水稲冷害研究チーム

1998年東北稲作動向(新聞記事等から)


 本情報は新聞記事等から得られる東北地域の稲作概況をお知らせするものです.
 稲作の動向と冷害関連記事に注目して,概況を追跡します.
 なお,記事の収集については東北農業試験場情報資料課長下川さんにご協力をいただいています.


2月


 
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○2月5日(木) 米不足深刻、輸入3倍増へ、インドネシア
世界最大の米輸入国・インドネシアが、1998年度の米輸入を急遽、前年の約3倍に増やすことを決め、国際米市場に衝撃を与えている。エルニーニョによる干ばつのためで、前年の輸入量75万トンから一挙に225万トンに拡大する。米輸入の拡大はほかにフィリピンも計画しているが、干ばつはタイなど輸出国にも影響しており、計画通り手当てできるか不透明だ。
(日本農業新聞)

○2月7日(土) 全般に気温高め、1か月予報
気象庁は6日、向こう1か月の予報を発表した。それによると、平均気温は全国的に高い。降水量は北海道、東北地方の日本海側で平年並み、ほかは多い見込み。日照時間は北、東、西日本の太平洋側で少なく、そのほかの地方は平年並みの可能性が高い。
(日本農業新聞)

○2月7日(土) チベット高原に積雪
2月5日正午の気象衛星「ひまわり」の可視画像から、チベット高原には雪が積もっていることが見られる。今冬はこの付近に何回も気圧の谷が発生したため、雪が降ったと予想される。普通の冬ならこの付近は高気圧に覆われて晴れる日が続くことになるが、今冬は低気圧が発生した。この影響は日本付近に顕著に現われ、寒気の南下は北日本どまりが多かった。この影響がこの春と4月から6月にかけて残る。研究によると、4月のチベットやシベリヤ大陸の積雪が多いと、オホーツク海高気圧の勢力を強めることがある。この積雪が今春、夏に少なからず影響する可能性がありそうだ。
(日本農業新聞)

○2月8日(日) 床土の生産急ピッチ、宮城・JA米山町
健苗育苗に欠かすことのできないのが良質な床土。JA米山町の育苗床土センターは「米山米」の品質向上に重要な役割を果たしている。同JA管内の最も早い農家では、3月の春分の日を境に種まき作業が始まる。それに合わせようと、現在、同センターはフル稼働中だ。
(日本農業新聞)

○2月8日(日) 水稲直播さらに推進、山形・藤島地域
藤島地域ベストライス生産対策推進協議会と藤島農業改良普及センターの共催で3日、水稲直播フォーラムがJA庄内たがわで行われ、水稲直播の実践者ら約50人が参加した。今年は、鳥害防止を含めた初期水管理と雑草防除の方法論を主なテーマに、農水省農業環境技術研究所植生生態研究室の伊藤一幸室長が「水稲直播の防除対策と抵抗性雑草について」を講演。
(日本農業新聞)

○2月8日(日) 伝統行事「鳥小屋」楽しく、福島・いわき
冬の田んぼに建てられた小屋に火を放ち、灰色の空を真っ赤に染める−。7日、JA福島県青年連盟が50周年記念事業の第2弾としていわき市で行なった。「鳥小屋」は、古くからいわき地方に伝わる小正月行事で、市内では85ヶ所に設置されている。この「鳥小屋」は毎年、正月飾りとともに焼き払う。
(日本農業新聞)

○2月10日(火) 局地予報バッチリ、気象庁
気象庁は9日、従来より予報領域を大幅に狭めた「局地数値予報モデル」を3月1日から試験的に運用すると発表した。集中豪雨や洪水などの気象災害に対応するのが狙いで、従来の東アジア全域から7ブロックに分割し、局地予報の精度を上げる。精度アップとあわせ、予報の出る時間も早まる。気象庁は「当面、局地数値モデルは予報官の手持ち資料として活用し、2年後には本格的な運用を目指したい」としている。
(日本農業新聞)

○2月10日(火) 看過できぬ「エルニーニョ」
今世紀最大といわれるエルニーニョ現象、世界的な規模で影響が広がっているため農林水産物の貿易にも影を落としはじめた。しかも本格化するのはこれからとの見方が強い。15年前の発生時は穀物在庫が多かったが、今年は当時の半分以下で、価格の高騰が警戒されている。ほかに飼料原料になる南米ペルー沖のカタクチイワシも減産必至という。南半球の異常干ばつは、牧草地に頼る主要畜産国の大家畜を、一時的に大量と畜に追い込みそうだ。勢い国際需給に混乱を招きかねない情勢にある。
(日本農業新聞)

