水稲冷害研究チーム
1997年編集長日誌
1997年編集長日誌
この日誌は早期警戒システムの舞台裏を記録するものです。
4月
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○ 4月11日(金)初夏のようなつくばから帰る
初夏のようなつくば市から盛岡に帰る。盛岡は寒気の南下により冬のような寒さ。バスを待つ人たちは震え上がる。今夜は雪が舞うか。
○ 4月12日(土)積雪約10cm
午前6時頃から吹雪きとなり、積雪は約10cmにも及ぶ。
偏西風の流れがそろそろ変化すると予想していたが、やはり偏西風は極東地域で南北流型となり始め、寒気が周期的に南下するかもしれない。4月に入ってから天候がぐずつき、春らしい天気がない。いよいよ早期警戒の本格的な業務を開始しよう。ただ、アメダス気象情報システムが準備できていない。
1か月予報を入手。向こう1か月の平均気温は平年より低いという。長期予報では、信頼度の高い予報はせいぜい2週間先までと言われる。とはいえ、4月26日から5月9日までの期間、平均気温は平年より低く、一時的に寒気が流れ込み、遅霜や日本海側を中心に降雪の恐れがあるとのこと。昨年の田植え時期の低温障害が思い起こされる。
○ 4月13日(日)冷たい雨が降る
東北北部を寒気を伴った低気圧が通過。寒い一日である。
この状況は週間予報支援図の上空の気温予測によると、今週いっぱい続く可能性がある。東北南部の各地から育苗作業が始まったたよりが届く。われわれも16日に播種だ。
○ 4月14日(月)久しぶりの青空
各県関係者に技術ならびに予察情報の送信を依頼。
青森県の予察第1号が早々にくる。原稿を作成する。
アメダス自動監視システムの開発状況を依頼先に問い合わせる。システムの稼働を万全にするため、5月9日納品となる。今にでも欲しいが仕方がない。
○ 4月15日(火)朝方放射冷却で冷え込む、福島を除く5県は早朝氷点下の気温
河北新報が早期警戒システムの取材にくる。東北地方の知の拠点、先端産業の情報化に関連して、やませと情報との関係が視点。
明日の種まきの準備。いよいよシーズン到来だ。
○4月16日(水)水稲種まき
昨日の週間予報支援図の上空の気温偏差を今後の予想では、この先1週間は寒気が南下し、平年より低い見込みだ。育苗管理には注意が必要か。
午前7時半から水稲育苗の種まきが行われる。業務3科との共同作業。順調に進み、予想外に早く終わる。
午後、東北大学川村先生と富士通の関係者が来室。東北地域の1時間・1キロメッシュ日射量データの利用法について打ち合わせる。6月頃から東北全域の時別、日別、旬別、月別日射量分布画像を早期警戒システムのホームページに掲載させていただけるとのこと。そのための専用ISDN回線を設置することにする。このデータが早期警戒業務にどのように役立つか、本年度の一つの研究テーマだ。また、ホームページ閲覧者の方々にもどのように利用できるか、意見を求めてみたい。
夜は、慰労会。久しぶりに業務3科の人たちと酒を飲む。
○4月17日(木)
移動性高気圧に覆われ、天気は比較的良さそうだが、朝は放射冷却で冷える。週間予報支援図によると、これからは低温傾向はやや緩むが、23日頃から偏西風の流れが南北流型となり寒気の南下がありそうだ。やはり、月末は低温傾向か。田植えの早いところは注意が必要だ。次の1ヶ月予報は注目される。
日本農業新聞が早期警戒システムホームページの取材に来室。今年はシーズン前に紹介していただけるとのことだ。
秋田県予察情報入手。
○ 4月18日(金)
寒気を伴った気圧の谷が本州付近を通過。北日本は日中晴れるが夕方頃雲が広がる。
今日は、地域総合研究の現地宮城県松山町へ研究打ち合わせのため出張。東北自動車道からも、田起こしが盛んに行われているのがみてとれる。
