水稲冷害研究チーム

1996年宮城県技術情報

 なお,詳しい内容に関する問い合わせは宮城県にお願いいたします.

 稲作情報第6号(8月1日):

◎気象経過と生育の特徴
 〇梅雨明けは7月中旬後半
 〇草丈短く、乾物重少ない
 〇葉いもち発生は少なめ
 〇土壌窒素少なめ

◎これからの管理の要点
 〇間断灌がいで根の健康管理
 〇出穂期前後の穂いもち防除の徹底
 〇紋枯病の適期防除

《気象経過》 7月中旬後半梅雨明け
7月中旬前半は晴れて、気温は平年を上回った日が多かった。仙台では7月14日に最高気温が30℃を記録し、今年初めての真夏日となった。後半はつゆ前線が北上したこともあり、曇天の日が多かったが、気温は高く日照時間も平年を上回った。
仙台における7月中旬の平均気温は23.5℃(平年差+1.7℃)、積算日照時間は56.1時間(平年比146%)、降水量は28mm(平年比55%)であった。
本年の梅雨明けは7月中旬後半で、平年(7月下旬前半)より早かった。最高気温やや低く、最低気温高く日較差が少なかったのが特徴で、平均気温と降水量は平年並みであり、日照時間は少なかった。
農業センター・稚苗・ササニシキ(5月10日植)における幼穂形成期(7月17日)後10日間の気象は、10日間の平均気温は21.8℃で前5ヶ年より1℃低く、積算日照時間は40.3時間で前5ヶ年平均よりやや少なかった。

《生育経過》
 出穂盛期は北部平坦8月9日〜12日・南部平坦8月6日〜9日の見込み
7月20日現在の地帯別生育状況について、草丈は前回調査よりやや回復したが、依然として各地帯とも平年より約10%短めとなっている。茎数は南部平坦で平年より少ないが、その他の地帯で概ね平年並みからやや多め、県平均では平年比100となり、前回調査の91に比べ回復した。しかし、本年は最高分げつ期が遅れ、今回調査では無効分げつ茎とみられる弱小茎が多いことから、穂数については平年を下回るものと予想される。
 県内各地のササニシキ、ひとめぼれの幼穂形成期は、ササニシキは7月13日〜16日、ひとめぼれは7月12日〜15日であった。これら中生品種の出穂盛期は、幼穂発育期間を25日〜27日とすれば、北部平坦では8月9日〜12日、南部平坦では8月6日〜9日と見込まれる。
農業センター・5月10日植・稚苗・ササニシキの幼穂形成期は7月17日で平年より6日遅れ、活着が不良であったこともあり一般圃場よりやや遅れた。幼穂の伸長状況は、7月22日現在4.8mmで、概ね前年並みに推移しており、この長さに達した日を平年(前5ヶ年値)と比較すると4日遅くなっている。

《窒素栄養》
 稲体窒素濃度高く、乾物重少ない
7月17日調査の地点別窒素栄養状態について、7月始めから梅雨の中休みはあったものの、生育は引き続き緩慢で稲体窒素濃度は高い。
 〇 乾物重
 河南、南方、湧谷、角田は平方メートル当たり300g以上となり、平均では前年比93%、平年比86%まで回復した。しかし、河北、亘理、本吉等の地点では乾物重増加がかなり遅れている。

 〇 稲体窒素濃度
7月9日調査では濃度が低下し平年値にかなり近づいたが、7月17日調査では濃度低下が再び停滞し平年比は拡大傾向になった。日照との関係等で乾物重増加は引き続き緩慢なこと、根の下層伸長によって下層からの窒素吸収が進んでいることが要因と考えられる。

 〇 窒素吸収量
稲体窒素濃度低下の停滞が、少ない乾物重を補うかたちとなり、窒素吸収量は、ほぼ平年並みとなった。平均窒素吸収量(平方メートル当たり5g)はササニシキの期待値の約85%である。

 〇 土壌アンモニア態窒素
圃場培養によるアンモニア態窒素濃度の推移について、7月9日調査から約1週間の土壌窒素発現量は平均で1kg/10aであり、前・平年の85%程度である。
地点別では南方、角田、古川など細粒質土壌での発現が多く亘理、河北等の粗粒質土壌では著しく少ない傾向にあり、地点間の差がかなり大きい。
また、7月9日に土壌中の窒素濃度が高かった亘理、河北、米山など生育抑制の大きい地点では、施肥窒素の消失が平年より10日程度遅れて、7月中旬になったと見られる。

《病害虫》
 −葉いもちの発生やや少ない−

 〇葉いもちは7月中旬前半までに全般発生期に達し、発生地点率は40.4%で前3ヶ年より低かった。発生は北部平坦地域や三陸沿岸地域では広域的であったのに対し、その他の地域では散発的であった。
また、アメダス資料による感染好適条件の推定では7月7日から11日にかけて広域で準感染好適条件と感染可能条件が、さらに、7月20日から22日にかけては感染好適条件が出現した。

 〇 紋枯病の7月中旬前半までの発生は少なかった。

『これからの栽培管理の要点』 
 −出穂前後の水管理−
 〇 出穂期までは間断灌がいを励行する。出穂開花期にかけて、稲は水を多く必要とするので、水を切らさないように管理する。
 〇 出穂後は間断灌がいとして根の活力を維持し、登熟の促進に努める。

 −穂いもち防除は的確に−
 〇 穂いもちの防除は、今後発表になる発生予察情報を参考に、以下の点に留意して防除する。
 @ 葉いもちの発生が見られる水田では直ちに防除を実施する。
 A 茎葉散布剤を使用するときは、出穂直前、穂揃期及び傾穂期の3回散布とする。

 〇 紋枯病の防除の目安は、穂ばらみ期の発病株率が早生や中生では15%以上、晩生種では20%以上である。また、出穂期以降に高温多湿の気象条件が続くと、急激に病勢が進展するので発生に注意する。

(次回発行予定 8月29日)

 
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