 
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○2月11日(水) エルニーニョ依然強い勢力
世界的に異常気象をもたらすエルニーニョ現象が衰える気配を見せていない。気象庁が10日発表したエルニーニョ監視速報によると、南米ペルー沖の監視海域の1月の平均海面水温は28.4度。平年差は前月より0.3度下がったものの、依然3.0度上回り、高い値を示しつづけている。
(日本農業新聞)

○2月11日(水) 九州北部も「春一番」
九州北部と山口県地方は9日夜から10日朝にかけて暖かい南風が強く吹き、福岡管区気象台は10日、この南風を「春一番」と発表した。昨年より18日早い。
(日本農業新聞)

○2月12日(木) 米価下落が農家直撃、公庫資金
1997年産米価の下落で経営に打撃を受け、借入金の返済が困難になっている稲作農家から、農林漁業金融公庫に寄せられる返済条件緩和の相談が相次ぎ1万4千から1万5千件に上ることが11日までに分かった。ほとんどが北海道で、公庫は、米の品質低下による打撃が大きかったことから”準天災”と認め、元本の償還は1年先送りするなどの対応に乗り出している。
(日本農業新聞)

○2月13日(金) 石川、富山、中国地方も「春一番」
低気圧の影響で日本列島は12日、西日本を中心に南風が強く吹いて各地で気温が上昇した。石川、富山の両県と、中国地方で春一番が吹いた。
(日本農業新聞)

○2月13日(金) 97産米おいしさアップ目立つ、食味ランキング中間結果
日本穀物検定協会は12日、米の食味ランキングの中間結果をまとめた。対象96産地品種のうち、特Aは「コシヒカリ」を中心に前年産より2産地増え9産地。このほかAランクも3産地増えるなど、食味のアップが目立った。東北では、岩手県南「ひとめぼれ」、宮城県北「ひとめぼれ」、秋田県南「あきたこまち」、福島会津「コシヒカリ」、福島中通「コシヒカリ」の5産地品種が特Aと評価された。
(日本農業新聞)

○2月13日(金) 飼料米栽培一挙に560ヘクタール、JA庄内経済連
JA庄内経済連は、米の生産調整の転作物として、飼料用米の栽培に取り組んできたが、今年度は一挙に昨年の50倍近い560ヘクタールに増えることが農家の意向調査で12日までに明らかになった。同連は近く、飼料用米推進会議を設置、飼料米の輸送コスト低減など生産体制の確立に努める。
(日本農業新聞)

○2月14日(土) 全国で気温高い、1か月予報
気象庁は13日、向こう1か月予報を発表した。平均気温は全国的に平年を上回る見通し。降水量、日照時間は、ともに平年並みの見込み。
(日本農業新聞)

○2月14日(土) 低気圧と高気圧が交互に、1か月予報
仙台管区気象台は13日、向こう1か月予報を発表した。低気圧と高気圧が交互に通り天気は数日の周期で変わる。低気圧の通過後は冬型の気圧配置になる。日本海側では曇りや雪、雨の日が多いが、太平洋側では晴れの日が多いが、雪や雨となる時期もある。平均気温は高い可能性が大きい。
(日本農業新聞)

○2月14日(土) 直播栽培のポイント、東北地域水稲栽培研究会から
東北各県の試験研究機関と東北農業試験場が集まっての水稲栽培研究会が9日、秋田県大曲市で開かれ、直播栽培のポイントとなる出芽・苗立ちを中心にした議論が行なわれた。苗立ちの安定には、種まき後落水が効果のあることがあらためて確認されたが、「なかなか安定化を得られない」との声もあり、この技術が確立していくためには、なお課題が多いことをうかがわせた。
(日本農業新聞)

○2月15日(日) 直播「土日作業の稲作」実践、宮城・田尻町千葉さん
宮城県田尻町の千葉貞さん(49)は15年間、水稲直播−水稲湛水直播−を行なっている東北でも第一人者の直播農家。1996年から経営面積約6ヘクタールすべて直播に切り替えた。土日でできる稲作を実践する千葉さんに直播哲学や栽培のポイントを聞いた。「3年は無理しないでやってみることだ。3年たつとイネの動きが移植と違うのが分かる。移植では水管理にしても水を入れるのが基本だが、直播は水を落とす落水管理が基本だ。そこの意識改革をしないと失敗する。」
(日本農業新聞)

○2月15日(日) 転作大豆を大幅増へ、岩手・JAいさわ
JAいさわは、転作を活用した大規模な大豆生産団地の造成計画を進めている。栽培省力化施設の整備や転作補助金に独自の加算を行ない、農家の栽培面積拡大を支援する。同JAは豆腐などの加工施設を運営しており、一般的な出荷販売だけでなく、安全な地場産物の地域内消費にも仕向ける計画だ。
(日本農業新聞)

