水稲冷害研究チーム

1997年宮城県「発生予察情報」

 情報提供は宮城県病害虫防除所.詳細に関する問い合わせは企画指導課(TEL直通:022-275-8960, FAX:022-276-0429)にお願いいたします.

○病害虫発生予報第10号(3月13日)

<概要>
 近年、水稲では種子伝染する病害の発生が多くなっている。塩水選、種子消毒等は確実に実施すること。昨年の出穂期は、気温が低く、降水量も少なかったことから種子伝染で発生する苗いもしや細菌性苗腐敗病(もみ枯細菌病、苗立枯細菌病)は平年並みと予想される。しかし、細菌性苗腐敗症は高温・多湿条件下で発生が助長される。シャワー循環式催芽器の使用に当たっては、適正な温度、浸種時間を遵守する。また、汚染種子等からの苗いもちや葉いもちの発生は、育苗期間が長引くと発生が多くなるので注意が必要。
 糸状菌(かび)による苗立枯病の発生も平年並みと予想される。無加温出芽育苗法で、出芽に時間がかかったり、温度が高い場合はリゾプス属菌やトリコデルマ属菌による苗立枯病の発生が多くなる。また、低温に遭遇するとピシウム属菌やフザリウム属菌による苗立枯病の発生が多くなる。育苗資材の選択や育苗期間中の適切な温湿度管理に注意するとともに、薬剤による予防防除は使用培土にあった体系で実施すること。

  1. ばか苗病(育苗期):発生量少ない
    1. 予報の根拠
      1. 前年の本田における発生は少なかった。
      2. ベノミル耐性菌の発生割合は依然として高いが、ベノミル耐性菌にも効果がある薬剤が県内のほとんどの地域で使用されている。
    2. 防除上の注意事項
      1. 塩水選は適正な比重で確実に実施する。
      2. いずれの種子消毒剤も処理方法が不適正な場合は、防除効果が低下するので確実に処理する。
      3. 高濃度液短時間消毒法において反復しようする場合は、毎回種籾を浸漬する前に薬液をよく攪拌し、また、種籾に薬液が十分ゆきわたるようによく振とうする。
      4. 低濃度液長時間消毒法は、種籾と薬液の容量比を1:1以上にし、同一薬液の使用回数は1回とする。
      5. 発病苗は抜き取り、処分する。

  2. 苗いもち:発生量並み
    1. 予報の根拠
      1. 近年、本田における葉いもちの発生は早期化傾向にあり、残り苗での葉いもち発生も目立つことから、発病苗の本田への持ち込みが増加していると考えられる。
      2. 4月の気温は平年並みと予報されている。
    2. 防除上の注意事項
      1. 塩水選は適正な比重で実施する。
      2. 種子消毒は確実に実施する。
      3. 育苗施設の周辺には、伝染源となる稲わらや籾殻などを置かない。
      4. 育苗期間が長引くと、葉いもちが発生しやすくなるので、移植適期の葉齢に達した苗は早めに移植する。
      5. 発生した場合は、発病苗を処分するとともに育苗施設内部の苗に薬剤散布を行う。

  3. 細菌性苗腐敗病(もみ枯細菌病、苗立枯細菌病):発生量並み
    1. 予報の根拠
      1. 前年の育苗期における発生は多かった。
      2. 出穂前後の天候は、気温の低い日があり、降水量も少なかったことから感染にはやや不適であったと考えられる。
      3. 4月の天候は平年に比べて曇りや雨の日が多いと予報されており、発生にはやや不適であると推察される。
    2. 防除上の注意事項
      1. 塩水選は、適正な比重で確実に実施する。
      2. スターナ水和剤を使用する場合は、ばか苗病、いもち病、ごま葉枯病用の種子消毒剤を併用する。
      3. デクリードCフロアブルを使用する場合は、高濃度液短時間消毒法とする。
      4. 催芽にシャワー循環式催芽器を使用する場合は、催芽温度、催芽時間を厳守する。
      5. シャワー循環式催芽器の使用は発生を助長するので、箱施用剤(フタバロン粉剤、カスミン粒剤等)による防除を必ず実施する。また、種子消毒剤(スターナ水和剤、テクリードCフロアブル)による防除を実施しても、シャワー循環式催芽器を使用すると、効果が低下する場合があるので、箱施用剤による防除を併用する。
      6. 薬剤による予防防除を実施したところでも、出芽時の高温(30度を超える)や多湿は発病を助長するので適正に管理する。
      7. 緑化期以降の高温多湿(保温資材のかけずぎ、床土水分過多など)は、感染・発病を助長するので避ける。
      8. 床土は適正な酸度(pH4.5−5.5)のものを使用する。
      9. プール育苗では、苗立枯細菌病の発生が抑制される傾向にある。

  4. 苗立枯病:発生量並み
    1. 予報の根拠
      1. 無加温出芽育苗法が増加している。
      2. 4月の天候は平年に比べ曇りや雨の日が多いと予報されており、発生にはやや不適であると推察される。
    2. 防除上の注意事項
      1. 発生してからの防除では効果が低いので、予防防除に努める。
      2. 床土の酸度が高いとピシウム属菌、フザリウム属菌が、低いとトリコデルマ属菌が発生しやすくなるので、適正な酸度(pH4.5−5.5)のものを使用する。
      3. 出芽時の高温はリゾプス属菌の発生を助長するので、適正な温度管理に努める。
      4. 育苗期間中に極端な低温に遭うとフザリウム属菌、ピシウム属菌が発生しやすくなるので、適正な温度管理に努めるとともに、低温に遭遇した場合は予防的にタチガレン液剤を潅注する。
      5. 被覆資材については、適正なものを使用する。特に、無加温出芽を行う場合は、出芽に適した資材を用いる。
 
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