福島県から技術情報が送信される。
○ 4月19日(土)
移動性高気圧に覆われて、晴れて気温が上がる。
場内の水仙が咲き始め、桜のつぼみがピンクになる。このところの低温で、桜の開花は予想よりは遅れる。
1か月予報、予察情報等を入手。
予報によると、信頼度は低いものの5月3日から16日頃の平均気温は低いと予想されている。この時期は田植えの始まる時期に相当する。昨年のような低温にならなければと、心配される。
早期警戒情報を発信するかどうか、悩む。気象監視システムが早く欲しい。
○ 4月20日(日)
移動性の高気圧に覆われ、晴れる。朝方は放射冷却で冷え込む。週間予報支援図では、先1週間は上空の気温は低い傾向だ。
場内の水仙、コブシが咲き始めた。昨年、花の数が少なかったコブシも、本年はたくさんの花を咲かせている。
1か月予報支援図によると、東西指数は4月いっぱい負偏差が続く予想だ。
福島県の直播はそろそろ播種時期となる。今週には田植えのたよりも聞かれるか。
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○ 4月21日(月)
低気圧が接近しつつある。天気がくずれ、その後どの程度の寒気が入ってくるか注目される。
今日は、仙台管区気象台で農業気象協議会が同台技術部と東北農政局との間で開かれる。主な議題は次のとおり。
- 1996/1997年寒候期の東北地方の天候
- 平成8年気象災害による農作物等被害状況
- 平成8年発生災害の概要
- 平成9年東北地方の暖候期予報について
- 水稲冷害の早期警戒システムについて
- 東北地域水稲安定生産推進連絡協議会について
- その他
3ヶ月予報も紹介された。注目された点は、エル・ニーニョ監視海域の海水温が今まで負偏差であったのが、3月は+0.1度と正偏差に変わったことである。エル・ニーニョ現象へ移行するかどうか、今後の推移が注目される。
新幹線沿線では、代掻きに入った水田も数枚見られた。
○ 4月22日(火)
低気圧の接近で朝小雨。太平洋側は大きく崩れないと予報されている。
盛岡は一日小雨がぱらつく。この低気圧が通過した後一時的に寒気が南下する。週間予報支援図では、月末に向けては偏西風の流れが東西流型になるように予想されている。穏やかな連休となればよいが。
神田君に作成情報を渡す。書類や原稿作成に追われる。
○4月23日(水)
低気圧が通過し、冬型の気圧配置となる。週間予報の支援図によると、ここ数日上空に寒気が居座るようだ。
岩手県農業センター、岩手大学と共同で岩手県胆沢地域の土壌サンプルを採集するため調査にでる。冷たい西風に震える。
農水省農産園芸局の4月17日付け病害虫発生予報第1号入手。その内容は、次の通り。「葉いもちについては、昨年東北と北陸を中心多発し、本年も気象の推移によっては多発が懸念される。常発地帯等では苗いもちの発病に注意するとともに育苗箱施用や本田初期施用を実施すること。なお、育苗期の低温が予想されるため、温度管理等に十分留意し、苗立枯病の発生に注意すること。」
福島県技術情報(会津版)入手。
富士通より、ひまわり画像と1時間・1キロ推定日射量の配信に関する問い合わせあり。ホームページ用データ・画像は5月から、配信については6月からお願いしたいと回答する。
○4月24日(木)
低気圧がオホーツク海で発達し、冬型の気圧配置となる。午前5時のアメダスの気温は全域で2〜5度程度。北海道東部では大雪が降った。
東北農政局で「東北地域水稲安定生産推進連絡協議会」が開催される。早期警戒の本年初会合だ。議題は次の通り。
- 東北地域における暖候期の天候の見通し
- 農業生産の技術指導対策および水稲の品種動向
- 水稲冷害の早期警戒システム
- 気象変動を踏まえた平成9年度の重点技術指導事項および現場での指導体制
