
籾の黄化状況を良く観察し、刈り取時期を決定する。
3.水管理は、湛水直播では出穂後35日を目安に間断潅漑を継続し、登熟を進めながら田
面の固化に努める。乾田水田では、早期の落水は登熟を停止させ、品質の低下が著しくなるため、収穫期まで間断潅漑を継続する。
4.次年度、直播(特に乾田)栽培予定圃場では、できるだけ籾をこぼさないように収穫し、早めに秋耕を行う。
最初へ 最後へ
新稲作情報<中通り版>(8月28日)
発行:福島県新稲作情報編集会議
編集:福島県農業試験場
生育状況
- 作況試験の稲の生育:出穂期は、冷害試験地ではほぼ平年並み、本場では平年より3日程度早まった。本場では、穂数が平年並みからやや多く、籾数も平年並みからやや多いm2あたり籾数が確保されるものと思われる。登熟の進度は、8月中旬の低温で一時停滞したが、その後ほぼ平年並みに回復した。
- 現地の稲の生育:出穂期は平年より2〜3日早い。稈長がやや長く、m2あたり籾数は、平年並みからやや多
い。
- 今後の生育予測:平坦部では、出穂期が平年より早まったものの、一時低温の時期があったことから、成熟期はほぼ平年並みになるものと予想される。積算気温からみた成熟期は、平坦部の初星、ひとめぼれが9月13日から16日頃、コシヒカリが10月3日頃、高冷地の初星が9月28日頃と予想される。
<移植栽培の当面する技術ポイント>
−適期刈り取りと丁寧な乾燥調製で品質向上に努めよう−
- 水管理
間断潅漑を継続しながら、徐々にほ場を固化させる。落水の時期は、初星、ひとめぼれが出穂後30日、コシヒカリが出穂後35日を目安とし、品質低下を招く早期の落水を避ける。
- 適期刈り取り
各品種の刈り取り開始期は、初星、ひとめぼれでは積算気温900〜950℃、コシヒカリでは1000〜1050℃を参考
にして決定する。穂の黄化状況から見た刈り取りの適期は、一穂の中で10〜20%程度帯緑籾が残っている時期である。
- 収穫・乾燥
部分的に倒伏が認められる場合は、刈り分けを実施する。また、刈り取った生籾は、早めに乾燥機に搬入する。出穂期が8月中旬の低温に遭遇し、出穂、開花の期間が長引いたほ場では、高水分の籾が含まれているため、ほ場での堆積時間を極力短くするとともに、二段乾燥を実施して玄米品質の低下を防ぐ。
- 調製
食味、整粒歩合の向上を図るために、選別機の能力に合わせた処理量を守る。
- 次年度への対策
土壌診断を活用しながら、ほ場に合った地力増強対策を実施する。
<直播栽培の技術ポイント>
−倒伏防止に向けたほ場の固化と玄米品質の向上に努めよう−
A.湛水水田
1)生育の状況
出穂期は、移植と比較して、3〜10日程度の遅れとなった。一部にヒエの残草の多いほ場や倒伏の懸念されるほ場が認められる。
2)当面の技術対策
(1)間断潅漑を実施して登熟を進めながらほ場の固化につとめる。落水の時期は移植栽培に準じる。
(2)刈り取り時期の目安とする積算気温は、移植栽培より100℃程度多めとする。籾の黄化状況から見た刈り取り時期は、平均的な成熟程度の部分で判定するが、ほ場内の生育差が著しい場合や部分的に倒伏したほ場は、刈り分けを実施する。
(3)籾水分のばらつきが移植栽培よりも大きいので、乾燥初期の送風温度を上げすぎないようにするとともに、二段乾燥を実施して、乾燥ムラや胴割米の発生を防止する。
3)次年度への対策
次年度直播栽培を予定しているほ場は、できる限り均平化をはかるとともに、播種時の障害を回避するため、ほ場内の稟を石灰窒素とともに鋤き込んで腐熟させるか、搬出して堆肥化する。
