水稲冷害研究チーム
1997年編集長日誌
1997年編集長日誌
この日誌は早期警戒システムの舞台裏を記録するものです。
5月
−−−−−−−−− 上旬 −−−−−−−−−
○ 5月1日(木)ホームページ開設1周年記念日
天気はよく、気温は高い。
30日発表の週間予報支援図をみると、6日頃までは上空の気温は高いほうに予測され、今までとは変わってきた。いつまで、高い状態が続くのか心配だ。
稲作シーズンも近いので、農家の方に近況をお聞きするメールを出す。
当チームも試験ポットの土つめが始まる。
アメダス自動監視システムの開発先から、IPアドレス3回線確保せよとの指示がある。
本日は開設1周年記念日だが、雑務に追われて仲間と記念日を祝うこともなく過ぎる。
○5月2日(金)
天気はよい。気温は高く、強い風が吹く。
本日発表の1か月予報と1日の週間予報支援図を入手する。支援図では札幌上空には寒気が南下する傾向を予想しいるが、1か月予報では10日からの第2周目は太平洋高気圧が張り出し気温は平年より高いと予想している。この違いは、東北地域までは高気圧の圏内に入ることを意味するのか?
早期警戒情報は2日の週間予報支援図を入手してから、作成することにする。
先週予想された寒気の南下はなく、平均気温は太平洋側中心に平年よりも高く3度以上高いところもあった。結果的には過度に心配したことになる。
山形県鶴岡の生産者の方から、メールが来る。本日、直播の播種(品種どまんなか)を行ったとのこと、移植は10日頃から始まるようだ。移植時期の天気を気にしておられる。
○5月3日(土)
東北南部は曇り、盛岡は晴れて、気温が高い。
早期警戒情報を作成する。やや警戒程度を低める。
2日の週間予報支援図によると、6日頃から北海道上空の気温は平年より4度程度低くなり、その後も低い状態が続くと予想している。
明日はチーム皆で、松山町に田植え時期の調査に行く予定だ。
○ 5月4日(日)
盛岡は朝から小雨が降る。寒冷前線の接近で天気は不安定。
宮城県松山町へ行く。岩手県内でも水田に水が入り、代掻きが始まる。一関付近で移植を行っている水田をはじめてみる。宮城県に入ると移植した圃場も散見される。
松山町は田植えの最盛期だ。事前調査のため忙しい田植え時期に作業中の農家の方に、各圃場の耕種概要をお聞きする。約40人の農家に聞き取り調査をする。
4日の週間予報支援図を入手。それによると、これから徐々に北日本上空へ寒気が南下する予想であり、1か月予報とは異なる天候になる可能性もある。
○ 5月5日(月)
盛岡は抜けるような青空だ。
岩手県種市町の閲覧者の方から、「種市町はやませの最前線です。どのようなことをモニタリングすればよいのか」とのモニターに関する問い合わせのメールが来る。「やませの状況とか稲の成育の状況をお知らせいただければ」とモニターへの参加をお願いするメールを返信する。
週間天気予報の内容が大きく変わってきたので、早期警戒情報を5月5日付けで変更する。また、10日の田植え頃の天候を気にしている鶴岡のモニターの方に、週間予報の変化をお知らせする。
○5月6日(火)
寒冷前線の接近で、天候は不安定。
松山町へ田植え時期の調査に行く。田植えは順調に進み、ほぼ6、7割程度が終わる。途中、天候が不安定となる。岩手県内でも田植え後の水田が目につくようになった。
5日の週間天気予報の内容を入手。札幌上空の気温偏差予報では、今後寒気が南下する予想である。
○ 5月7日(水)
気圧の谷の接近で、天候は不安定。
午後2時のアメダス気温は東北北部で15度以下となっている。特に沿岸部では10,11度程度で、気温はかなり低くなっている。
6日の週間予報支援図を入手、今後11日ごろまでは札幌上空の気温は負偏差と予想され、寒気の南下を示唆する。気圧の谷が通過する明日は荒れ模様か。
当チームも試験圃場の田植え準備に慌ただしくなってきた。品種比較試験は40アールの手植えを行う予定。このような大規模な手植え作業は場はじまって以来と関係者に迷惑をかける。
