生育監視圃場の1997年の結果報告と本年の予定


写真1(表紙写真)は昨年の生育監視圃場の田植え風景です。12品種を取り扱うため一列に並んでの手植えです。
写真2は早乙女の田植え風景です。圃場面積60aを手植えするため、早乙女もかりだされ、総勢24人での田植えとなりました。
写真3は田植えがようやく終わり、早乙女を囲んでの休息のひとときです。中央が編集長で、髭に白髪が増えてきています。
昨年は、作柄監視の基礎情報を得るために、管内の主要12品種を供試して生育・収量調査を実施しました。試験のため盛岡には不適な品種も用いています。生育の経過等は昨年の編集長日誌で時々取り上げましたが、その最終結果を報告いたします。また本年も同日誌で生育状況等の報告を予定していますので、作柄の動向を比較参照できればと思います。
試験方法の概要は以下の通りです。
- 試験場所:盛岡市下厨川字赤平4 東北農試大区画圃場
- 供試品種:
| かけはし | つがるおとめ | つがるロマン | あきたこまち |
| こころまち | ゆめさんさ | どまんなか | おきにいり |
| ひとめぼれ | ササニシキ | はえぬき | コシヒカリ |
- 試験方法:4反復乱塊法、1区面積6mx10m
- 移植様式:移植日は1997年5月19日、稚苗、1株3本植え(手植え)、栽植密度30cmx20cm
- 施肥管理:当圃場慣行施肥法による。
- 収量調査:収量は坪刈り(3.3平方メートル)による。収量構成要素は稈長と穂数が平均的な5株について調査。
- 玄米の粒質調査:1.9mm以上の玄米約20gを供試、2反復で肉眼で調査した。なお、反復間で数値が大きく異なる場合は適宜追加の調査を行なった。
1. 生育ステージの経過
出穂期の早いものから順に主要生育ステージの暦日を示した。5月下旬から6月上旬の低温・日照不足で分げつの初発は6月13日であった。幼穂形成期は「かけはし」が最も早く7月4日、ほとんどの品種は7月11日から20日の範囲にあり、「コシヒカリ」が7月27日であった。出穂期は「かけはし」が7月26日、ほとんどの品種が8月5日から8月14日の範囲にあり、「コシヒカリ」が8月22日であった。成熟期は「どまんなか」「おこにいり」「ひとめぼれ」「ササニシキ」「はえぬき」が10月上旬、「コシヒカリ」は10月10日現在で成熟に達しなかった。
熟期の遅い品種は開花・受精期にお盆の低温に遭遇し、受精障害が心配されました。しかし低温期間が5日程度であったため、大きな障害には至りませんでした。
表1 生育ステージ
| 品種名 | 最高分げつ期 | 幼穂形成期 | 出穂期 | 成熟期 |
| かけはし | 7月10日 | 7月04日 | 7月26日 | 9月20日 |
| つがるおとめ | 7月10日 | 7月11日 | 8月05日 | 9月27日 |
| つがるロマン | 7月10日 | 7月15日 | 8月05日 | 9月25日 |
| あきたこまち | 7月10日 | 7月15日 | 8月05日 | 9月27日 |
| こころまち | 7月10日 | 7月14日 | 8月05日 | 9月25日 |
| ゆめさんさ | 7月10日 | 7月17日 | 8月10日 | 9月29日 |
| どまんなか | 7月15日 | 7月20日 | 8月11日 | 10月06日 |
| おきにいり | 7月15日 | 7月18日 | 8月12日 | 10月06日 |
| ひとめぼれ | 7月15日 | 7月20日 | 8月12日 | 10月10日 |
| ササニシキ | 7月15日 | 7月20日 | 8月13日 | 10月10日 |
| はえぬき | 7月15日 | 7月20日 | 8月14日 | 10月10日 |
| コシヒカリ | 7月18日 | 7月27日 | 8月22日 | 未達 |
2. 収量と収量構成要素
平方メートル当たり籾数が3万粒を超えたのは、「つがるおとめ」「ひとめぼれ」「ササニシキ」の3品種であった。「コシヒカリ」は減数分裂期後半にお盆の低温に遭遇したため、不稔歩合が10%とやや高くなった。登熟歩合はほとんどの品種が80%を超えたが、「はえぬき」「コシヒカリ」ではそれを下回った。
収量は「つがるおとめ」「ササニシキ」で600kgを超えた。「かけはし」「あきたこまち」「はえぬき」「コシヒカリ」は550kgを下回った。特に「コシヒカリ」は登熟不良で大きく減収した。
表2 収量と収量構成要素
| 品種名 | 穂数 | 籾数 | 1穂籾数 | 不稔歩合(%) | 登熟歩合(%) | 千粒重(g) | 収量(g) |
| かけはし | 329 | 23,370 | 71 | 4.4 | 90.9 | 23.7 | 506 |
| つがるおとめ | 317 | 33,212 | 104.8 | 5.4 | 82.1 | 22.7 | 628 |
