水稲冷害研究チーム

1999年山形県技術情報


 なお,詳しい内容に関する問い合わせは山形県にお願いいたします.

山形県7月の技術対策

平成11年6月30日

山形県立農業試験場

1. 生育調節
1) 倒伏の診断は、それぞれの品種の適期に実施するが、気象条件により、急激に草丈や節間が伸長し倒伏しやすくなる場合があるので、時期別の草丈の伸長程度にも十分留意し、伸長程度が大きい場合には中干し期間を長くしたり、穂肥の量を加減するなどで対応する。
2) 倒伏軽減剤の使用にあたっては、剤の種類によって使用時期が異なるので適正使用に留意する。
3) 直播栽培については、生育ステージが1葉程度遅れるため、草丈伸長期が梅雨明けの高温期に当たることや、根が表層に多いこと、さらに苗立ち数が多く倒伏しやすい圃場がみられることから、倒伏診断を十分に行う。特に、苗立ち数が多いほど倒伏しやすいので、深水管理や中干しにより適正な茎数、生育量の確保に努める。

2. 穂肥
1) 倒伏診断や穂肥診断は、「稲作指針」やそれぞれの「栽培マニュアル」に基づき、地域の気象条件や土壌条件等を勘案して実施する。
2) 倒伏が懸念される場合は、中干しの強弱や倒伏軽減剤施用等により倒伏防止を図る。特に、直播については、苗立ち数が多いほど倒伏しやすいので、適正な茎数、生育量の確保に努める。
3) 穂肥時期に葉色が低下しない場合、時期を遅らせて施肥する傾向がみられるが、低温抵抗性が低下するとともに、品質・食味にも影響するので、原則的には施用量を減らし適期に施肥する。遅れる場合でも、出穂10日前までに終了する。
4) 「はえぬき」「どまんなか」「ひとめぼれ」「里のうた」の標準的な穂肥は、幼穂形成期(出穂25日前)に窒素・カリ成分で2.0kg/10a程度である。
5) 「ササニシキ」の標準的な穂肥は、幼穂形成期(出穂20日前)に、窒素・カリ成分で1.0〜1.5kg/10a程度である。
6) 「コシヒカリ」「あきたこまち」の標準的な穂肥は、穂ばらみ期(出穂15日前)に、窒素・カリ成分で1.0〜1.5kg/10a程度である。
7) 山間・中山間部の「はなの舞」の標準的な穂肥は、幼穂形成期(出穂25日前)に、窒素・カリ成分で1.5〜2.0kg/10a程度である。なお、本品種は、葉色が4.0以下になると籾数が大幅に減少するので注意する。
8) 直播「はえぬき」の標準的な穂肥は、幼穂形成期(出穂20〜25日前)に、窒素・カリ成分で1.5〜2.0kg/10a程度であるが、この時期に葉色が5.0以上ある場合は、葉色が低下するのを待って、穂ばらみ期(出穂10〜15日前)に窒素・カリ成分で1.5kg/10aを施用する。穂ばらみ期になっても葉色が下がらない場合は穂肥を省略する。

3. 気象変動に対応する水管理
1) 出穂前25日頃から10cm程度の深水にする前歴深水灌漑(幼穂形成期の深水)は、稲の耐冷性素質を高める技術であり、冷害防止の事前策として積極的に実施する。
2) 出穂前7日から14日頃に17度以下の低温が予想される時には、15cm以上の深水管理を徹底する。なお、山間部等の灌漑水温が18度以下と低い場合は、被害を助長するので、温水チューブ等で水温を高める。
3) 高温・強風時には、一時的な湛水により稲態の保護をするなど、気象変動に即応した水管理の徹底を図る。

4. 病害虫防除
1) いもち病
圃場の見回りを徹底し、早期発見・早期防除に努める。本年は、葉いもち防除に薬剤を育苗箱施用したところや6月中旬に粒剤による防除を実施したところでも、降雨や日照不足が続くときには、油断せず見回りを行う。
2) 紋枯病
前年多発した圃場では、稲の株元をよく観察し、病斑が見え始めたら防除する。粒剤で防除する場合は、出穂20日前頃に散布する。
3) セジロウンカ
低気圧や前線の通過に伴って多数飛来することがあるので、発生予察情報に注意するとともに、圃場を見回り、多発時には直ちに防除する。
4) イナゴ
本年はふ化時期が早く、防除適期も平年より早まると予想される。すくい取りにより防除要否を判断し、発生が多いときは地域一斉に防除を行う。
5) カメムシ
生息しにくい環境にしておくため、畦畔、農道などの雑草の刈り取りを徹底する。刈り取りは稲の出穂2週間前までに終了するようにし、その後から8月中は行わないよう関係者と連携をとり、斑点米の発生を未然に防止するよう配慮する。


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