アメダス自動監視システムが9日セットアップされる予定だ。来週にはリアルタイムに近い気象監視ができるものと期待する。
○ 5月8日(木)
春の嵐だ。日本海に進んできた低気圧が急速に発達する予報だ。その後、東北地方は一時冬型の気圧配置となり、西風が強くなる。
強い風のため移植直後の苗が心配だ。また、日本海側はフェーン現象の発生が心配される。育苗中の苗の管理は十分な注意が必要だ。午後5時に新潟市周辺の観測地点では30度を記録している。
宮城県など移植直後の苗が強風に痛めつけられないか心配だ。
- 午前5時:松山町周辺、気温10、11度、南東の風3〜4m、曇り。
- 午前6時:松山町周辺、気温10〜12度、南東の風3〜4m、曇り。
- 午前7時:松山町周辺、気温10〜12度、南東・東の風3〜4m、1mm程度の雨
- 秋田県象潟周辺は気温が25度、南西の風11m、1mm程度の雨。
- 秋田市周辺も風が強い、7m程度。
- 午前8時:松山町周辺、気温10〜13度、東寄りの風3〜4m、曇り。
- 日本海側の庄内から大潟沿岸部は10〜12m程度の強風が吹いている。気温は20〜25度、フェーン現象となるか。
- 午前9時:松山町周辺、気温12〜15度、東寄りの風3〜4m、曇り。
- 日本海側の庄内から大潟沿岸部は10〜12m程度の強風が吹いている。気温は下がり18〜23度。
- 午前10時:松山町周辺、気温17度、東から北東寄りの風3〜4m、曇り。
- 日本海側の庄内から大潟沿岸部は10〜12m程度の強風が吹いている。気温は下がり18〜23度。
- 太平洋側沿岸部で気温が急上昇している。27度のところもある。風速は3〜6m。
- 雨は秋田県と岩手県県境付近で十数ミリになっている。
- 午前11時:松山町周辺、気温17〜20度、南の風7m程度、曇り。
- 日本海側の庄内から大潟沿岸部は風速10m以下となった。気温もやや下がりはじめた。
- 太平洋側沿岸部で気温がさらに急上昇している。25〜27度のところもある。風速は3〜6m。
- 東京では風速15m程度の南風が吹いている。これが徐々に北上するか、警戒が必要だ。
午後12時:松山町周辺、気温22度、南の風8m程度、曇り。
- 日本海側の庄内から大潟沿岸部は風速10m以下となった。気温も14〜17度程度となる。
- 太平洋側沿岸部で気温がさらに急上昇している。25〜27度のところもある。風速は3〜6m。
- 午後1時:松山町周辺、気温22〜24度、南の風8m程度、曇り。
- 午後2時:松山町周辺、気温17〜22度、南の風8m程度、曇り。
- 日本海側では気温が下がり、秋田県や津軽は13〜15度程度となる。寒気が南下しはじめたからか。
午後3時の閲覧していたホームページのデータ更新が止まった。残念だが警戒態勢を解除する。明日はアメダス自動監視システムが導入される。どのようなシステムができたのか、楽しみである。
7日の週間予報支援図を入手。札幌上空の気温偏差は、今後11日ごろまでは負偏差と予想されている。北海道は一日気温の低い状態が続いていた。しかし、12日ごろから気温偏差は正に転換すると予想。
岩手県種市町の閲覧者の方から、メール返信が来る。雨除けホウレンソウを栽培されている方で、やませの観察などで協力いただけるとのこと。大変ありがたい。また、技術情報が充実するともっと閲覧者が広がるのではとの意見を頂いた。この点は今後の課題とする。
○5月9日(金)アメダス自動監視システム納入日
低気圧が東に去り、青空が広がる。ここ数日は高気圧に覆われて、穏やかな天候だという。田植え準備が進むだろう。
本日は、1か月予報の発表がある。5月下旬の天候が気になり、仙台管区気象台に1か月予報の支援図をお願いして頂く。それによると、大気の状態を示す各種指標の予測では、16日頃からオホーツク海高気圧が発生しやすく、寒気の南下を示唆するものだ。
