水稲冷害研究チーム
1997年山形県「発生予察情報」
なお,詳しい内容に関する問い合わせは山形県病害虫防除所(電話 0236-44-4241)にお願いいたします.
病害虫発生予報第12号(3月13日)
<概要>
いねのばか苗病は少ない、苗立枯病はやや少ない発生予想ですが、種もみの塩水選、種子消毒、床土の消毒は必ず行って下さい。
生もみがら、わらなどは、いもち病やばか苗病の伝染源になるので、育苗資材および置床には使用しないで下さい。
1. ばか苗病:発生量は少ない。
1) 予報の根拠
(1) 前年の本田での発生は少なかった。
(2) ばか苗病は近年少発生傾向にある。
2) 防除上注意すべき事項
(1) 薬剤消毒の前に必ず塩水選(比重:うるち1.13、もち1.08)を行い、水洗いし、種もみの水をきる。
(2) 塩水選を行った種もみは、次のいずれかの方法で消毒する。浸種中は水を2〜3日間かえない。
(3) 生もみがら、わら等は、ばか苗病、いもち病等の伝染源になるので、育苗資材および置床には使用しない。
3) 種子消毒法(苗立枯細菌病、もみ枯細菌病を同時防除する場合は、別紙参照。*印の薬剤は苗立枯病、もみ枯細菌病も防除できる。)
(1) 湿粉衣法
○ 使用薬剤:ベンレートT水和剤20、ケス水和剤、トリフミン水和剤、ヘルシード水和剤、ヘルシードT水和剤、ベンレート水和剤、テクリード水和剤。
○ 薬剤量および方法:各薬剤とも乾燥もみ重の0.5%、ただしベンレート水和剤は乾燥もみ重の0.5−1.0%を粉衣し、2〜3日間ひろげて陰干し後、浸種する。
(2) 高濃度短時間処理法
○ 使用薬剤:ベンレートT水和剤20、ケス水和剤、テクリードCフロアブル*、スポルタックスターナSE*、トリフミン水和剤、ベンレート水和剤
○ 薬剤量および方法:ベンレートT水和剤20、ケス水和剤、テクリードCフロアブル、スポルタックスターナSEの20倍液(10リットル当たり500g(ml))、トリフミン水和剤30倍液(10リットル当たり333g)、ベンレート水和剤の50倍液(10リットル当たり200g)のいずれかに10分間浸漬し、2〜3日間ひろげて陰干しした後、浸種する。
(3) 高濃度短時間処理法
○ 使用薬剤:トリフミン乳剤、ヘルシード水和剤、ヘルシード乳剤
○ 薬剤量および方法:トリフミン乳剤の30倍液(10リットル当たり333ml)、ヘルシード水和剤、同乳剤の20倍液(10リットル当たり500g(ml))のいずれかに10分間浸績し、その後浸種する。
(4) 低濃度長時間処理法
○ 使用薬剤:スポルタック乳剤、ヘルシード乳剤、ヘルシードTフロアブル
○ 薬剤量および方法:スポルタック乳剤の1000倍液(10リットル当たり10ml)、ヘルシード乳剤、ヘルシードTフロアブルの200倍液(10リットル当たり50ml)のいずれかに24時間浸漬し、その後浸種する。
(5) 低濃度長時間処理法
○使用薬剤:テクリードCフロアブル*、ヘルシードスターナフロアブル*、トリフミンスターナSE*
○ 薬剤量および方法:いずれかの薬剤200倍液(10リットル当たり50ml)に24時間浸漬し、2〜3日陰干しした後、浸種する。
●注意1:湿粉衣法により大量消毒する場合は、ポットミキサー(胴回転型)等を使用する。なお、もみがら乾燥しているときは、種もみ20kgに対して水1.5リットルの割合で湿す。
● 注意2:薬剤量は種もみと同量(容量)とする。
● 注意3:薬剤に浸漬したら、種もみを攪拌するか種もみ袋をゆすって、薬剤が内部まで十分ゆきわたるようにする。
● 注意4:浸種前消毒を行った種もみは、流水に浸漬しない。
● 注意5:薬液の使用回数は、高濃度短時間処理法の場合は7回位まで使用できる。
● 注意6:使用後の薬剤は池、沼や水路等に捨てないようにする。
● 注意7:トリフミン剤、スポルタック乳剤、ヘルシード剤、テクリード剤は、軽度な初期生育遅延がみられる場合があるが、その後回復するので通常の管理を維持する。
2.苗立枯病:発生量はやや少ない
1) 予報の根拠
(1) 苗立枯病は近年少発生傾向にある。
2) 防除上注意すべき事項
(1) 育苗機具、器材の水洗いを十分に行う。
(2) 育苗床土は水はけがよく、適正酸度(pH4.5−5.5)の土壌を使用する。
(3) カヤベスト粉剤を使用するときは、根上がり防止のため、播種直前に十分灌水する。
(4) 育苗中は過湿を避ける。
(5) 灌水や薬剤を使用する場合は、白化現象を防ぐため液温を20度前後とする。
(6) リゾプス菌の発生を防ぐため、育苗中は33度以上にしないように温度管理に注意する。
3) 床土消毒法
(1) 播種前
○ 対象病害虫:フザリウム、ピシウム、リゾプス、トリコデルマ
○ 使用薬剤:カヤベスト粉剤
