生育監視圃場の1997年の結果報告と本年の予定


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 写真1(表紙写真)は昨年の生育監視圃場の田植え風景です。12品種を取り扱うため一列に並んでの手植えです。
 写真2は早乙女の田植え風景です。圃場面積60aを手植えするため、早乙女もかりだされ、総勢24人での田植えとなりました。
 写真3は田植えがようやく終わり、早乙女を囲んでの休息のひとときです。中央が編集長で、髭に白髪が増えてきています。

 昨年は、作柄監視の基礎情報を得るために、管内の主要12品種を供試して生育・収量調査を実施しました。試験のため盛岡には不適な品種も用いています。生育の経過等は昨年の編集長日誌で時々取り上げましたが、その最終結果を報告いたします。また本年も同日誌で生育状況等の報告を予定していますので、作柄の動向を比較参照できればと思います。
試験方法の概要は以下の通りです。

1. 生育ステージの経過
 出穂期の早いものから順に主要生育ステージの暦日を示した。5月下旬から6月上旬の低温・日照不足で分げつの初発は6月13日であった。幼穂形成期は「かけはし」が最も早く7月4日、ほとんどの品種は7月11日から20日の範囲にあり、「コシヒカリ」が7月27日であった。出穂期は「かけはし」が7月26日、ほとんどの品種が8月5日から8月14日の範囲にあり、「コシヒカリ」が8月22日であった。成熟期は「どまんなか」「おこにいり」「ひとめぼれ」「ササニシキ」「はえぬき」が10月上旬、「コシヒカリ」は10月10日現在で成熟に達しなかった。
熟期の遅い品種は開花・受精期にお盆の低温に遭遇し、受精障害が心配されました。しかし低温期間が5日程度であったため、大きな障害には至りませんでした。

表1 生育ステージ
品種名最高分げつ期幼穂形成期出穂期成熟期
かけはし7月10日7月04日7月26日9月20日
つがるおとめ7月10日7月11日8月05日9月27日
つがるロマン7月10日7月15日8月05日9月25日
あきたこまち7月10日7月15日8月05日9月27日
こころまち7月10日7月14日8月05日9月25日
ゆめさんさ7月10日7月17日8月10日9月29日
どまんなか7月15日7月20日8月11日10月06日
おきにいり7月15日7月18日8月12日10月06日
ひとめぼれ7月15日7月20日8月12日10月10日
ササニシキ7月15日7月20日8月13日10月10日
はえぬき7月15日7月20日8月14日10月10日
コシヒカリ7月18日7月27日8月22日未達

2. 収量と収量構成要素
平方メートル当たり籾数が3万粒を超えたのは、「つがるおとめ」「ひとめぼれ」「ササニシキ」の3品種であった。「コシヒカリ」は減数分裂期後半にお盆の低温に遭遇したため、不稔歩合が10%とやや高くなった。登熟歩合はほとんどの品種が80%を超えたが、「はえぬき」「コシヒカリ」ではそれを下回った。
収量は「つがるおとめ」「ササニシキ」で600kgを超えた。「かけはし」「あきたこまち」「はえぬき」「コシヒカリ」は550kgを下回った。特に「コシヒカリ」は登熟不良で大きく減収した。

表2 収量と収量構成要素
品種名穂数籾数1穂籾数不稔歩合(%)登熟歩合(%)千粒重(g)収量(g)
かけはし32923,370714.490.923.7506
つがるおとめ31733,212104.85.482.122.7628
つがるロマン31128,13390.45.187.523.6569
あきたこまち33326,82580.64.889.222.6512
こころまち32728,34286.83.291.422.5555
ゆめさんさ37226,26470.52.890.924.2573
どまんなか35128,19280.43.988.723.1566
おきにいり29826,20987.75.282.624.7579
ひとめぼれ40031,65579.15.283.723.2588
ササニシキ40736,10988.96.47122.9618
はえぬき36929,39079.7683.122.4514
コシヒカリ36329,97082.510.567.521.3405
注)穂数、籾数、収量は平方メートル当たり。
  千粒重と収量は1.9mm以上の玄米(水分15%)。

3. 玄米の粒質
 完全粒割合は熟期の遅い品種でやや低下し、腹白米や青米割合が増加したが、概ね品質としては良好であった。

表3 玄米の粒質
品種名完全粒(%)腹白米(%)心白米(%)背白米(%)基白米(%)青米(%)茶米等(%)
かけはし97.20.60.30.00.00.01.8
つがるおとめ93.21.01.50.00.02.12.2
つがるロマン95.60.30.20.00.01.82.1
あきたこまち97.00.30.30.00.00.81.7
こころまち95.40.31.70.00.01.90.7
ゆめさんさ92.01.71.80.00.13.90.6
どまんなか93.80.80.70.00.03.90.8
おきにいり90.50.70.40.00.07.51.0
ひとめぼれ84.28.80.20.00.06.50.3
ササニシキ88.33.20.00.00.08.10.4
はえぬき87.90.20.10.10.011.00.7
コシヒカリ71.20.30.10.00.028.20.3

4. 粒厚別粒重分布割合
出穂期の近いもので粒厚別粒重割合を示す。登熟の良好であった品種とそうでなかった品種との違いが明瞭に現われた。

かけはしなど つがるロマンなど ゆめさんさなど

5.<速報> −豊凶を占う「たろし」、平成10年水稲作柄は如何に−
     たろし滝太り、豊作を告げる
 2月14日、岩手県石鳥谷町の「たろし滝」で伝統である豊凶占い行事に参列した。
早朝から雪が降り、神事に情緒を添えるものとなった。たろし滝の氷柱は近年になく太り、計測の結果は6m30cmであった。保存会の会長は「たろし」が豊作を予言するとし、恒例の川柳で「さあ大変 減反増える この太さ」と農家の心情を表現した。
 たろし滝は石鳥谷町の中心部から西に山間を8キロ程入った葛丸川上流の景勝「三ツ鞍」、「一ノ滝」の近くにある。トゲシ森から葛丸川に注ぐ沢水が山の中腹で凍りついてできる大氷柱が、この「たろし滝」である。「たろし」とは垂氷(たるひ)が訛ったもので「つらら」のことで、その形が滝に似ていることから「たろし滝」の呼び名がついたといわれている。地元の農家の人たちは、昔から毎年2月中旬頃(旧正月の4日と日を定めている)になると、できた氷柱の太さを測り、その年の豊凶を占う伝統行事を行ってきた。氷柱の高さは13mにも及ぶ。太さは記録として残っているものでは、大豊作となった昭和53年の8mが最高である。この太さで託宣が下される。

 
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