水稲冷害研究チーム
1999年岩手県技術情報
なお,詳しい内容に関する問い合わせは岩手県にお願いいたします.
岩手県農作物技術情報(水稲) 第2号
平成11年4月26日
岩手県、岩手県農作物気象災害防止対策本部
1. 健苗の育成
1) 気象変動に対応した硬化期の管理
4月第6半旬は曇りの日が多く、短い周期で気圧の谷が通り変わりやすい天気となる見込みで、週の後半には最低気温が3〜4度と低くなる見込みです。また、5月上旬は天気は周期的に変わるものの、晴れの日が多く、平均気温は平年並みの見込みです。
このため、硬化中の夜間の最低気温を中・成苗で5度、稚苗で10度以下としないよう注意するとともに、日中の温度は田植え前までに徐々に温度を下げる。
灌水は、朝のうちに行い育苗箱の表面が夕方には乾燥する程度の水量を天候に合わせて十分に施します。乾きすぎなどにより夕方灌水しなければならない場合、しおれを防ぐ程度とし、過剰な灌水にならないように注意する。なお、育苗の後期には苗からの蒸散が多くなるので、灌水量や回数を増やす。
追肥は苗の葉色に応じて行うが、稚苗では1.5-2葉期、中・成苗では2-2.5葉期の追肥を目安とする。追肥は苗の葉が乾いているときに行い、追肥後は葉やけを防ぐため灌水する。
2) 硬化期の病害防除対策
無病種子、種子消毒、播種前から播種時の薬剤防除により予防対策の3つが基本です。
硬化期には、日中の温度を高くしないこと、夜間の湿度を高くしないこと、5度以下の低温時には保温することなど、育苗管理に十分に注意する。
ばか苗病の発生がみられた場合、発病苗をすみやかに抜き取り焼却または土中埋設する。育苗期のいもち病の感染を防ぐためには、育苗施設周辺の稲わらやもみ殻は始末するとともに、本葉2葉期頃から数回の茎葉散布による防除を行う。
2. 葉いもちの防除
1) 箱施用剤による防除
いもち病抵抗性の弱い品種(「ひとめぼれ」「あきたこまち」「ササニシキ」「かけはし」「ゆめさんさ」「こがねもち」等)を作付けする地域で、葉いもちが例年早くから多発する地域では、箱施用剤(「Dr.オリゼ箱粒剤」または「ウイン箱粒剤」)を使用する。使用量は箱当たり50gとし、移植3日前から移植当日に、葉に水滴のない状態で施用する。移植後はただちに入水し、浅水を避ける。また、本田が砂質土であったり、漏水田の場合や、冷水のかかる田では薬害が出やすいので注意する。なお、田植え後は取り置き苗の放置を厳に慎む。
3. 品種の特性を引き出す施肥管理
1) 土作り肥料の施用
灌漑水に含まれる珪酸の濃度が特に低いところ(田瀬ダム水系、和賀川・胆沢ダム水系、江刺市周辺の河川水系など)や、ごま葉枯病多発地帯(沿岸部、南部山間地帯、遠野地帯)では珪酸質肥料を施用すること。その他の地帯でも土壌診断に基づき珪酸質肥料を施用する。
また、長年の土作りにより、十分なリン酸が蓄えられた水田が多くみられることから、土作りとしてのリン酸資材は土壌診断に基づいて施用することがコストの節減に有効です。
2) 土壌や有機物を考慮した基肥施用
施肥は農業地帯別に土壌の種類と品種毎に設けている施肥基準を標準とする。堆肥や家畜糞尿堆きゅう肥は、牛厩肥1t相当を目標に施す。堆きゅう肥を連用している場合や、堆きゅう肥を多く施した場合は基肥窒素量を案分する。牛厩肥で1tを積み増し施用する場合には基肥窒素成分で1.0-1.5kg程度減肥することが必要である。
基盤整備した後の水田では、造成中の畑状態により土壌中窒素が分解されるため、施肥量を減らす必要がある。また、盛り土部分は生育が旺盛となり、切り土部分では逆に劣る傾向がある。
4. 安定稲作に向けた本田の管理
1) 畦畔の補修
低温時に深水にできるよう、畦畔のかさ上げや補修を行う。
2) 透排水性の付与
透水性の悪い水田では、有機物が分解しにくく、根の伸長や養分吸収が抑制されるほか、収穫時の作業にも支障をきたすので、心土破砕などにより下層土の透水性を改良し、日減水深を2〜3cmまで高めることが必要である。
3) 深耕と丁寧な代かき
作土を深くし、稲の根域を拡大することが、根の活力を後半まで維持することにつながる。また、代かきは丁寧に行い、均平や減水深の維持に努める。
4) 田植え
田植えは寒い日や風雨の日を避け、できるだけ暖かい日を選んで実施する。
栽植密度は地域や品種に合わせて、適正な密度を確保する。
<次回は5月10日の発行予定です。>
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