○2月15日(日) 本年は豊作、岩手・石鳥谷「たろし滝」氷柱占い
氷柱の太さでコメの作柄を占う石鳥谷大瀬川の「たろし滝」の測定は14日、現地で行なわれた。青色の氷柱は1月の寒さでたくましく成長。根元の周囲は6m30cmと12年ぶりに6mを超し、今年は「豊作」との判定が出た。保存会の会長は恒例の川柳で「さあ大変 減反増える この太さ」と農民の気持ちを表現。一方で、「この太さにあやかって景気が良くなれば」と期待を寄せた。
(岩手日報、読売新聞、朝日新聞)

○2月17日(火) 水稲直播さらに拡大を、福島県
水稲直播栽培の普及・拡大を図ろう−と、福島県直播推進大会が16日、福島市で開かれた。生産者、行政、JA関係者ら約400人が集まり、直播栽培の加速度的拡大を通じた新たな稲作構造の実現を誓った。
(日本農業新聞)

○2月18日(水) 優れた食味、多収性、秋田59号
 食味、多収性に優れた水稲として、県農業試験場が開発を進めてきた「秋田59号」の品種登録出願が年度内にも行われる。あきたこまちとの組み合わせによる異常気象からの危険分散、こまち偏重から適正品種配置の推進などの期待がかかるニューフェイスで、あきた39、ササニシキなどに代わる品種とされる。
(秋田さきがけ)

○2月19日(木) 97年産自主米入札、今年産初上昇
自主流通米価格形成センターは18日、東京取引場で1997年産自主米の第6回入札を行なった。60キロ当たり平均落札価格は1万7千226円で基準比89.2%。値ごろ感のある一部銘柄に積極的な応札が目立ち、今年産で初めて相場が上昇した。
(日本農業新聞)

○2月19日(木) 米100万トン正式要請、インドネシア
食糧危機に直面しているインドネシアの国務相が首相に100万トン程度の米支援を要請してきたことが18日、明らかになった。政府・自民党は人道的な立場から早急に米支援をする方針を固め、数量や支援方法の協議に入った。外務省は正式要請を受けて、当面50万トンを支援する方針で、農水省と調整に入った。
(日本農業新聞)

○2月20日(金) 暖冬招いたエルニーニョ
 今年の春は暖かそう−気象庁が19日発表した3か月予報によると、3月の気温全国的に平年より高く、4月も北海道、東北を除き高めに推移する見込みで、春の農作業には好環境となりそうだ。同庁は併せて今冬の天気概況をまとめ、北日本(北海道、東北)以外の地域は「エルニーニョ現象発生時の特徴が出て、暖冬になる可能性が高い」との見通しを示した。
(日本農業新聞)

 
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○2月21日(土) 食料支援を閣議決定、インドネシア
 政府は20日、「東南アジア経済安定化等支援措置」を閣議決定、食料危機が深刻化しているインドネシアに対し食料支援する方針を正式に決めた。早急に具体策を詰めるが、政府備蓄米のうち、当面50万トン程度を支援に振り向ける案を軸に、政府・自民党内で協議する。現行の援助方式では「食管特別会計の負担が大きく事実上、不可能」(食糧庁)なため、新しい財政負担の枠組みづくりが欠かせない。
(日本農業新聞)

○2月22日(日) 雑穀復活を、山形・小国町
 つぶつぶパワーを地球いっぱいに広げよう−。山形県小国町で自ら雑穀栽培を実践する雑穀料理研究家の大谷ゆみこさんは、賛同する農家らと共に、3月から「ラーフシードキャンペン1998」を展開する。栽培から流通、消費まで一貫したシステムをつくり、”雑穀の再生”を狙う。
(日本農業新聞)

○2月24日(火) 湛水直播の作期前進図る、山形農業試験場
 山形県農業試験場は水稲湛水直播栽培で、秋に耕起し、翌年の4月に種まきして出穂を早める「作期前進技術」の試験に取り組んでいる。昨年の試験では出穂が3〜6日早まり、収量、品質も通常の直播栽培と同等だった。直播は天候の影響を受けやすいことから、恵まれた条件が来たら、すぐに種まきができるようにして出穂・成熟を早め、安定させるのが狙い。
(日本農業新聞)

○2月24日(火) 米消費前年同期より1.5%減少
 食糧庁は23日、1997年9〜12月の一人一か月当たりっ米消費量をまとめた。消費世帯は5160gと前年同期より1.5%減った。また生産世帯も6952gで1.7%減。実質の米消費は9期連続して前年割となっており、過剰による低価格でも消費は伸び悩んだままだ。
(日本農業新聞)

