NARO 農研機構 国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構

水稲冷害研究チーム

総合研究第4チーム紹介


チーム長 鳥越 洋一


1. おいたち
 当チーム発足の背景は平成5年の大冷害にさかのぼる。平成5年の冷害被害は百年の一度ともいわれる甚大な被害となったことは記憶に新しい。この冷害が地域社会に与える影響の大きさに改めて驚かされた。そこで、東北農業試験場と東北農政局は仙台管区気象台と管内6県の協力の下で「水稲冷害の早期警戒システム」の構築に向けての活動を開始した。
 とはいえ、冷害を未然に防ぐための早期警戒に関する技術開発は当場ではほとんど手を着けていなかったのが実状であった。当時の松原場長は、場内の研究態勢の確立と研究予算獲得のための活動を組織を超えて実施するため水稲冷害研究チームを発足させた。この水稲冷害研究チームはいわば幅広い専門分野にまたがるボランティアの研究者の集団であり、早期警戒のためのニーズ把握、現在までの研究の到達点、今後の開発技術等について協議を重ね、研究予算の確保と研究実施態勢の整備を進めてきた。この努力が実り、地域総合研究「早期警戒システムを基幹とする冷害克服型営農技術の確立」が平成8年〜12年の5年間実施されることになった。
 当チームは平成8年10月に発足し、冷害研究の中核となって今後活動することになる。

2. 水稲冷害の早期警戒システム構築へ向けて
 当チームは総合研究部、地域基盤研究部ならびに水田利用部の専門研究室の支援を得て、地域総合研究で次のような研究課題に取り組んでいる。

 1)水稲冷害の早期警戒のための基盤技術の開発
  (1)やませ吹走下における広域水田水温の予測(地域基盤研究部・気象評価制御研究室)
  (2)アメダス地域気象データを用いた作柄診断技術(総合研究部総合研究第4チーム)
 2)水稲の冷害発生機構の解明による基本及び応急技術選択のための診断システムの開発
  (1)障害型,遅延型,複合型冷害発生機構の解明と問題構造モデルの構築
   ・温度勾配制御施設における障害不稔発生過程の再現と低温影響の定量化(地域基盤研究部・上席研究官)
   ・小胞子の分化・発育過程における多窒素条件下の冷温障害発生機構の解明(地域基盤研究部・生理生態研究室)
   ・登熟期の温度変動が穎果の発育生理に及ぼす影響の解明(水田利用部・栽培生理研究室)
  (2)冷害回避技術効果の定量的評価手法の開発
   ・耐冷性品種の普及による冷害軽減効果の数量的評価(水田利用部・稲育種研究室、総合研究部・総合研究第4チーム)
   ・いもち病抵抗性品種の普及によるレース変動と被害軽減効果の数量的評価(水田利用部・稲育種研究室・水田病虫害研究室)
   ・土壌管理による冷害軽減・克服の可能性評価(地域基盤研究部・低温ストレス研究室)
  (3) リモートセンシングによる稲作環境と生育情報の広域診断技術(総合研究部・総合研究第4チーム、地域基盤研究部・病害生態研究室)
  (4) 収量成立過程を考慮した生育予測・作柄診断モデル(総合研究部・総合研究第4チーム、地域基盤研究部・上席研究官)
 3)冷害対策技術の策定と技術選択のための経営的支援システムの開発
  (1)冷害危険度区分別・経営類型別対策技術の策定(総合研究部・総合研究第4チーム・動向解析研究室)
  (2)冷害対策技術選択のための経営的意思決定基準と経営計画モデルの策定(総合研究部・動向解析研究室・総合研究第4チーム)
 4)モニター農家情報ネットワークに基づく水稲冷害早期警戒システムの構築
  (1)モニター農家情報ネットワークに基づく水稲冷害早期警戒システムの確立(総合研究部・総合研究第4チーム・動向解析研究室)

3.おわりに
 水稲冷害の早期警戒システムはインターネット上にホームページを開設し、平成8年5月から試験的に運用を始めている。提供情報内容、提供方法等についてはまだまだ未熟な段階であるが、今後、上の研究成果を順次取り込み、高度でかつ適正な情報提供に努める予定です。

 
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