- 平成9年度協議会およびワーキンググループの運営
- 東北農業試験場におけるグラディオトロンを使った研究
水稲の播種・育苗状況は、県の報告によるとほぼ平年並みで進んでいるようだ。
23日発表の週間予報支援図によると、上空の気温偏差のパターンが大きく変わった。28、29日頃に再び強い寒気が南下する予想だ。明日、発表される1か月予報が注目される。予報内容によっては、早期警戒情報を作成する予定。
宮城県から予察情報が来る。
○ 4月25日(金)
場内の桜もやっと開花を始めた。予想は平年より早まるものであったが、このところの低温でやや遅れたようだ。
移動性高気圧が東北地方に張り出し、おおむね晴れる。24日の週間予報支援図によると、月末30日頃を中心に上空に寒気(平年より−6度程度低い)が入ると予想されている。苗の管理が心配される。
4月11日〜20日のエル・ニーニョ監視海域の海水温情報を入手、海水温平年偏差分布図によると、負偏差の領域が以前よりもさらに少なくなった。やはり、高い傾向が続いている。
1か月予報入手、気温は平年並みと予想しているが、5月3日から5月9日の期間中に寒気の南下が予想されている。この頃は東北太平洋側南部では田植えが行われる時期に一致する。
情報資料課より各県の新聞記事が来る。
○ 4月26日(土)
移動性高気圧に覆われ、おおむね晴れる。気温が上昇し、春らしい一日となる。
盛岡も気温が20度近くまで上昇、足踏みしていた場内の桜が一斉に開花を始める。
早期警戒情報を作成するどうか、判断が難しい。26日の週間予報支援図をみて、判断する。
○ 4月27日(日)
今日も昨日と同様に移動性高気圧に覆われ、おおむね晴れるが、10時頃から雲がかかり、風も強くなる。天気は崩れる。気温も平年よりかなり高くなる。
26日発表週間予報支援図入手。やはり5月3日頃から再び寒気が南下する予測。4月27日付け早期警戒情報をまとめる。
○ 4月28日(月)
移動性高気圧の覆われて、初夏のような暑さになる。
27日の週間予報支援図では、5月3日頃から寒気が南下すると予想されている。
秋田県から作況ニュース第1号が来る。
○ 4月29日(火)みどりの日
寒冷前線が近づきつつある。これが通過した後にどの程度の寒気が南下するか注目される。週間予報支援図は今までの予想とやや変わってきた。5月3日頃までは寒気が南下、その後は暖かい空気が入るとの予想だ。
当場の桜が満開となる。久しぶりに松川温泉に行く。車窓からみた北国の春は、次の馬場あき子さんの文章にぴったりの情景であった。
「一本の樹の根元の雪がまあるく溶けて、匂うような黒土が見えはじめると、遅いみちのくの春は狂ったような駆け足でやってくる。田圃の畦は蕗のとうだらけ、まんさくの古葉が落ちてほけほけとした花が眠そうに春に目さめると、あとは一気に梅、桃、椿、連翹(れんぎょう)、雪柳、木蓮、辛夷、木瓜(ぼけ)、沈丁花(ちんちょうげ)、道端にはたんぽぽ、なずな、犬ふぐりなどが見さかいなしにといいたいほどの乱脈さで咲き競う。流れる水の音も爽やかな勢いをひびかせ、目にはいるものすべてが光っていた。」
(馬場あき子、「生命力にみちたみちのくの色」から、TRAIN VERT4月号から)
○ 4月30日(水)
寒冷前線が通過するため、天気は崩れ始める。
午後、岩手県農業気象協議会に出席する。総会と今年度活動計画が提案・了承された。また、4月例会として、盛岡気象台から暖候期予報、3か月予報について説明を受け、今後の技術対策が検討された。これは、先日仙台管区気象台で行われた東北地域農業気象協議会の県版である。
岩手県技術情報と予察情報、福島県予察情報入手。
寒波が南下するという予報であったが、気温は高い。
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