東北農業試験場
水稲冷害研究チーム通信
No.22
1999年2月17日
豊凶を占う岩手・石鳥谷町「たろし滝」
目次
- 「たろし滝」とは
- 平成11年度「たろし滝」?
- 今後の通信発行予定
- 最後へ
1.「たろし滝」とは
たろし滝は、石鳥谷町の中心部から西に10キロほど入ったところにある。トゲシ森から葛丸川に注ぐ沢にある中腹の滝が凍りついてできる氷柱で、昔から大瀬川地区の人たちが、氷柱の太さでその年の稲の作柄を占ってきた。「たろし」とはつららのことで、古語の垂氷(たるひ)がなまったものである。できる氷柱の形が滝に似ていることから「たろし滝」の呼び名がついたといわれる。
氷柱の高さは13mあり、太さは記録として残っているものでは、大豊作となった昭和53年が最高であった。過去の太さと作況は下表のとおり。
表 たろし滝の太さと作況
| 年次 | 太さ(m) | 作況指数 | 年次 | 太さ(m) | 作況指数 |
| 岩手県 | 北上川下流 | 岩手県 | 北上川下流 |
| 昭和50年 | 4.2 | 109 | 110 | 昭和63年 | 5 | 85 | 87 |
| 昭和51年 | 3.5 | 82 | 88 | 平成元年 | 計測不能 | 100 | 99 |
| 昭和52年 | 6.5 | 103 | 103 | 平成2年 | 5 | 106 | 105 |
| 昭和53年 | 8 | 112 | 111 | 平成3年 | 計測不能 | 90 | 92 |
| 昭和54年 | 計測不能 | 105 | 106 | 平成4年 | 計測不能 | 100 | 99 |
| 昭和55年 | 3.5 | 60 | 72 | 平成5年 | 計測不能 | 30 | 34 |
| 昭和56年 | 6 | 76 | 76 | 平成6年 | 4.4 | 110 | 110 |
| 昭和57年 | 計測不能 | 89 | 89 | 平成7年 | 4.7 | 96 | 95 |
| 昭和58年 | 4.8 | 99 | 99 | 平成8年 | 計測不能 | 102 | 103 |
| 昭和59年 | 7 | 109 | 108 | 平成9年 | 3.9 | 105 | 105 |
| 昭和60年 | 7.8 | 109 | 109 | 平成10年 | 6.3 | 96 | 96 |
| 昭和61年 | 6.4 | 107 | 109 | 平成11年 | | | |
| 昭和62年 | 計測不能 | 107 | 108 | | | | |
「たろし滝」の豊凶占いは、たろし滝測定保存会の会長を務める板垣 寛さんが太さを計測後に川柳で作柄を予想するのが恒例となっている。過去の会長の川柳は次の通り。
平成3年 温暖化たろしの太さ妨げる
平成4年 減反がこわくてたろしふとれない
平成5年 たろし滝無いので知恵でカバーする
平成6年 凶作の心配ないというたろし
平成7年 並作はかたいとたろし笑っている
平成8年 並作に夢を託せというたろし
平成9年 油断無く並の太さがそっという
平成10年 さあ大変減反増えるこの太さ
平成11年 ?
2.平成11年度「たろし滝」?
同僚の神田君が雪靴を新調しデジタルカメラを抱え、万全の準備で早朝出発した。ところが、出発早々にタイヤがパンクし、修理に手間取り遅刻して到着することなった。
到着した頃には全員での拝礼が済み、大瀬川神楽保存会による「権現舞」の奉納が行われているところであった。
前々日からの大雪も止み晴れ間がのぞく中、県の農業関係者と地元の人たちが見守る中、県知事も参加していよいよ計測が行われた。その結果は太さ4.0mであった。
板垣さんは「たろし滝」の由来と本年のたろしの成長の様子を紹介し、川柳による作柄予想を次のように表した。
『まずまずの太さで秋の夢が馳せ』
この託宣は“並作”を意味し、参加者からは大きな歓声が上がった。
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| 「神楽の奉納」(98KB) |
「まずまず太ったたろし滝」(151KB) |
「計測風景」(80KB) |
3.今後の通信発行予定
しばらく途絶えていた研究チーム通信を復活させます。今後は、昨年の作柄分析の結果と研究の成果を順次報告していきたいと考えています。
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