水稲冷害研究チーム
2002年東北稲作動向
本情報は新聞記事等から得られる東北地域の稲作概況をお知らせするものです.
稲作の動向と冷害関連記事に注目して,概況を追跡します.
なお,記事の収集については東北農業研究センター情報資料濱田課長さんにご協力をいただいています.
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○12月3日(火) 「いわてっこ」発売
岩手県オリジナル水稲品種「いわてっこ」が2日、一般向けとして県内一斉に発売された。県内中北部地域の良質米生産に期待が寄せられている。「いわてっこ」は、1991年に旧県立農業試験場県内分場で、母親が「ひとめぼれ」と父親が「こころまち」との交配で誕生し、2001年に県の奨励品種になった。食味は「あきたこまち」に匹敵し、耐冷性で、いもち病にも強く、JA新いわてやJAとおの管内を中心に作付けされた。
(日本農業新聞)
○12月3日(火) 遅植えで1等米9割、新潟・上越の「コシ」
全国的に高温登熟による米の品質低下がみられる中、地域を挙げて「遅植え」に取り組んだ新潟県上越地域の「コシヒカリ」の一等米比率が、今年89.2%と極めて高くなった。昨年を3ポイント上回り、心白粒は7ポイント減った。移植時期を遅らせ、出穂期の高温を回避するなどの取り組みが、品質向上につながることを証明した。
(日本農業新聞)
○12月7日(土) 冬場の水田 水張り機運広まる
渡り鳥の飛来地として知られる宮城県田尻町。鳥の餌場を確保しようと、地元農家が田んぼに水を張っている。計1.8fの田んぼに今、400羽を超す白鳥が舞い降りている。同町で冬期にたん水田が始まって5年。米作りに役立つ様々な働きが見つかった。その一つが除草効果だ。水鳥が地中の雑草の種を食べる。さらに水を張ることで、浮草が繁茂し、太陽の光をさえぎる。これがコナギなどの雑草の成長を抑えるという。施肥効果も確認されている。たん水した田んぼは、稲の生長に必要なリン酸が格段に多い。水鳥のふんがリン酸を施肥するのと同じ役割を持つという。自然の環境を生かした稲作で、農家の関心も高く、冬期たん水田は各地に広がりつつある。
(日本農業新聞)
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○12月11日(水) エルニーニョ発生が確定
気象庁は10日、東太平洋南米沖の赤道付近の海面水温が上昇し、世界的な異常気象の原因とされるエルニーニョ現象が、今年春から起きていることが確定したと発表した。同庁の定義では、エルニーニョは海面水温の5ヶ月間の平均が、基準値より0.5度以上高い状態が6ヶ月以上続いた場合としている。今年は2〜6月の平均水温が0.5度高く、その後も徐々に上昇。7〜11月は1.0度高くなり、定義を満たした。
(日本農業新聞)
○12月11日(水) 無農薬米で大吟醸
松山町酒米研究会と酒造会社「一ノ蔵」は、安全・安心な材料にこだわった「一ノ蔵 無農薬米仕込み純米大吟醸」の販売を始めた。食の安全が揺らぐ中、農家と蔵元が手を携えて製品化した。この日本酒は、通常の米に比べ栽培が難しいとされる酒造好適米作りに取り組む同研究会のメンバーが試行錯誤の末、無農薬・無化学肥料で酒造好適米(蔵の華)を栽培。昨年秋に収穫した米を原料に、地元の蔵元である「一ノ蔵」が仕込み、低温で長時間かけて発酵させ製造した。飲み口もまろやかで味、香りとも左党をうならせる出来栄え。
(日本農業新聞)
○12月11日(水) 県内きりり寒風津軽すっぽり雪
真冬並みの寒波に見舞われた県内は11日朝、各地で氷点下5度を下回り、冷え込んだ。八戸市ではよく晴れ上がったものの風があり今冬一番の氷点下5.9度を記録。一方、青森市や津軽北部では、冷え込みとともに雪が降り続いている。青森地方気象台によると、各地の最低気温は碇ケ関氷点下8.7度、むつ同7.3度・弘前同6.0度、青森同5.7度など。午前9時現在の積雪は青森36a、脇野沢23a、五所川原、野辺地各21aなど。午前9時半現在、津軽北部に大雪警報のほか風雪、波浪、雪崩注意報、津軽南部に大雪、風雪、波浪注意報、上北地方に大雪、風雪注意報を出して注意を呼び掛けている。
(東奥日報)
○12月13日(金) 小麦が生育遅れ、JAいわて中央現地研修会
JAいわて中央小麦生産部会紫波支部の現地研修会がこのほど、管内三カ所のほ場で行われ、今年の生育状況を調査。播種期以降の天候が悪かったことから発芽不良が発生し生育も遅れており、今後の管理ではほ場の排水対策が重要だと指導した。生育は昨年に比べ草丈で約3a短く、分げつも遅れ、1平方b当たり茎数も100本少ないものとなっている。
(日本農業新聞)
