水稲冷害研究チーム
1999年福島県稲作指導情報<中通り版>
なお,詳しい内容に関する問い合わせは福島県農業試験場にお願いいたします.
稲作情報第5号
平成11年7月29日
福島の米稲作情報編集会議
1. 生育状況
1) 作柄解析試験の稲の生育は、草丈がやや短く、茎数が平年並である。幼穂形成始期は、平坦部で平年より2日程度遅いが、高冷地ではほぼ平年並である。
2) 現地の稲の生育は、草丈が平年並からやや長く、茎数は平年並からやや多い。生育は平年並から2日程度早まっている。
2.移植栽培の技術ポイント
1)今後の生育予測
出穂期は、平坦部が平年並から2日程度早く、高冷地が平年並と見込まれる。今後、平坦部の早いところ では、初星、ひとめぼれが8月4日頃から、コシヒカリが8月12日頃から出穂期を迎えると予想される。高 冷地では、まいひめが8月4日頃から、初星が8月10日頃から出穂期を迎えるものと予想される。
2)水管理
(1)根の健全化と作土の固さを保つため間断灌漑を基本とし、登熟向上に努める。ただし、高温が継続する場 合や台風襲来時には湛水する。
(2)早期落水は穂いもちの発生を助長し、米質の低下を招くため、適期落水(出穂後35日頃)を守る。
3)穂いもち対策
7月16日〜25日にかけて連続して葉いもち感染好適条件が出現したため、止葉や次葉などの上位葉での葉い もち発生が増加すると予想される。上位葉での葉いもち発生は、穂いもち発生を助長することから、穂いもち注意報が発令されているので、以下の点に注意して穂いもちを徹底防除する。
(1)穂いもち対象の薬剤散布(散布剤)は、穂ばらみ末期と穂揃い期の2回を基本とし、上位葉(止葉・次葉)に葉いもちが多発していた場合は、傾穂期に追加防除を行う。
(2)葉いもち対象の粒剤(育苗箱施用剤や水面施用剤)を施用したほ場でも、葉いもち発生を確認したら、穂いもち対象の薬剤散布を行う。
4)カメムシ防除
カメムシの発生が多い地帯では、出穂後の防除を徹底し、玄米品質の低下を防止する。
5)稲こうじ病対策
穂ばらみ期から出穂期にかけての降雨によって、稲こうじ病の発生が助長されるので、常発地を中心に予防を徹底する。
6)追肥
コシヒカリの穂肥は生育量と葉色の診断により行う(第4号参照)。カラ−スケ−ル値が3以下の場合は、 減数分裂期に10a当たり1.5〜2kgの窒素を追肥する。また、追肥した場合は、いもち病の防除を併せて行う。 出穂期以降の追肥は、穂いもちの増加や食味の低下を招くので施用しない。
3.直播栽培の技術ポイント
A湛水直播
1)生育の状況
場内の生育は、草丈がやや長く、茎数がやや多い。5月上旬播種のコシヒカリまで幼穂形成始期が確認された。
現地での生育は、ほぼ順調であるが、葉いもちの発生が各地で見られる。移植稲との生育ステージの差は、3〜 7日程度と推察される。
2)当面の技術対策
(1)間断灌漑を継続して、できるだけ田面の固化をはかり、倒伏防止に努める。このため、台風襲来時や粒剤の施用時を除き、長期間の湛水管理は、絶対に避ける。
(2)幼穂形成期を確認後、移植に準じた診断により穂肥を施用する。ただし、株元が不安定な場合や苗立ちや 茎数が過剰な場合、品種がコシヒカリの場合は、施用を遅らせるか、または中止する。なお、明らかに倒伏が予測されるほ場では、倒伏軽減剤を使用するとともに、ほ場の排水対策に全力を尽くす。
(3)当面、移植稲と同様に葉いもち防除を徹底する。穂いもち防除にあたっては、生育ステージが移植稲よりも遅れるので、移植栽培とは別の防除体制をとる。苗立ちが過剰なほ場での紋枯病発生や生育の遅れによるイネツトムシの発生にも十分注意する。
B乾田直播
1)生育の状況
場内試験の生育は、草丈、茎数ともほぼ平年並である。移植稲との生育ステージの差は、湛直と同様に3〜7日程度の遅れと推察される。
現地における生育は、草丈がやや短く、茎数がやや少ない。生育ステージは、地域やほ場間でバラツキが大きいが、湛直よりやや遅れている。
2) 当面の技術対策
(1)水管理は、間断灌漑を継続する。出穂後の高温時の落水管理や早期の落水は、極端に登熟を早めて品質を低下させるので絶対に行わない。
(2)幼穂形成期を確認したら10aあたり2kgの窒素追肥を実施する。
(3)病害虫防除については、湛水直播に準じて行う。
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