| つがるロマン | 311 | 28,133 | 90.4 | 5.1 | 87.5 | 23.6 | 569 |
| あきたこまち | 333 | 26,825 | 80.6 | 4.8 | 89.2 | 22.6 | 512 |
| こころまち | 327 | 28,342 | 86.8 | 3.2 | 91.4 | 22.5 | 555 |
| ゆめさんさ | 372 | 26,264 | 70.5 | 2.8 | 90.9 | 24.2 | 573 |
| どまんなか | 351 | 28,192 | 80.4 | 3.9 | 88.7 | 23.1 | 566 |
| おきにいり | 298 | 26,209 | 87.7 | 5.2 | 82.6 | 24.7 | 579 |
| ひとめぼれ | 400 | 31,655 | 79.1 | 5.2 | 83.7 | 23.2 | 588 |
| ササニシキ | 407 | 36,109 | 88.9 | 6.4 | 71 | 22.9 | 618 |
| はえぬき | 369 | 29,390 | 79.7 | 6 | 83.1 | 22.4 | 514 |
| コシヒカリ | 363 | 29,970 | 82.5 | 10.5 | 67.5 | 21.3 | 405 |
注)穂数、籾数、収量は平方メートル当たり。
千粒重と収量は1.9mm以上の玄米(水分15%)。
3. 玄米の粒質
完全粒割合は熟期の遅い品種でやや低下し、腹白米や青米割合が増加したが、概ね品質としては良好であった。
表3 玄米の粒質
| 品種名 | 完全粒(%) | 腹白米(%) | 心白米(%) | 背白米(%) | 基白米(%) | 青米(%) | 茶米等(%) |
| かけはし | 97.2 | 0.6 | 0.3 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 1.8 |
| つがるおとめ | 93.2 | 1.0 | 1.5 | 0.0 | 0.0 | 2.1 | 2.2 |
| つがるロマン | 95.6 | 0.3 | 0.2 | 0.0 | 0.0 | 1.8 | 2.1 |
| あきたこまち | 97.0 | 0.3 | 0.3 | 0.0 | 0.0 | 0.8 | 1.7 |
| こころまち | 95.4 | 0.3 | 1.7 | 0.0 | 0.0 | 1.9 | 0.7 |
| ゆめさんさ | 92.0 | 1.7 | 1.8 | 0.0 | 0.1 | 3.9 | 0.6 |
| どまんなか | 93.8 | 0.8 | 0.7 | 0.0 | 0.0 | 3.9 | 0.8 |
| おきにいり | 90.5 | 0.7 | 0.4 | 0.0 | 0.0 | 7.5 | 1.0 |
| ひとめぼれ | 84.2 | 8.8 | 0.2 | 0.0 | 0.0 | 6.5 | 0.3 |
| ササニシキ | 88.3 | 3.2 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 8.1 | 0.4 |
| はえぬき | 87.9 | 0.2 | 0.1 | 0.1 | 0.0 | 11.0 | 0.7 |
| コシヒカリ | 71.2 | 0.3 | 0.1 | 0.0 | 0.0 | 28.2 | 0.3 |
4. 粒厚別粒重分布割合
出穂期の近いもので粒厚別粒重割合を示す。登熟の良好であった品種とそうでなかった品種との違いが明瞭に現われた。

5.<速報> −豊凶を占う「たろし」、平成10年水稲作柄は如何に−
たろし滝太り、豊作を告げる
2月14日、岩手県石鳥谷町の「たろし滝」で伝統である豊凶占い行事に参列した。
早朝から雪が降り、神事に情緒を添えるものとなった。たろし滝の氷柱は近年になく太り、計測の結果は6m30cmであった。保存会の会長は「たろし」が豊作を予言するとし、恒例の川柳で「さあ大変 減反増える この太さ」と農家の心情を表現した。
たろし滝は石鳥谷町の中心部から西に山間を8キロ程入った葛丸川上流の景勝「三ツ鞍」、「一ノ滝」の近くにある。トゲシ森から葛丸川に注ぐ沢水が山の中腹で凍りついてできる大氷柱が、この「たろし滝」である。「たろし」とは垂氷(たるひ)が訛ったもので「つらら」のことで、その形が滝に似ていることから「たろし滝」の呼び名がついたといわれている。地元の農家の人たちは、昔から毎年2月中旬頃(旧正月の4日と日を定めている)になると、できた氷柱の太さを測り、その年の豊凶を占う伝統行事を行ってきた。氷柱の高さは13mにも及ぶ。太さは記録として残っているものでは、大豊作となった昭和53年の8mが最高である。この太さで託宣が下される。
ホームへ
戻る
ご意見どうぞ
reigai@tnaes.affrc.go.jp