水稲冷害研究チーム
1999年宮城県技術情報
なお,詳しい内容に関する問い合わせは宮城県にお願いいたします.
稲作情報 第2号
平成11年6月10日
宮城県農業センター
【気象経過】
5月中旬に平均気温が10℃を下回った日があったものの,田植後は全般的に気温は高めに経過した。田植期間の5月上旬は気温が平年より1.9℃,下旬は2.4℃高く,月平均気温は16.5℃で平年より1.6℃高かった。月日照時間は平年比112%と多く,降水量は平年比97%とほぼ平年並であった。
県内の田植盛期(5月5日)後20日間の気温をアメダス観測地点別に見ると,各地とも最高気温20℃,最低気温は10℃前後で,どの地点も最高気温で平年より2℃,最低気温で1℃前後高かった。
【農業センター・古川農試の生育状況】
田植後の高温多照により順調に生育が進み,草丈・茎数・葉数いずれも平年を上回った。
【県内生育調査圃の地帯区分別生育状況】
地帯により変動はあるものの,総じて草丈・葉数とも平年並である。山間高冷地帯で生育が平年を下回ったのは,田植時期が遅く5月中旬の低温にあたったことや,下旬に風速10mを超える風の強い日があったことから,移植後の植え傷みによる活着の遅れが原因と推定される。
【分げつと茎数増加】
農業センターの5月10日植えササニシキの1号分げつ発生は5月22日,2号分げつ発生は5月26日で,前年より2日早まった。節位別では,1号分げつ発生率40%,2号分げつは100%であった(表4)。6月1日現在における茎数増加数は214.8本/uと多かった。
【稲体乾物重・窒素濃度】
農業センターのササニシキは乾物重・窒素吸収量とも平年を大きく上回った。 乾土効果による土壌窒素の発現量は,平年より少ないと推定されるので,土壌窒素の消失時期が早まり,稲体窒素濃度の低下も早まることが予想される。今後の気象経過によっては,早めのつなぎ肥が必要になる。
【作土中アンモニア態窒素】
農業センターでは平年よりやや少なめと見られる。
作土のアンモニア態窒素量は,施肥窒素及び土壌窒素からの発現と稲の窒素吸収の差であることから,土壌窒素発現量の多い年はこの水準のまま経過し6月中旬以降急激に低下する傾向を示す。しかし,本年のように乾土効果による土壌窒素発現の少ない年は早めに低下する傾向がある。したがって,今後の水稲生育が順調に進んだ場合は,作土の窒素消失が早まると予想される。
<これからの栽培管理の要点>
【葉いもち予防粒剤の散布は6月15日〜20日】
・補植用残苗は,本田発病の伝染源になるので,直ちに処分する。
・オリゼメート粒剤等葉いもち予防粒剤による防除は,発病してからの散布では効果が劣るので,6月15日から20日に確実に散布する。
・オリブライト1キロ粒剤の場合,散布時期は6月15日から30日まで。
・粉剤や液剤による防除を実施する場合は,水田内を良く観察するとともに,早期発見に努め,発生が認められた場合は直ちに実施する。
【中耕で根の活力維持】
・稲わらを鋤込んだ水田や排水不良田では,気温の上昇ととも地温水温が上がり,土壌の還元が進んでガスの発生が多くなり根の活力を低下させる。このような水田では,ガス抜きのため中耕を行う。なお中耕は抑草期間の長い初期除草剤を使用した水田では処理後20日以降に実施する。
【中干しは7〜10日程度】
・中干しの開始時期は,目標とする穂数と同程度の茎数を確保した時点である。中干しは7〜10日位とし圃場に亀裂が入り軽く足跡がつく程度とする。水はけの悪い水田では溝切りを行い中干しの効果を高める。
・中干しは遅くとも幼穂形成期前に終了すること。
・被覆肥料を施用した水田では,肥料成分の溶出が抑えられるので,強い中干しはしない。
【つなぎ肥は葉色を見て】
・ペースト肥料の側条施肥水田や基肥窒素量を例年並とした水田,及び「ひとめぼれ」等は穂数不足になることが懸念される。したがって,6月10日頃の生育量と気象経過を見ながら,葉緑素計で40程度以下に低下する水田では,8葉期頃に,つなぎ肥として窒素成分で1kg/10a前後を施用する。
【イネドロオイムシ,株当たり3頭以上は防除】
・老齢幼虫密度が株当たり3頭(被害許容水準)以上の圃場では粉剤や水和剤を散布する。
・一部の地域ではカーバメート系薬剤に対する抵抗性が確認されており,これらの薬剤を使用している場合は防除効果に十分注意する。
reigai@tnaes.affrc.go.jp