水稲冷害研究チーム

1999年宮城県技術情報


 なお,詳しい内容に関する問い合わせは宮城県にお願いいたします.

稲作情報第3号

平成11年6月30日

宮城県農業センター

【気象経過】
本年の梅雨入りは6月7日で,平年より5日早く,前年より4日遅かった。前年は梅雨入りとほぼ同時に低温少照となったが,本年は梅雨入り後も1週間ほどは晴天が続き,気温も高めに経過した。6月第4半旬は梅雨空の日が続き,気温も低下した。
仙台の6月上旬・中旬の平均気温は,平年より1.7℃高く,日照時間平年比は上旬149%,中旬86%であった。
県内各地とも,仙台と同様な傾向であった。

【作況試験圃の生育状況】
作況試験圃の稚苗田植え後(5月11日)から6月20日までの期間は,平均気温の平均値が18.2℃で平年より1.5℃,前年より1.2℃高く,積算日照時間は270.6時間で,平年比113%,前年比142%と高温多照であったことから,生育は大幅に進んだ。
6月21日現在の農業センターの稚苗ひとめぼれは,草丈41.9cm(平年比129%),u当たり茎数884本(平年比170%),葉数8.9枚(平年より1.1枚多い)と生育は旺盛で,葉色は平年比94%とやや淡い傾向である。
各品種を総じて,草丈は平年比120〜130%,茎数平年比140〜200%,葉数平年差+1〜1.5枚で,葉色は平年並かやや淡い状況であった。葉数から推察すると,生育は平年より7日程度生育が進んでいるものと思われる。

【作況試験圃の分げつ発生状況】
農業センターのひとめぼれとササニシキ(5月10日稚苗植え)の茎数の推移については、6月1日調査時は前年をわずかに下回ったものの,以降は平年・前年を大きく上回っている。6月21日現在のu当たり茎数は,ひとめぼれ884本,ササニシキ1121本であった。必要茎数はすでに確保され,最高分げつ期は,ひとめぼれ・ササニシキとも平年は7月5〜6日であるが,本年はこれよりも早まるものと予想される。

【生育調査圃の地帯区分別生育状況】
6月21日現在の地帯別生育状況を表3に示した。全般的には作況試験圃同様,平年・前年を上回る生育である。
北部及び南部平坦地帯では,草丈40cm前後で平年比120〜130%,u当たり茎数600〜800本で平年比130〜160%,葉数9枚程度で平年より約1枚多い。葉色はほぼ平年並である。
田植え後の低温・強風等により生育が遅れぎみであった山間高冷地帯では,茎数は平年の90%程度にとどまっているものの草丈・葉数は平年を上回っており,生育はほぼ回復している。

【作土中のアンモニア態窒素量】
調査地点により変動はあるものの,全般的な傾向としては,前年より少なく,平年の半分程度の窒素残存量と推定される。
これは乾土効果による窒素発現量が少ないこと,それに生育が旺盛で,稲体の窒素吸収が促進されたためと推察される。
今後の気象経過にもよるが,6月末ごろには施肥窒素は消失するものと予想される。

【稲体窒素栄養】
乾物重は平年の2〜2.5倍,前年比も多くの地点で2倍近い値となった。窒素吸収量もほぼ同様な傾向である。
窒素濃度については,前年を上回っている地点が見受けられるものの,全般的な傾向としては,平年並かやや低めと思われる。

【病害虫】
葉いもちは,本田での初発が平年より4日早い6月4日に確認された。
今後の発生見込みについては,以下のことにより,全般発生時期は7月第3半旬で平年並,発生量も平年並と予想される。
・本田での初発確認以降,本病の感染・蔓延には不適な天候が続き,発病株及び発病残苗から周辺株への感染は確認されていない。
・箱処理剤や水面施用剤による予防防除が普及している。
・アメダス気象データによる感染好適日の推定では,感染に好適な条件の出現日数は少ない。
・稲体窒素濃度は平年並かやや低め。

【直播栽培】
本年の直播栽培見込み面積は107haで,前年実績より45ha増加している。各ほ場では,概ね5月15日までに播種作業が終了している。
農業センターにおける生育状況は,播種後の好天により,u当たりの苗立数は134本で,前年比121%であった。6月21日現在では,u当たり茎数は767本で前年比238%,葉数7.3枚で前年より1.7枚多く,生育は順調である。

<<これからの栽培管理の要点>>
【葉いもち防除】
・補植用残苗で発生が認められたところでは,すでに本田に感染している恐れがあるので,発病を認めたら,ただちに周辺田を含めて薬剤を散布する。
・ 防除薬剤は,穂いもち防除剤を含めて同一系統(同一作用機作)の薬剤の連続使用は避ける。

【中干し後の水管理】
・中干しは,遅くとも幼穂形成期前に終了すること。本年は,生育が旺盛で,幼穂形成期が早まると予想される。参考までに,農業センター5月10日植え稚苗ササニシキの6月23日時点における幼穂形成始期の予想は,7月8日頃で,平年より4日早い予想。
・中干ししたほ場の表層は,酸化状態にあるので,中干し後すぐに湛水状態にすると急激に還元が進み根を傷める。このため,中干し後の水管理は,走り水をしてから間断かんがいをする。
・幼穂形成期以降,低温注意報等が発令された場合は,ただちに深水管理とし,幼穂の保護に努める。水深は,幼穂保護のため幼穂の伸長に併せて段階的に5〜10cm程度とする。
・深水が保てるよう畦畔等の補修を行うとともに,地域として深水かんがいができる用水管理体制を整えておく。


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