水稲冷害研究チーム
1999年岩手県技術情報
なお,詳しい内容に関する問い合わせは岩手県にお願いいたします.
岩手県農作物技術情報(水稲)第1号
平成11年3月25日
岩手県、岩手県農作物気象災害防止対策本部
1 平成11年度技術指導の基本方向
高品質・良食味米を安定的に生産するため、「いわて純情米品質・食味ワンランクアップ運動」を全県的に展開・実施し、売れる米づくりを推進しましょう。
(1) 年次や地域間の品質・食味の変動を少なくするため、登熟温度が確実に確保できるよう、適地・適品種の作付けをしましょう。
(2) 気象変動による影響を極力軽減するため、適切な植え付け株数の確保、生育・気象条件に対応した水管理、地力や有機物施用量に応じた肥培管理等を徹底しましょう。
(3) いもち病による被害発生を防止するため、育苗期の防除や取り置き苗の早期撤去、葉いもち予防粒剤(箱または水面施用)の施用等、早期防除を重点とし、特に「かけはし」については葉いもち予防粒剤施用の定着化に努めましょう。
(4) 高品質米に仕上げるため、適期刈り取り・適期収納に努めましょう。特に昨年度は、雨により刈り取りが遅れ、品質が低下したところもありました。また、1.9mmふるい目使用の厳守による1等米比率の向上に努めたことにより、東北で第1位の1等米比率となり、良質米生産県であることを示すことができました。さらに品質・食味向上を図るため、機器分析等に基づく栽培技術の向上に努めましょう。
(5) 生産コストを低減するために、農業用機械の効率的利用や大区画圃場に対応した大規模稲作技術の普及に努めましょう。
「いわて純情米品質・食味ワンランクアップ運動」の目標
8:整粒歩合「80%」以上、登熟歩合「85%」以上
9:1等米比率「90%」以上、種子更新率「100%」
10:良質堆肥10アール当たり「1,000kg」以上の適量施用
2 暖候期予報に対応した稲作
近年は寒暖の変動が大きい天候が現れやすいことから、下記の点に留意しましょう。
(1) 苗の種類と作期の組み合わせ
気象変動による生育への危険分散を図るため、安全作期の範囲で苗の種類や移植期を組み合わせましょう。
(2) 健苗育苗
本田初期の低温にも耐え、初期生育を確保できるよう、薄播きや適切な温度管理などにより、健苗を育成しましょう。
(3) 深水管理の可能な畦畔の整備
幼穂形成期以降の低温時に深水管理ができるよう、畦畔のかさ上げや漏水防止のための畦畔補修を必ず行いましょう。
(4) 生わら施用田対策
生わらの鋤込みによる異常還元によって根の障害が懸念されますので、中耕・中干し等を行いましょう。
(5) 適切な施肥管理
地力や有機物施用量に応じ基肥窒素量を加減し、生育診断や葉色などの栄養診断による適切な施肥管理をしましょう。
3 健苗育成
(1) 種子予措
充実不足籾、細菌病やいもち病等の病原菌による汚染種子を取り除くために、比重選は必ず行いましょう。
(2) 種子消毒の徹底
ばか苗病やいもち病等の防除のため、種子消毒は必ず行いましょう。また、細菌病対策は播種時のカスミン剤施用が効果的です。これを実施できない場合は、スターナ水和剤によるもみ枯細菌病防除も併せて行いましょう。
(3) 浸種日数の厳守
最近は出芽しにくい品種が多いので、浸種は12度前後の水で10日以上行うことが必要です。
(4) 加温出芽の励行
無加温出芽では気温が低い場合に、出芽が遅れたり苗立ち枯れが発生しやすくなるので、出芽は必ず加温出芽とし、細菌病対策のために出芽温度は30度(上限)を厳守しましょう。
(5) 細菌病・苗立ち枯れ防除の徹底
細菌病予防のため、種子消毒でスターナ水和剤を使用しない場合は、カスミン剤による防除を必ず行うとともに、苗立ち枯れの予防のためにタチガレエース剤およびダコニール剤を必ず使用しましょう。
(6) 薄播きの徹底
播種はできるだけ少なくし、充実した苗を育苗しましょう。
(7) いもち病の育苗期防除
育苗期にいもち剤の茎葉散布を必ず実施しましょう。
(8) 適切な育苗温度管理
健苗育苗と病害発生防止のため、苗の生育にあった適切な温度管理をしましょう。特に、高温(30度)を超えると細菌病が発生しやすいことから、育苗ハウス内が25度以上にならないようこまめに管理しましょう。
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