8日の週間予報支援図を入手。これによると、16日頃は偏西風の流れが九州付近まで下がり、流れも南北流型となり、寒気の南下の可能性がある。
午後、待ちにまったアメダス自動監視システムが入る。セットアップやや手間取り、一部希望の機能が付与されていない。本格稼動にはまだ時間が必要だ。
1か月予報入手。やはり、17日からの週の平均気温は平年より低い。早期警戒情報をまとめる。
○ 5月10日(土)
北海道付近を通る低気圧の影響か、朝方は曇が多いがその後快晴。アメダス現況図によると、午前五時現在、北部より南部で気温は10度以下となっている。日中はほぼ全域で快晴となる。田植え準備が順調に進むだろう。
アメダス自動監視システムの機能をチェックする。各種生成画像ファイルのチェック。早急に改善すべき点をまとめる。まだ、監視態勢が完成したとはいえない。一般に公開できるのは、毎正時の現況だけだ。早急に改善を要望しなければ。
9日の週間予報支援図を入手。やはり、16日頃から偏西風の流れが九州付近まで南に下がる予想だ。北日本には寒気が南下するか。
−−−−−−−−− 中旬 −−−−−−−−−
○ 5月11日(日)
北の低気圧の影響で、盛岡は雲が多く、風もやや強い。
アメダス自動監視システムをチェック。やはり、71監視地点の前日の気象データが生成されていない。また、各種要素の画像も更新されていない。
試験圃場の代掻きが行われている。14日に機械植えを予定している。いよいよ今週は忙しくなる。
情報資料課から遅れてきた各地方紙の新聞記事をまとめる。各県の主要品種別作付見込み面積動向と直播の記事が目立つ。どまんなかが減少してササニシキが復権した山形県とササニシキの作付け面積が減った秋田県、ササニシキBLが急激に増えた宮城県、コシヒカリが50%を超えた福島県、など作付品種動向には農家の良質米への反応が顕著に現われている。
10日の週間予報支援図によると、16日以降もそれほど強い寒気の南下は予想されていない。偏西風は東西流型で、関西まで南下する予想。
○ 5月12日(月)
朝方は冷え込んだが、天気は晴れる予想。
アメダス自動監視システムをチェック。開発先に早急な改善を求めるファクシミリを送信する。その結果、今週、木曜日と金曜日に来てくれて、自動システムを再調整してくれる。
日本農業新聞で「早期警戒システム」の紹介記事が掲載される。アメダス監視システムが未だ提供されていないので、記事とマッチしないところがある。
神田君が忙しい中、アメダス現況図をホームページに掲載してくれる。
週間予報支援図によると、上空の気温は今後平年より高い傾向だが、19日頃に寒気が南下する予想となっている。偏西風は今後南下し、東西流型から南北流型へと転換、19日頃には九州当たりに下がる予想だ。今のところ、低温を心配する必要はないようだ。
編集長からのご挨拶をまとめ、本年の重点改良事項を紹介する。
午後1時現在、ほぼ全域快晴。気温は内陸部では20度を超えているが、沿岸部は海風の影響で15度を超えていない。
昨年からメールをやり取りしている亘理の方からメールが来る。5月2日〜4日に移植を完了し、気温が高く順調に活着したとのことだ。高温のため地力窒素の発現が例年とは異なる可能性があるので心配されている。
今日のアクセス状況はかってないほどに急増する。やはりマスコミの威力は驚くべきもの。
○ 5月13日(火)
高気圧に覆われて、晴れる。西にある低気圧はゆっくり東に進んでくる予想。
週間予報支援図によると、19日頃から偏西風の蛇行が大きくなり南下し、北日本と西日本に寒気が入る予想となっている。
いよいよ田植え準備に入る。明日は約1.5ヘクタールの移植を行う。天気が下り坂で、雨が心配だ。
今日もかってないほどのアクセス件数がある。
○ 5月14日(水)田植え
前線を伴った低気圧が接近、曇り。午後雨が予想される。
約1.5ヘクタールの試験圃場の移植を順調に終える。荒天だと、浮き苗の多発が心配される。気温は上がらず、やや寒さを感じた。
