水稲冷害研究チーム
2000年福島県稲作指導情報<中通り版>
なお,詳しい内容に関する問い合わせは福島県農業試験場にお願いいたします.
稲作情報第5号
平成12年7月28日
福島の米稲作情報編集会議
U 生育状況
1) 作柄解析試験の稲の生育は、草丈が長く、茎数がやや少ない。出穂期は、平年より5日〜8日早まる。
2) 現地の稲の生育は、草丈がやや長く、茎数が概ね平年並。葉色はやや淡い。出穂期は、県北で平年より8日〜10日早く、県中以南では7〜8日早い。葉いもちの発生は、一部でずりこみほ場も散見される。 また、カメムシの発生が多い。
<V 移植栽培の技術ポイント>
1)今後の生育予測
出穂期は、幼穂形成期以降も高温で経過していることから、平坦部が平年より6日〜8日程度早く、高冷地が平年より5日〜6日早いと予想される。今後、平坦部の早いところでは、コシヒカリが8月4日頃から 出穂期を迎える。高冷地では、まいひめが7月31日頃から、初星が8月4日頃から出穂期を迎える。
2)水管理
(1)根の健全化と作土の固さを保つため間断灌漑を基本とし、登熟向上に努める。ただし、本年は出穂期が早 まり高温登熟が懸念される。30℃以上の高温が継続する場合は、用水が充分に確保されるならば掛け流しを行い、それ以外では湛水深を深めに確保し、稲体の保護に努める。
(2)早期落水は穂いもちの発生を助長し、米質の低下を招くため、適期落水(出穂後35日頃)を守る。
3)穂いもち対策
7月16日〜25日にかけて連続して葉いもち感染好適条件が出現したため、止葉や次葉などの上位葉での葉いもち発生が増加すると予想される。本年は出穂が早いため上位葉での葉いもち発生は、穂いもち発生に直接結びつくことから、穂いもちを徹底防除する。
(1)穂いもち対象の薬剤散布(散布剤)は、穂ばらみ末期と穂揃い期の2回を基本とし、上位葉(止葉・次葉)に葉いもちが多発していた場合は、傾穂期に追加防除を行う。
(2)葉いもち対象の粒剤(育苗箱施用剤や水面施用剤)を施用したほ場でも、葉いもち発生を確認したら、ただちに穂いもち対象の薬剤散布を行う。
4)カメムシ防除
本年は、カメムシの発生が県内全域で多いと予想されることから、注意報が7月27日に発表された。カメ ムシ防除薬剤は、乳熟期(出穂期後10日頃)と糊熟期(出穂期後20日頃)に2回散布する。また、出穂直 前に畦畔の草刈りを行うと、カメムシ類を水田に追い込む結果となるので、出穂の10日前以降は草刈りを行 わない。
5)紋枯病対策
本年は高温で経過しており、紋枯病が発生しやすい気象条件となっている。昨年本病が発生したほ場では、 被害株数の増加が予想されるため、防除を徹底する。
6)追肥
コシヒカリの穂肥は生育量と葉色の診断により行う(第4号参照)。カラ−スケ−ル値が3以下の場合は、 減数分裂期に10a当たり1.5〜2kgの窒素を追肥する。また、追肥した場合は、いもち病の防除を併せて行う。
<X 直播栽培の技術ポイント>
1)生育の状況
場内の生育:湛水直播は、草丈がやや長く、茎数が平年並からやや少なく、葉色は淡い。幼穂形成始期は昨年より6日〜9日早いが、移植稲との生育ステージの差は、4日〜5日程度と推察される。乾田直播は、草丈がやや長く、茎数が平年並からやや多い。幼穂形成始期は平年並であり、湛水直播より6日〜8日程度遅れている。
現地の生育:湛水直播は、草丈がやや長く、茎数は概ね平年並。生育ステージは、平年より5日程度進んでおり、移植より5日程度遅れている。乾田直播は、草丈がやや長く、茎数がやや少ない。
2)当面の技術対策
(1)間断灌漑を継続して、できるだけ田面の固化をはかり、倒伏防止に努める。また、早期の落水は極端に登 熟を早めて品質を低下させるので絶対に行わない。
(2)幼穂形成期を確認後、移植に準じた診断により穂肥を施用する。ただし、株元が不安定な場合や苗立ちや茎数が過剰な場合、品種がコシヒカリの場合は、施用を遅らせるか、または中止する。なお、明らかに倒伏が予測されるほ場では、倒伏軽減剤を使用するとともに、ほ場の固化に努める。
(3)当面、移植稲と同様に葉いもち防除を徹底する。穂いもち防除にあたっては、生育ステージが移植稲よりも遅れるので、移植栽培とは別の防除体制をとる。苗立ちが過剰なほ場での紋枯病発生や生育の遅れによる イネツトムシの発生にも十分注意する。
reigai@tnaes.affrc.go.jp