水稲冷害研究チーム
2000年福島県稲作指導情報<会津版>
なお,詳しい内容に関する問い合わせは福島県農業試験場にお願いいたします.
稲作情報第5号
平成12年7月25日
福島の米稲作情報編集会議
<U 移植栽培の当面する技術対策のポイント >
1 生育状況
(1)試験場内の生育:暦日から見た草丈は平坦部、高冷地とも平年より長いが、葉齢相当の草丈となった。茎数は平坦部のひとめぼれは葉齢相当の茎数より少ないが他は並〜多目である。葉色は、穂肥施用後の品種は葉齢相当の平年値に比し並〜やや淡い。施用前の品種(コシヒカリ)は大きく低下。幼穂形成始期は平坦部、高冷地とも平年より4〜5日早い。
(2)現地の生育:草丈は長目、茎数は並〜やや少ない(生育ステージが平年より早いため)。葉色が低下し、追肥が行われたほ場が多い。幼穂の形成は4日程度早い。葉いもちの発生は平坦部では少ないが、山沿いや山間部を中心に7月中旬以降、各地で発生が見られる。カメムシ類の生息密度は高目である。
2 今後の生育予想
試験場での出穂期は今後の気温が平年並であれば平坦部、山間部とも5日程度早まると予想され、また、平坦部の稈長は、平年並程度と予測される。現地の出穂期も、平年より早いと予想される。
3 当面の技術対策
(1)追 肥
@コシヒカリの穂肥は幼穂形成期の診断基準により行うが(稲作情報会津版第4号 表5)、出穂が早まり、高温登熟が予想されるため、草丈が基準よりやや長目でも、葉色が基準値まで低下した場合は10a当たり1.5kg以下の穂肥を施用し葉色を維持する。
A穂肥は遅くとも出穂期前10日(止め葉の展開期)までに行う。出穂期以降の実肥は食味低下の要因になるため高温下でも施用しない。穂肥施用時にはいもちの防除も実施する。
B幼穂形成期の草丈が、80cm以上のコシヒカリでは倒伏軽減剤の施用を検討する。
(2)水管理
@根の健全化と固めた作土を維持するため、間断灌漑を基本とするが、高温が継続する場合は、用水が豊富であれば掛け流しにより、不足する地域では昼間の灌漑や水の入れ替えにより水・地温の低下に努め、併せて土壌の還元化を防止する。
(3)病害虫防除
@本年はカメムシの生息密度高く、被害が心配される。薬剤防除は乳熟期とその1週間後の2回散布を基本とする。剤は有機リンとカーバメートの混合剤を使用し、地域全体で実施すると効果が高い。稲の止め葉展開後の草刈りは、カメムシを水田に追い込むので行わない。(防除の詳細は病害虫防除所発行の注意報3号 7月26日参照)
A7月4半旬に会津全域で好適感染日が出現している。散布剤で穂いもちを防除する場合には、穂ばらみ末期、穂揃期の防除を基本とする。予防粒剤を施用したほ場でも発生が見られた場合には、散布剤による追加防除を行う。
<V 湛水直播栽培の当面する技術対策のポイント>
1 生育状況
5月10日播きひとめぼれの、7月10日の生育量は平成11年より大きい。予想される出穂期は4月26日播きのひとめぼれが8月3日、コシヒカリは8月10日、5月10日播きのひとめぼれは8月7日である。4月26日播きは、両品種とも作況試験(中苗・5月19日植)より2日、5月10日播きは6日程度の遅れと予想される。
現地の生育は、草丈が長く生育量は大きい。出穂期は播種時期で差はあるが4月下旬播種は移植並と予想。
2 当面の技術対策
(1)水管理
@幼穂形成期前まで強い中干しを継続し、以降は間断灌漑を継続し支持力を維持し倒伏防止に努める。生育量が極端に大きい場合は、登熟期にも7〜10日程度の中干しを行い倒伏を防止する。
(2) 穂 肥
@穂肥施用は移植栽培に準じた診断基準で行う。移植栽培より倒伏しやすいので慎重に時期と量を判断する。ほ場が軟弱な場合や播種深度が浅く株が不安定な場合は施用しない。水管理と施肥管理で倒伏が防げないと判断される場合は、倒伏軽減剤の使用を検討する。
(3) 病害虫防除
@穂いもち防除、カメムシ防除は移植栽培に準じて行う。
A生育が遅れたり、葉色が濃いほ場ではイネツトムシの早期発見、早期防除に努める。
reigai@tnaes.affrc.go.jp