農業共済新聞から、ホームページの紹介依頼がある。営農に役立つホームページ特集で、その一つに取り上げられたようだ。
青森県、秋田県、山形県の技術情報を入手。
週間予報支援図によると、17日頃から日本全域にわたり上空に寒気が南下する予想となっている。かなり強い寒気なので警戒が必要だ。
恩師から激励のメール来る。一言「感動しました」とある。
○ 5月15日(木)
大きな気圧の谷に入り、天気はぐずつく。午後から本格的な雨となる。
秋田県と山形県の発生予察情報を入手。
週間予報支援図によると、19日頃から西日本と東日本上空に寒気が南下する予想だ。
アメダス自動監視システムの調整に来てくれる。とりあえず、監視業務に必要な情報を正常に構築できるようにする。
岩手日報から早期警戒システムについての取材依頼が来る。明日午前10時に約束する。
○ 5月16日(金)
前線が通過し、寒気を伴った低気圧が接近しつつあり、不安定な状態が続く。
週間予報支援図によると、19日頃から日本付近上空に寒気が南下する予想だ。本日の1か月予報が注目される。
山形県・鶴岡のモニターの方からメールが届く。作業受託分を含めて12ヘクタールを田植えしたという。天候は順調で田植え作業もはかどり、苗の活着も良いようだ。また、直播も出芽し、3cm程度に生長し、昨年悩まされたカモの害はなく順調とのこと。まずは、順調なスタートとなったようで安心した。
岩手県・種市のモニターの方からメール届く。沿岸部の田植えはまだ始まったばかりのようだ。
1か月予報を入手。向こう1か月は寒気がたびたび南下し、大気が不安定となり、ぐずつく天候になりそうだ。早期警戒情報は本日の週間予報支援図をみて、明日でもまとめることにする。
岩手日報の取材あり、今後の天候予想を聞かれるのが一番辛い。「油断なく」しかいえない。
アメダス自動監視システムの調整を行う。一部不十分な点は今後改良するとして、とりあえず監視体制が確立される。
○ 5月17日(土)
大気が不安定なためか、朝方雷雨あり。
新聞によると、「切離低気圧」が日本付近に停滞する恐れがあるという。この低気圧は前線を伴わず、上空に寒気を連れて停滞するのが特徴という。上空には、零下24度の真冬並みの寒気が予想される。早期警戒情報をまとめる。
ネットワークがストップする。
午後3時現在、青森県と岩手県沿岸部は北東のやませが吹き込み、曇りで15度以下の気温となっている。小田野沢と六ヶ所では10度以下の気温となっている。
週間予報支援図によると、18日以降も上空には寒気が南下する予想となっている。
地上天気図でも、オホーツク海高気圧が張り出してくる気配がある。今後の天候推移には注意が必要だ。
○ 5月18日(日)
午前5時のアメダス実況によると、全域で10度以下。ところのよっては、4度程度のところが山間部にみられる。
昨日のデータによると、青森県太平洋側と岩手県沿岸部ではやませのため気温が低い。これらの地帯はまだ本格的な田植えではないと思う。
明日の田植えの準備をする。
○ 5月19日(月)手植え
昨日の71地点の気象をチェック。太平洋側の北部沿岸は北東風が卓越し、気温が低い。
朝6時から田植えの準備にかかる。今日は、東北基幹12品種の比較試験区などの田植えを行う。心配された天気は田植え日和となり、約30人が集まり楽しく手植えを行った。これで、約2ヘクタールの田植えはほぼ完了する。
夜は、“早苗ぶり”で豊作を祈願する。
○ 5月20日(火)やませ吹く
アメダス監視地点の気象をチェック。青森県むつ、三沢、小田野沢、六ヶ所、八戸、十和田、岩手県久慈、宮古、軽米では平均気温が10度を超えなかった。
寒気を伴った低気圧が日本海にゆっくりと進んできた。これから22日まで荒れ模様となる予想だ。
このように状況が変わってきたので、早期警戒情報を修正する。
午後0時現在、盛岡以北の太平洋側監視地点では気温が10度を超えていない。
