水稲冷害研究チーム
1999年青森県稲作指導情報
なお,詳しい内容に関する問い合わせは青森県にお願いいたします.
青森県稲作指導情報 第7号
平成11年7月6日
青森県農業生産対策推進本部
1 生育状況
(1)農業試験場作況田における生育状況(6月30日現在)
ア 「むつほまれ」の生育は、黒石(本場)では草丈と葉数が平年をやや上回り、茎数は平年並であった。藤坂(支場)では、草丈と茎数が平年を上回り、葉数もやや上回っている。
イ 「つがるロマン」の生育は、草丈、茎数、葉数のいずれも過去3か年の平均よりやや上回る〜上回っている。
ウ 「ゆめあかり」の生育は、「むつほまれ」に比べて草丈がやや短いものの、茎数と葉数は並〜やや上回っている。
エ なお、「むつほまれ」の穂首分化期は黒石、藤坂ともに7月1日で、黒石で3日、藤坂で6日早くなっている。
(2)県内の生育状況(6月30日現在)
ア 各地域の主要品種の生育状況
(ア) 津軽地域の生育は平年に比べて、草丈がやや長く、茎数、葉数もやや多い〜多くなっている。
(イ) 県南地域の生育は平年に比べて、草丈が長く、茎数も多く、葉数はやや多くなっている。特に、下北地域で草丈、茎数、葉数とも平年を大きく上回っている。
(ウ) また、u当たり茎数は、全地域・品種共に地域別生育指標(u当たり穂数400 〜450本)をかなり上回っている。
(エ) 葉数から見た6月30日現在の生育は、全県的に平年より2〜4日程度早く、例年生育の遅れる地域ほど早まり、特に下北地域では平年より8日程度早まっている。
(オ) なお、生育の進んでいる地域や水田では、6月末から穂首分化期に入っている。
イ 「つがるロマン」と「ゆめあかり」の生育状況
(ア) 「つがるロマン」の生育は、過去3か年の平均値に比較して、草丈が津軽地域Uで平年並であるが、他地域はやや長く、茎数は全地域とも多く、葉数もやや多い〜多くなっている。
なお、前年と比較すると、津軽地域Tと南部地域では、草丈、茎数、葉数ともほぼ前年並であるが、津軽地域Uでは草丈が前年よりやや短く、茎数と葉数は前年よりやや多くなっている。
(イ) 「ゆめあかり」の生育は、津軽地域では草丈が前年並で、茎数と葉数はやや多く、県南地域では草丈が長く、茎数と葉数も前年より多くなっている。
なお、前年は津軽地域と県南地域で「ゆめあかり」の生育に差が見られたが、本年は津軽地域、県南地域ともほぼ同等の生育となっている。
2 これからの農作業と管理
(1)水管理
ア 現在の貯水状況は、農業用ダムでは平年より少なく、ため池でも平年よりやや少なくなっている。
特に、津軽地域の農業用ダムとため池で、平年より不足しているところがあり、1か月予報でも日本海側の降水量が少ないか平年並と予想されていることから、農業用水の有効利用に努める。
イ 中干しは、平均気温が20℃以上の日が続くときに、実施する。
中干しは、田面に軽くひび割れが入る程度とし、幼穂形成期前には必ず終了する。ただし、低温が続く場合は、直ちに中止して5〜6cmのやや深水管理に切り替える。
ウ 中干しには、窒素の過剰発現や下位節間伸長の抑制等の効果があるので、特に「つがるロマン」は倒伏防止のためにも中干しを徹底する。
エ 幼穂形成期に達した水田は、農業用水を効率的・計画的に利用し、水深10cm程度の「幼穂形成期深水かんがい」を10日間実施する。
(2)追肥
ア 幼穂形成期前のつなぎ肥は行わない。
イ 追肥は、米の食味・品質に及ぼす影響が大きいので、幼穂形成期を確認し、栄養診断に基づいて適正な時期と施肥量を判定する。
ウ なお、追肥は、幼穂形成期の葉色値(SPAD-502)が、「むつほまれ」で37、「ゆめあかり」で38程度を目安に、下記により実施する。
<穂肥1回体系の場合>
(ア) 幼穂形成期を確認し、栄養診断で追肥が可能と判断されたら、窒素成分で10a当たり2〜3kgを施用する。
(イ) 幼穂形成期に達しても栄養診断で追肥ができないと判断された場合は、10日後の減数分裂期まで待ってから行う。
(ウ) 減数分裂期まで待っても、葉色が濃かったり、天気予報等で低温が続くと予想される場合には、追肥を中止する。
<穂肥2回体系の場合>
(ア) 1回目の追肥は、幼穂形成期を確認し、栄養診断で追肥が可能と判断されたら、窒素成分で10a当たり1〜2kg程度を施用する。
(イ) 2回目の追肥は、1回目から10日後の減数分裂期に、窒素成分で10a当たり1〜2kg施用する。
(ウ) 栄養診断の結果に基づき幼穂形成期の追肥を取りやめ、1回目の追肥を減数分裂期に行った場合は、2回目の追肥を中止する。
(エ) 1回目の追肥後に低温が続いた場合は、2回目の追肥を中止する。
エ つがるロマンの場合
幼穂形成期の生育量と葉色値から総合的に判断し、表−5の栄養診断基準により実施する。
なお、肥料が多すぎたり、倒伏すると食味が低下するので、特に細心の注意が必要である。
(3)病害虫の防除
ア いもち病
(ア) 葉いもちの発生量は県内全域でやや多く、発生時期もやや早い(平年値7月10日)と見込まれるので、早期発見に努め、発生を認めたら直ちに防除する。
(イ) 「ゆめあかり」など比較的いもち病に弱い品種を作付けしている水田で、水面施用剤などを使用していない場合は、感染に好適な日が出現したら、葉いもちの感染が見られなくても予防効果の高い薬剤を茎葉散布する。
(ウ) 窒素施肥量が多いといもち病に対する抵抗力が低下するので、追肥は適正量を厳守する。
イ 稲こうじ病
(ア) 発生量は平年並みの見込みである。
(イ) 防除の適期は、出穂前10〜20日の穂ばらみ期であり、特に前年発生が認められた水田では必ず防除する。
(ウ) 窒素施肥量が多いと発生を助長するので、追肥は適正量を守る。
ウ イネカラバエ
(ア) 発生量は東青・西北五地域でやや多く、産卵最盛期もやや早い見込み(平年より3〜5日早め)である。
(イ) 茎葉散布の防除効果は、防除適期である産卵最盛期を失すると著しく低下するので、産卵状況に注意して適期に防除する。
(ウ) 前年発生の多かった地域では、防除適期幅が広く(産卵最盛期〜10日後)効果が高いジメトエート粒剤で防除する。
エ コバネイナゴ
(ア) 発生量は平年並であるが、ふ化終期がやや早い見込みである。
(イ) 7月2〜4半旬のふ化終期に防除する場合は、畦畔や農道の雑草及び水田の畦畔際2〜3mに薬剤を散布する。
(ウ) 移動、分散が激しい害虫なので防除効果を高めるため、広域的に一斉防除する。
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