B.乾田直播
1)生育の状況
出穂期は、移植に比較して1週間程度遅れた。一部に残草の多いほ場が見られる。
2)当面の技術対策
(1)水管理は、間断潅漑を継続して、品種低下につながる早期の落水は行わない。
(2)刈り取り時期の判定および乾燥法については、湛水直播栽培に準じる。
3)次年度への対策
次年度乾田直播栽培を実施するほ場は、均平化作業を実施するとともに、播種時の砕土率を確保するために秋耕を実施する。
最初へ
最後へ
新稲作情報<会津版>(8月27日)
発行:福島県新稲作情報編集会議
編集:福島県農業試験場会津支場
−基本技術を励行し,安定多収・良質良食味の会津産米の更なる向上を図ろう。
<移植栽培の当面する技術のポイント>
出穂期は1日から2日早く、長稈型の生育で倒伏の危険性高い
間断湛水の励行で登熟の促進、適期刈り取り、適正な乾燥調整で良質米の生産を
- 生育状況といもち病の発病
出穂期:中生種は1日〜2日早まる。コシヒカリは平年並みのところが多い。出穂のばらつきが大きい。
稈長:平坦地では平年比107〜114%と長く、高冷地は平年比103〜106%とやや長い。
籾数:穂数は少ないが、1穂籾数が多く、ほぼ平年並みに確保されている。
登熟:高冷地の初星、ひとめぼれや、平坦地のコシヒカリは出穂期に低温し遭遇したが、受精障害は少ないと見られる。また、出穂後の気温は平年より低く、登熟の進みは緩慢と見られる。
いもち病:止葉、次葉に感染している地域、圃場が見られる。また、一部で籾いもちの感染も僅かに認められる。
- 当面の技術対策
- 水管理:8月中旬以降、気温平年を下回る日が多いこと、倒伏の危険性が高いことから、出穂後30日までは間断灌水とし登熟促進と土壌固化維持に努める。
- いもち病:止葉、次葉に感染しているところでは、穂いもち(籾いもち、枝梗いもち)に進展する可能性が高い。早急に穂いもちの防徐を行う。
- 刈り取り:
@刈り取り始期は、初星、ひとめぼれが出穂後の積算気温900℃、ササニシキ、コシヒカリは950℃の時期を目安とするが、併せて、籾の黄化程度(85〜90%)をよく観察し決定する。また、胴割れ粒や着色粒による品質低下を防止するため、積算気温が1050℃に到達する前に刈り取る。
A早期倒伏したところ、登熟が遅れたところは刈分け、未熟粒、被害粒の混入を避ける。
- 乾燥・調製:
@着色粒の発生を防止するため、生籾の長時間放置は避け、速やかに乾燥機に搬入し、通風する。
A乾燥は毎時乾減率0.8%以下になるよう送風温度を調整し、乾燥機を夜間に一時停止し、調湿する二段乾燥とする。
B籾摺りは穀温が常温に低下するまで放冷してから行い、肌ずれ、籾混入を防ぐ。
C調製は米選機の網目1.9mmを用い、丁寧に行い、整粒歩合と食味の向上に努める。また、米選機の処理能力以上に玄米流量を増やさない。
<湛水直播栽培の当面する技術対策のポイント>
- 生育状況:
出穂は移植栽培に比べ5日程度遅れ、会津支場内の5月9日播種のひとめぼれは8月15日と過去3ヶ年平均に比べ1日の遅れであった。出穂のばらつき大きいところもある。稈長はやや長めである。生育量は十分確保されているが、稈長が長く倒状が心配される圃場がある。
- 当面の技術対策:
- 水管理等当面する技術的な対応は基本的に移植栽培と同様である。しかし、刈り取期の目安は出穂期からの積算気温で移植栽培の基準+100℃とする。
最初へ
ホームへ
前へ
次へ
戻る
ご意見どうぞ
torigoe@tnaes.affrc.go.jp