週間予報支援図によると、北日本上空には寒気が月末まで南下しつづける予想だ。現在、岩手県に低温注意報が出されている。ここ数日は低温が続くようだ。
岩手県北上在住の生産者の方から、ホームページのアメダス情報とモニターに関する問い合わせのメールが来る。
宮城県農業センター来室。松山町での実証研究の打ち合わせを行う。
−−−−−−−−− 下旬 −−−−−−−−−
○5月21日(水)やませ吹く
アメダス監視地点の気象をチェック。昨日と同様に、北部太平洋側はやませの影響で気温が上がっていない。引き続き天候は不安定で、気温の低い状態が続く見込みだ。
3ヶ月予報入手。冷夏の予想だ。極東東西指数とオホーツク海高度指数からみると、6月中旬と7月下旬にオホーツク海高気圧が張り出す予想となっている。
岩手県北上市の方から、モニター承諾のメールが来る。この方は水稲9ヘクタールと花苗を生産されているという。いろいろとご指導いただけると思う。
農業共済新聞(21日発刊)にホームページが紹介された。
午後1時現在、北部太平洋側沿岸部は10度を超えない。やませが吹いている。
週間予報支援図を入手。今後も寒気が南下する予想だ。金曜日頃にも強い低温が来るようだ。3か月予報による7月低温予想より、今の低温が田植え、活着等の生育遅延に及ぼす影響の方が今の段階では心配だ。
○5月22日(木)やませが吹きつづける
午後5時現在、北部太平洋沿岸部、福島県、中山間地帯では気温が10度を超えていない。依然、やませが吹きつづける。
昨日の気象をまとめる。地帯4、6,8では平均気温が10度を超えなかった。これらの地帯では、田植え、活着、生育の遅れが心配される。
山形県最上の方からメールが来る。早期警戒情報の修正個所を黄色で表示していると、その方のパソコン環境では見にくいとのこと。早々に改正する。
農業共済新聞から、3ヶ月予報を踏まえて今後の気象経過と対応に関する問い合わせがある。3ヶ月予報よりは、現在の低温が問題であると答える。
週間予報支援図によると、今の低温は数日続く見込みだ。上空へ寒気の流入は東・西日本では強く、北日本では弱いと予想されている。偏西風の蛇行の程度も大きくなる予想だ。
東北農政局から、低温の状況に関する問い合わせがある。現状を報告する。青森県と岩手県は低温に対する臨時指導情報を発表する。
東北農試の試験圃場の苗は今のところ低温障害の症状は見られない。しかし、水田水温は非常に冷たい。活着の遅れが心配される。
今日も一日、太平洋側北部沿岸では10度を超えなかった。
○ 5月23日(金)
昨日の気象データをまとめる。やませが引き続き入り、太平洋沿岸部で広く気温が下がる。
秋田県農業試験場の作況試験圃場(平鹿町)へ行く。盛岡は肌寒い空気だが、峠を越えて秋田県側に入ると空気は柔らかく暖かい。横手盆地はこの週末には田植えがほぼ完了する様子だ。作況圃場に着く頃は青空が広がり、田植え作業も順調に進む。ここには、東北大学川村教授らが進めている「ひまわり画像を用いた東北地域の推定日射量分布データ」を検証するための気象ロボットが配置されている。県農業試験場、平鹿町役場関係者、JA平鹿町、横手地域農業改良普及センターなどの関係者にデータの活用方法を検討していただくようにお願いする。
帰路は横手から湯田へ抜ける、峠を越えると気温13度と一転して肌寒い。やませの雲が奥羽山脈にかかる。北上から盛岡までの道沿いの水田を観察する。稲が黄色くなり、徐々に低温の影響が現われている。石鳥谷・矢巾町付近の稲の顔色が一番良くない。
1か月予報を入手。向こう1か月の平均気温は平年より低いとのこと。また週間予報支援図によると、26日頃までは寒気が引き続き南下する予想だ。低温がこれ以上続くと初期生育に影響が出始める。
○5月24日(土)
昨日の気象データをまとめる。太平洋側を中心に気温の低い状態が続く。気象庁は寒冷低気圧に伴う寒気の南下で大気は不安定となると注意を呼びかけている。寒冷低気圧は日本海上空で渦をまいている。
