水稲冷害研究チーム

1996年秋田県技術情報

 詳しい問い合わせは秋田県農業試験場稲作部(電話 0188−39−2121)へお願いいたします。

 作況ニュース(第3号,5月27日):

<当面の技術対策>

 水稲の生育は気象経過(水温・地温含む)と密接に関連するので、安定した生育を図るには、移植後の肥培管理の適正化等により、初期生育を促進し、有効茎を早期に確保することが基本である。
 本年の場合、5月5日から16日までの気温が平年に比べ3〜7℃低めに経過したことから、この期間に移植したほ場の一部では活着不良や代枯れ、および生育遅延がみられるので、これからのほ場では注意が必要である。
また、農作業は土曜・日曜や祝祭日に実施されることが多く、必ずしも適期作業とはなっていないことがあるので、朝・夕の見回りや作業委託等により、肥培管理の徹底を図ることが大切である。

(1)生育(分げつ)を促す水管理の徹底を
活着後は、温暖な日は浅水、寒い日は深水管理とし、水温、地温を高め生育(分げつ)の促進に努める。
分げつ発生の適温は、最高水温30℃、最低水温15℃、平均水温23℃〜25℃程度のところにあり、日較差の大きい方が効果的なので、かん水は水温の最も低い早朝に行うとともに、短時間で終えるよう水量の確保に努める。
また、かんがい水が低温である地帯では、温水田、迂回水路、ポリチューブなどを用い水温の上昇に努めるとともに、漏水防止にも万全の対策を講ずる。

(2)余り苗の処分は早めに
代枯れ等により補植が必要な場合は早めに実施する。
本田における葉いもちは、全般発生開始期前でも育苗期に発生した苗いもちの持込みや補植用余り苗での発病等によって発生することがあるので注意する。
特に、補植用余り苗で発病したいもち病は強力な伝染源となるので、補植終了後速やかに処分する。

(3)肥効調節型肥料施肥田での注意
肥効調節型肥料(緩効性肥料)は、チッソの溶出が主に温度依存であることから、低温年の場合は冷水かんがい田や排水不良田等では地温が上がらず、本田初期の必要生育量の確保が困難なことがある。
しかし、土壌には緩効性の肥料分が残存しているので、極端な生育不良田以外は極力追肥を差し控える。

(4)アオミドロ等の防除の徹底
気温の上昇に伴い、全層施肥や追肥ほ場等ではアオミドロや表土はく離等の発生が多くなるが、これらの発生が多くなると地温や水温の低下の一要因となり、生育を抑制することがあるので適切な対応が必要である。
対策としては、早朝の気温の低い時や雨の日の水の入れ替えを基本とするが、これで消滅しない場合は、中耕機によるかくはんやACN剤等を散布する。
ただし、薬剤散布は砂質土壌や漏水田での使用は避けるとともに、用水路や池等にかからないよう注意する。

(5)中期除草剤の適正使用
初期剤との体系で中期剤を使用する場合は、除草効果を高めるとともに作物に対する薬害を防止するため、次の事柄に留意する。
 @山間高冷地で前年の残草が多い場合や減水深が大きい場合、冷水掛かりのほ場では、初期剤+中期剤の体系処理を行う。
 A同一除草剤および同一成分を含有する除草剤の体系処理は行わない。
 B散布時の水深は3〜5cmとし、散布後3〜4日は止め水とする。
 C気温と薬害との関連については、最高気温で30℃以上の高温が数日続く場合は、シメトリンなどのトリアジン系、平均気温で16℃以下の低温が数日続く場合は、MCPBやフェノチオールなどのフェノキシ系を含有する中期剤で薬害が発生しやすくなるので注意する。
 D薬害と他作物との関連では、薬剤感受性の高い野菜類(きゅうり、メロン、ピーマンなど)や畑作物と隣接する水田では、散布時の薬剤の飛散には十分に注意する。

(6)土壌還元に対する水管理の徹底
本年の場合、5月中旬までの低温により平年に比べや稲わら等の分解が遅れているが、今後気温の上昇に伴い、稲わらのすき込み量の多いほ場や排水不良田等では還元が急速に進み、有害ガスの多発が懸念されるので、間断かんがいや溝掘り等により根の健全化に努める。
特に、昨年出来すぎ等で倒伏したほ場では、稲わらのすき込み量も多いことから、これらの点に十分に留意する。

(7)中耕(除草を含む)は温暖な日に
本田における中耕は、有害ガスの排除と肥料の分解促進、および除草を目的として行う作業であるが、寒い日に行うと地温の低下を招くとともに断根等により逆に生育を遅延させることになるので、作業は温暖な日に行うようにする。
なお、一発処理の除草剤を使用したほ場における中耕は、なるべく処理後30日以降に行う。

(8)当面の病害虫の発生予想については、発生予察情報第2号および平成8年6月3日発表の発生予察情報第3号(秋田県病害虫防除所発表)を参照のこと。

 
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