○12月14日(土) 水稲「平年並み」確定
東北農政局が13日発表した2002年産水稲の収穫量によると、前年より1%(3万2千トン)少ない2百42万4千トンとなった。東北地区の最終作況指数は101の「平年並み」に確定。北部を中心に低温・日照不足の日か多かったが、8月下旬以降はおおむね天候に恵まれ、収穫作業も順調に進んだ。10e当たり収量は東北平均で557`(前年比4`減)。
(日本農業新聞)
○12月17日(火) 地球は暑かった
今年の世界の暑さは観測史上2番目――。気象庁は16日、世界の2002年平均気温が平年より0.58度も高かったと発表した。日本も史上5番目となる高温を記録。地球温暖化に加え、今年前半に東アジアから欧州の広い範囲で高温に見舞われたことが響いた。日本の平均気温も平年より0.57度高かった。特に3月の平均気温は平年より2.25度も高く、各地で桜の早咲き記録を更新。3月の異常高温が年平均気温を上げた。
(日本農業新聞)
○12月18日(水) 畦はん被覆にハーブ効果、岩手県
岩手県住田町の両向地区は、昨年から除草やカメムシ対策のため、畦はんにハーブを被覆植物として植栽。いくつかあるハーブを試したところ「ペニーロイヤルミント」が景観保全の面からも効果的だったとして、来年からJA陸前高田市の育苗センターで増殖し、地域に根付かせていく。
(日本農業新聞)
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○12月25日(水) 減農薬米で吟醸酒、JA全農山形が企画
JA全農山形が企画した純米吟醸酒「稲露(いなつゆ)がこのほど発売された。口当たりの良さが特徴で、女性からも好評を得ている。「稲露」は安全・安心な金山産減農薬栽培米「出羽燦々」を使用し、50%まで精米し、米こうじと水だけで造りあげた。JA金山では、米の安定産地を目指して米の契約栽培を進めており、酒米もその一つ。酒米農家は山形県が独自に開発した酒造好適米「出羽燦々」の栽培に情熱を注いでいる。天童市にある出羽桜酒造が醸造元。
(日本農業新聞)
○12月27日(金) 冬将軍、県内に猛威
この冬一番の強い寒気が入り込んだ影響で県内は27日朝、碇ケ関で氷点下9.8度、青森同8.9度、弘前同8.8度、八戸同8.6度を記録するなど、各地で平年を5−7度下回る厳しい冷え込みとなった。また全域で26日夜から降雪が続き、前日までほとんど雪のなかった八戸市でも27日午前9時現在、積雪4aを記録している。
(東奥日報)
○12月29日(日) 大豆検査遅れる 品質低下も
仙台食糧事務所の各県事務所は27日までに2002年産大豆の検査結果をまとめた。今年は収穫期の長雨続きや雪で収穫ができなくなったケースもあり、検査収量、品質ともに前年に比べすべての県で軒並み落ち込んでいる。各県の普通大豆の検査結果は表の通り。特に北東北などの日本海側は雪に大豆が埋もれ、検査が大幅に遅れている。「湿害でかびが発生したものは検査実績から外れ、かなりの量になる」(青森事務所)のも数量の減少に響いている。一等比率は、前年に比べ、青森23ポイント、岩手4ポイント、秋田17ポイント、宮城31ポイント、山形4ポイントそれぞれ下がった。福島は前年も0%で同じだった。落等の理由として、しわ、汚損粒が目立ち、長雨や雪による湿害、刈り遅れの影響と見られる。宮城は天候には恵まれた。今後よくなっていくはず」(仙台食糧事務所)とみている。普通大豆の1〜3等の品位に適合せず、特定加工用大豆となった数量がすべての県で前年よりかなり増えている。
(日本農業新聞)
○12月29日(日) 秋の長雨刈り取りできず
県内産ソバの収穫がことし、昨年の半分しかなかったことが、東北農政局山形統計情報事務所などの調べでわかった。台風21号による強風で茎ごと倒れ、脱粒したことなどが収量に大きく影響。10月下旬から11月上旬にかけての長雨や、早すぎる降雪が適期刈り取りの障害となった。
(山形新聞)
○12月30日(月) 温暖化で「東増西減」
地球温暖化で大気中の二酸化炭素(CO2)濃度が現在の倍になるとされる約50年後の米の収穫量は、東日本で5−30%増、西日本では5−30%減との予測を、堀江武京都大学教授(作物科学)がまとめた。堀江教授は「栽培方法や品種改良などで影響は軽減できるが、食糧供給の問題を世界的視野で考えるべきだ」と話している。CO2濃度を現在の倍の640ppmとして、日本各地の稲の生長をシュミレーション。収穫量を算出したところ、関東・北陸以東では冷害が減って収穫が増え、特に北海道、東北は収穫量が安定するが、西日本は高温障害で収穫が不安定になり、中四国や九州は減収になることが判明したという。
(山形新聞)
reigai@ml.affrc.go.jp