早期警戒情報をまとめる。引き続き警戒が必要だ。
午前8時現在、北部太平洋側沿岸部は日差しが戻り、気温も10度を超えてきた。一方、 福島県に降雨があり、気温が15度を割っている。
宮城県の発生予察情報がメールで届く。
○ 5月25日(日)
午前6時現在、宮城県南部と福島県沿岸部では強い雨がある。
気象庁は24日、雷と突風に関する全般気象情報を発表し、寒気を伴った低気圧の通過で、強い雨、雷、突風、ひょう、低温に対する注意を呼びかけている。
週間予報支援図によると、北日本は27日頃まで上空に寒気が南下する予想だ。一方、東日本は27日以降も断続的に寒気が南下する予想になっている。次の寒冷低気圧が接近することを示唆する。油断ができない状態が続く見込み。
今週には実態調査に行く必要があるか。
山形県の技術情報を入手。
公開意見欄に「この夏の天候を教えてください」とのこと。難しい問い合わせだ。
午後0時現在、気温が15度を超えている地点は、横手盆地と会津盆地に分布する。ほぼ全域で日差しがない。
岩手県種市のモニターの方から、やませに関する報告が来る。低温の影響は今のところないが、やませが10日間も吹くのは、まるで走り梅雨のようだとのこと。天候が持ち直してくれることを願っておられる。
○ 5月26日(月)やませ吹く
午前5時現在、青森県、岩手県、福島県、および中山間部で気温が10度を超えていない。
昨日の気象データをまとめる。気温はまた下がってきた。ひまわり画像によると、寒冷低気圧は日本海に居座ったままだ。
週間予報支援図によると、寒気の南下は引き続く、特に次の寒冷低気圧が30日以降に再度現われ、強い寒気を伴うと予想されている。この予報が現実となると、活着と初期生育が著しく遅延する可能性が高い。
午前6時現在、青森県と岩手県では雨模様で気温が10度を超えていない。一方、福島県では日差しが出てきた。
北風が強く、圃場では体感温度が非常に低い。移植した稲はほとんど動いていない。
午前11時現在、岩手県北部沿岸と青森県太平洋沿岸では気温が10度を超えていない。
東北農政局から、低温に関する問い合わせがある。県の低温対策技術情報と低温による影響を調査中とのこと。午後にも心配される青森県の状況がつかめるだろう。
午後は、岩手県農業気象協議会に出席。盛岡地方気象台予報官に、今回の3ヶ月予報では類似年がない点と30日頃からはどの程度の寒気が南下する予想かを聞く。類似年については、類似年を明記するとそれが一人歩きするので今回からは発表しないとのこと。また30日頃からは寒気が南下する点については、ほぼ平年並みと考えているとのこと。
農政局から、各県の低温対策臨時情報が届く。
岩手県北部沿岸部と青森県太平洋側では気温が10度を超えなかった。
○ 5月27日(火)
昨日の気象データをまとめる。依然として全般に低温が続く。特に地帯4と8は平均気温が10度を超えなかった。
ひまわり画像では、寒冷低気圧が東北上空にある。今日も太平洋側沿岸部ではやませが吹くだろう。
午前5時の実況では、東北北部全域と南部の中山間部では気温が10度以下。宮城県北部では弱い雨がある。
山形県最上の方から、田植え後の状況とモニター承諾のメールが来る。最上では田植えは5月15日から25日頃まで行われ、ほぼ終了したとのこと。今年は後半の低温で、早めに田植えをした方が順調に生育しているとのこと。このところの雨で、除草剤の散布を見合わせている方も多いとのこと。
品種比較試験区等を見回る。午後1時頃の水田水温18度、用水温12度。北風が寒い。低温障害は顕著には出ていない。19日に植えた苗は新しい根が2〜3cm程度伸びてきている。直播は不完全葉が伸びてきているところ。遅れが心配される。
週間予報支援図によると、状況は変わり、偏西風の位置が北海道へ上がり、蛇行程度も小さいと予想されている。今後は今までほど強い寒気の南下は予想されていない。もう少しの我慢か。