○2月25日(水) 「東北IL6号」水稲奨励品種に、宮城県
 宮城県の主要農産物品種審査会が24日、仙台市で開かれ、知事から1月21日付で諮問されていた「東北IL6号」を奨励品種にすることを決めた。現在、5品種で構成されている「ササニシキBL(ささろまん)」に新たないもち病真性抵抗性遺伝子を持つ品種を加えて減農薬栽培の安定化を図る。
(日本農業新聞)

○2月26日(木) 航空防除を全廃、岩手・胆江地方
 良質米を販売する胆江地方は、航空防除を全廃する。全廃後のいもち病対策では、防除剤の育苗箱施用を組み込んだ減農薬栽培に移行しそうだ。同地方では昨年まで一部の町村で、いもち病で2〜3回の航空防除が行なわれていたが、今年は各町村とも全廃を決めた。今年の防除体系は、各JAともいもち病が2回、除草剤が1回、害虫防除が原則1回としている。
(日本農業新聞)

○2月26日(木) 「はえぬき」無菌パック好評、山形県
 JA山形経済連では、米の主力品種「はえぬき」のPRとイメージアップを狙って無菌パック包装の米飯を発売。順調に売れ行きを伸ばしている。家庭での調理方法やライフスタイルの変化で、精米販売のほか、パック詰め米飯が全国的に人気を呼んでいる。
(日本農業新聞)

○2月26日(木) 1万6千円代に人気、第6回自主米大阪入札
 自主流通米価格形成センターは25日、大阪取引場で1997年産自主流通米の第6回入札を開いた。60キロ当たり平均落札価格は1万7198円で、基準価格比89%。前回の東京入札に続き、特定銘柄で相場が反発、12銘柄が12月入札から200円以上上げた。値ごろ感銘柄への人気は西日本銘柄にも飛び火した。平均の申し込み数量倍率も2倍と97年産では最高となった。
(日本農業新聞)

○2月27日(金) むらの風土記:「庭田植え」、岩手県胆沢町
 岩手県胆沢町の2月。奥羽山脈焼石連峰から、冷たい風が吹き下りる。胆沢川がかたどった扇状地は、一面の銀世界だが、「立春を過ぎれば寒さも違う」。地元のお年寄りは、確実に春の訪れを感じ取っている。このころになると、昔の農家は、つかの間の正月休を終え、稲作の準備に取り掛かった。そして、それぞれの家で、豊作を祈る「庭田植え」の儀式をした。すでに消えかかった儀式だが、同町でよみがえり、伝統文化行事の一つとして、農に生きる人々が継承している。
(日本農業新聞)

○2月28日(土) 秋田県産こまち3位転落
 農水省は27日、97年産水稲の産地品種別収穫量を発表した。96年まで3年連続トップだった秋田県産あきたこまちは3位に転落したが、県全体の収穫量の8割を占め「こまち偏重」が続いていることを示した。突出したあきたこまち収穫量について、県農産園芸課は「こまちの作付が多いことで、売れ残りや政府米の2類格下げなどの弊害がでている。生産者にこまちが余っている現実をきっちり理解してもらわなければならない。12年度までにこまちの作付を全体の6割程度に抑えるガイドラインの徹底を図りたい」と話している。
(秋田さきがけ)

○2月28日(土) 北日本以外気温は高め、1か月予報
 気象庁は27日、向こう1か月予報を発表した。それによると、平均気温は北海道、東北が平年並みに推移するのに対してその他の地域は平年より高く推移する見込み。降水量、日照時間はともに全国的に平年並みと予想している。
(東北地方については仙台管区気象台の1か月予報参照)
(日本農業新聞)

○2月28日(土) 「きらら397」初の一位、産地品種別収穫量
 農水省は27日、1997年産水稲の産地品種別収穫量を発表した。北海道「きらら397」が初めて一位となった。二位は新潟「コシヒカリ」で、96年産まで3年連続一位だった秋田「あきたこまち」は三位に下がった。一位の北海道「きらら397」は、作付け面積を減らしたものの収量が増え、収穫量は前年より4400トン増加。新潟「コシヒカリ」も、収量は減ったものの作付け面積で3900トン増やし、順位を上げた。秋田「あきたこまち」は作付け面積、収量とも減らし、収穫量も8300トン減った。
(日本農業新聞)

○2月28日(土) 米の重要性浮き彫り、アジア金融危機
 経済危機に直面しているアジア諸国では、所得の落ち込みなどを背景に、肉から米に需要の比重を移していることが、国連食糧農業機構(FAO)日本事務所が27日発表した「アジア金融危機による農産物市場への影響」予測で明らかになった。食料品の価格の暴騰が家計を直撃、贅沢品である食肉の消費が急激に下がっている。飼料穀物の輸入も大幅減の見通し。
(日本農業新聞)


 

 

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