○ 使用方法および注意事項:1箱(30X60X3cm)当たり6gを床土および覆土に均一に混合する。
(2) 播種前から播種時
○ 対象病害虫:フザリウム、ピシウム
○ 使用薬剤:タチガレン粉剤、タチガレエース粉剤、タチガレン液剤、タチガレエース液剤
○ 使用方法および注意事項:粉剤は1箱(30X60X3cm)当たり6〜8gを床土および覆土に均一に混合する。液剤は500倍液(10リットル当たり20ml)を、播種時に1箱当たり500ml灌注する。
(注意:タチガレン粉剤、同液剤、タチガレエース粉剤を使用した場合は、ダコニール1000との使用間隔を必ず5日以上あける。)
○ 対象病害虫:フザリウム、ピシウム、リゾプス
○ 使用薬剤:タチガレエース粉剤またはタチガレン粉剤およびダコニール粉剤
○ 使用方法および注意事項:播種5〜7日前にタチガレン剤を1箱(30X60X3cm)当たり6〜8gを床土および覆土に均一に混合しさらに、播種時にダコニール粉剤を1箱当たり20gを、均一に混合する。
(注意:タチガレン剤とダコニール粉剤の併用では、薬害が発生したり、防除効果が劣るので使用間隔を必ず5日以上あける。)
○ 対象病害虫:フザリウム、ピシウム、リゾプス
○ 使用薬剤:タチガレエース液剤加用ダコニール1000
○ 使用方法および注意事項:播種時にタチガレエース液剤とダコニール1000を500倍になるよう混用(各薬剤は10リットル当たり20ml)し、1箱(30X60X3cm)当たり500mlを灌注する。
(3) 播種時
○ 対象病害虫:リゾプス、(トリコデルマ)
○ 使用薬剤:ダコニール1000
○ 使用方法および注意事項:ダコニール1000の500〜1000倍液(10リットル当たり10〜20ml)を、播種時に1箱(30X60X3cm)当たり500ml灌注する。トリコデルマ菌の発生が懸念される場合はダコニール1000にかえて、播種時にダコレート水和剤500倍液(10リットル当たり20ml)を1箱当たり500ml灌注する。
3. 苗立枯細菌病、もみ枯細菌病:既発生地では以下のいずれかの方法で防除を行う。
1) 種子消毒法(ばか苗病・いもち病・ごま葉枯病同時防除)
(1) スターナ水和剤と他剤との組み合わせで防除する場合
湿粉衣法
○ 使用薬剤:ベンレートT水和剤20、トリフミン水和剤、ヘルシード水和剤
○ 薬剤量および方法:乾燥もみ重の0.5%のスターナ水和剤と同量の各剤をあらかじめビニール袋などでよく混合した後粉衣し、2〜3日間ひろげて陰干し後、浸種する。
高濃度短時間+湿粉衣処理法
○ 使用薬剤:トリフミン水和剤、トリフミン乳剤、ヘルシード水和剤
○ 薬剤量および方法:トリフミン水和剤30倍液(10リットル当たり333g)、またはヘルシード水和剤20倍液で高濃度短時間処理し、薬液を切り、スターナ水和剤を乾燥もみ重0.5%粉衣し、2〜3日間ひろげて陰干しした後、浸種する。
高濃度短時間処理法
○ 使用薬剤:トリフミン水和剤、トリフミン乳剤、ヘルシード水和剤
○ 薬剤量および方法:トリフミン水和剤30倍液(10リットル当たり333g)、またはヘルシード水和剤20倍液のいずれかにスターナ水和剤を20倍液(10リットル当たり500g)となるよう混合し、10分間浸漬し2〜3日間ひろげて陰干しした後、浸種する。
(2) 一剤で防除する場合
高濃度短時間処理
○ 使用薬剤:テクリードCフロアブル、スポルタックスターナSE
○ 薬剤量および方法:各剤の20倍液(10リットル当たり500ml)に10分間浸漬し、2〜3日ひろげて陰干し後、浸種する。
低濃度長時間処理
○使用薬剤:テクリードCフロアブル、ヘルシードスターナフロアブル、スポルタックスターナSE
○ 薬剤量および方法:各剤の200倍液(10リットル当たり50ml)に24時間浸漬し、2〜3日ひろげて陰干し後、浸種する。
(3) 床土消毒法
播種前
○ 使用薬剤:カスミン粒剤
○ 薬剤量および方法:1箱当たり30g、床土・覆土に均一に混合する。
播種後
○ 使用薬剤:カスミン粒剤
○ 薬剤量および方法:播種後、1箱当たり15g散粒し覆土する。
○ 使用薬剤:カスミン液剤、フタバロン粉剤
○ 薬剤量および方法:カスミン液剤8倍液(1リットル当たり125ml)を1箱当たり50mlをもみの上から均一に散布し覆土する。フタバロン粒剤は覆土1リットル当たり3g混和し覆土する。
(注意1:フタバロン粒剤は苗立枯病の床土消毒でカヤベスト粉剤10を使用した場合は使用しない。)
(注意2:種子消毒法で防除した場合は行わない。)
(育苗期間中の高温多湿は発病を助長するので適切な温度管理を行う。)
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