水温勾配掛け流し灌漑水田の移植。これで試験用の移植を完了する。
○ 5月28日(水)
昨日の気象データをまとめる。依然として全般に低温が続く。特に地帯4、6と8は平均気温が10度を超えなかった。
予報によると、本日は移動性高気圧の覆われて久しぶりの晴天が期待できそうだ。朝は放射冷却で冷える。
午前6時現在、心配されていた青森県沿岸部は日差しが戻り、風向きが変わりやませがおさまる。
週間予報支援図によると、この先強い寒気の南下は予想されていない。警戒態勢を弱めてもよさそうだ。
午前7時現在、太平洋側に晴天が広がる。気温も今日は上昇しそうだ。
西風が卓越し、日本海側では気温は上がらなかったが、太平洋側では20度を超えるところが多かった。全域で日差しが戻り、各地で五月晴れ。稲の回復が期待される。
○ 5月29日(木)
午後5時現在、無風で気温が10度を下回る地点が広く見られる。放射冷却で気温は低下し、中山間地では晩霜が心配される。
昨日の気象データをまとめる。全般に日差しが戻り、気温は太平洋側で20度を超えたところが多かったが、日本海側ではそれほど気温は上昇しなかった。
通信・放送機構仙台リサーチセンターから気象衛星ひまわりの可視・赤外画像とそれの基づいて推定した時別推定日射量分布の提供予定のサンプル画像が送られてくる。利用者サイドからのコメントをつけて、提供画像の再検討をお願いする。そのうち、読者の方々に時別・日別の推定日射量分布図を提供することができる。
盛岡近郊の水田を見る。まだ、十分活着しているとは思われない。昨日から気温が上がり、これから活着が進むことと期待したい。
試験圃場の稲も同様で十分活着したとはいえない。
28日の週間予報支援図によると、やや状況は変化している。30日以降に北日本上空に寒気の南下が予想されている。この寒気が寒冷な低気圧によるものか、オホーツク海高気圧の張り出しによるのか注目される。
○ 5月30日(金)
昨日の気象データをまとめる。全般に日差しが戻り、気温も上昇する。
新聞にエルニーニョ現象がいよいよはっきり現われはじめたことが紹介されている。
本日は、福島県のプロジェクト研究「大区画圃場における水稲直播栽培を基幹とした大規模稲作経営の組み立て試験」の会議で、浜通りの原町に参加する。盛岡以南の稲の姿が観察できるので、楽しみだ。
仙台から常磐線沿いの水田を観察したところ、活着はしているが、生育が遅延しているように見える。やはり、先の低温の影響は出ているようだ。
原町地域農業改良普及センターでは、会議の前に作見井戸(水深で豊凶を占う)の話がでた。今年はこの井戸の水深がゼロとなっており、水深がゼロのときは過去凶作であったという。会議後、原町高地区の乾田直播圃場を見学する。ここでは機械利用組合が中心となって、約80ヘクタール規模で省力・低コストの実証事業が行われている。そのうち、10ヘクタールが乾田直播を試みている。4月下旬にドリルシーダー播種した水稲は3葉期となっており、出芽状態も極めて良好だ。平方メートル当たり200本の苗立ちが確保されている。今後の生育が楽しみだ。
○ 5月31日(土)
昨日の気象データをまとめる。気温・日照とも十分あった。
1か月予報を入手。平均気温は向こう1週間低い予想だ。
29日の週間予報支援図によると、寒冷低気圧の影響で今後数日は不安定な状態が続き、オホーツク海高気圧は徐々に勢力を強める予想となっている。
早期警戒情報をまとめる。今後も低温傾向が続くと、生育の遅延が深刻な問題となる。
我々の試験圃場もやや緑の色が濃くなってきたが、十分に活着したとは言い難い状態だ。
各県から技術情報・予察情報が多数届く。
午前9時現在、太平洋沿岸部は北東の風が吹いている。徐々に気温が下がると予想される。暖かい日は3日間だけか。
ホームへ
4月へ
6月へ
月選択ページへ
ご意見どうぞ
torigoe@tnaes.affrc.go.jp